Think different


私の手元に1冊の古い本があります。

Think different

2011年、Appleの一挙一動に世界中が注目しています。

未発表の製品に関するわずかな情報が出てくれば
数百、数千ものネットメディアがそれを報じます。
そして、世界中の人々が好き勝手に
まだ見ぬ新製品の想像を膨らまし、一喜一憂します。
この流を良しとしない人もいることでしょう。

しかし
そんなAppleにも影の時代がありました。

今のAppleからはとても想像できませんが、
新製品を発表しても誰からも注目されない時代があったのです。
「Appleはもう終わった会社だ」と評価する人もいました。
そう、スティーブ・ジョブズがAppleを去ってからの12年間。
「暗黒時代」と呼ばれる空白の期間です。

マッキントッシュを世に送り出した翌年の1985年
若き青年実業家は歴史的なクビを宣告されます。
傍若無人な行いに加え、マッキントッシュの需要予測を誤ったことで
Appleから追放されてしまうのです。

しかしそんな彼は、
コンピュータが実現する未来に
心を躍らせ、可能性を信じることを止めませんでした。
なぜなら、コンピュータを愛していたからです。


Appleを追放された同年、NeXTを立ち上げます。
大学でコンピュータが使われる時代が訪れることを予測し、
高性能なワークステーションを提供したのです。
非常に革新的なコンピュータでした。
世界で初めてのインターネット(WWW)もNeXTを使って作られました。

さらに、1986年、アニメーションの世界でも
コンピュータグラフィックスが使われる時代が訪れると予測し
ピクサー・アニメーションスタジオを設立します。
あの、ディズニーですらCGには否定的だった時代に
スティーブはCGアニメーションに価値を見出していました。

Appleを追放された翌年に設立されたNeXTは、
1997年にAppleによって買収されます。
当時、新しいMacOSの開発に難航していたAppleは
新しいOSを求めてNeXTを採用したのです。

信じられないかもしれませんが、
今現在のMacOS Xや、みなさんの手元にあるiPhoneに
搭載されているiOSは全てNeXTが基礎になっています。

スティーブはマッキントッシュの需要こそ誤りましたが
世間が必要としているものを見抜く力がありました。
消費者自身も気づけていない本当に欲しいものを見抜ける力です。

一時は倒産も視野に入れていたAppleは
1997年、スティーブ・ジョブズの電撃的復帰で
息を吹き返し始めます。


Windowsに押されてすっかり影を潜めたMacは
手始めに革新的な広告キャンペーンを打ち出します。

そう、Think differentキャンペーンです。



クレイジーな人がいる。

IBMという巨大企業に立ち向かった反逆者。
クビを宣告されてしまう程、傍若無人な厄介者。
彼は物事をまるで違う目で見る。
規則を嫌い、現状を肯定しない。

彼の言葉に
反対する人も、称賛する人も、貶す人もいる。
しかし、彼を無視することは誰にもできない。
なぜなら、彼は物事を変えたからだ。
彼は人間を前進させた。

今思うと、スティーブもその一人であったと私は確信しています。

Think differentキャンペーンから始まったAppleの復活劇は
やがてiMac、MacBook、iPod、iPhone、iPadと、
革新的な製品を世に送り出し、大成功を収めます。

Appleの伝説的な復活劇は
スティーブ・ジョブズ無しには語れません。

そんな彼が、10月5日、この世を去りました。

偉大なアーキテクト、スティーブ・ジョブズを
失ったことは非常に残念です。寂しいです。



しかし
私たちは、一秒たりとも
足を止めてはなりません。

彼は生前、スタンフォード大学の卒業式で次のように述べています。




「誰も死にたくはない」
「しかし、死は全ての終着点であり
誰も逃れたことがないし、今後もそうあるべきだ。」
「なぜなら、死は生命最大の発明なのだから」
「死は古き者を消し去り、新しき者への道を作る」

ここでの、新しき者は今を生きる私たちです。

「しかし、新しき者もそう遠くないうちに古き者となり消えていく」

「誰かの時間を無駄に生きてはなりません。
ドグマに囚われてはなりません。
他人の考えに付き合ったにすぎないから。
他人の雑音で、自分の心を掻き消されないように。
最も大切なのは、自分の直感に従うことです。」


また、Think differentキャンペーンのCMは
つぎのような一文で締められています。


『自分が世界を変えられると
本気で信じる人達こそが、
本当に世界を変えているのだから。』
             ―― Think differentキャンペーン ――


さあ、新たな一歩を踏み出す時は来ています。
次に世界を変えるのは、
今、この時を生きている私たちなのです。


そんな新しき私たちに
スティーブは、1つの言葉を残しています。

「Stay hungry. Stay foolish.」
(ハングリーであれ。バカであれ。)



ありがとう、スティーブ・ジョブズ。

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