[16:22更新]【正式決定】プラチナバンド「900MHz」ソフトバンクが獲得、iPhone対応に課題も

 29日午後に開催された第976回電波監理審議会において、プラチナバンドとして知られる900MHz帯周波数は「ソフトバンクモバイルに割り当てることが最適」とした総務省の判断を同審議会は妥当と結論付けた。これにより、正式にソフトバンクモバイルに割り当てられることになる。

 同周波数帯を巡っては携帯電話事業者各社が獲得を巡って競い合っていたが、中でもソフトバンクモバイルとイー・アクセスの2社が有力候補とされていた。

 ソフトバンクモバイルにおいては、現在、同社が使用している2GHz帯と比較すると900MHz帯の電波は障害物があっても届きやすいため通信品質が改善されると見られている。ただし、同社が900MHz帯を運用するには課題も多い。

 900MHz帯の基地局を整備するには、従来(2GHz)よりも鉄塔の高さを2倍、アンテナの大きさを2倍にする必要がある。鉄塔の高さが2倍になれば設置面積は4倍になり、体積が8倍になる。このことにより、従来よりも4倍の土地が必要となる。一部報道では、ソフトバンクモバイルが900MHz帯割り当ての正式決定を待たずに基地局工事を前倒しして行っていると報じられた。土地の再取得を含めて早期から導入工事を検討する必要があったとみられる。

 申請時に総務省に提出した基地局整備の投資額は、有力候補とされていたソフトバンクモバイルが8,207億円、イー・アクセスが2,109億400万円と、約4倍近い差がある。ソフトバンクモバイルは全国規模での基地局整備を前提に、大規模な土地などの取得も含めて8,207億円という額を打ち出したものとみられる。しかしながら、土地の取得などに難航するとみられ1兆円規模に膨れ上がる可能性がある。

 最も注目される米アップル社製「iPhone(アイフォーン)」の対応だが、こちらも課題がある。iPhoneは仕様上では900MHzに対応帯しているが、日本国内ではNTTドコモが850MHz帯を使用しているため干渉問題が懸念されているためだ。

 国際的な標準化プロジェクト3GPPでは、iPhoneをはじめとした900MHz帯対応端末がNTTドコモの850MHz帯に干渉を与えることについて話し合われており、スマートフォンの普及に伴って海外端末が日本国内でも利用される状況を考えると干渉問題を無視できない状況。

 今のところ3GPPにおいては、900MHz帯でLTE方式を導入した場合は干渉を大きく与える可能性が指摘されているが、ソフトバンクモバイルが「SoftBank 3G」の名称で採用しているW-CDMA方式では干渉を概ね与えないだろうと言われている。

 しかし、都市部においては基地局同士の干渉も問題だ。万が一、850MHz帯を使用するNTTドコモの基地局と干渉した場合、干渉を与えないための除去フィルタを導入する工事がNTTドコモ側の基地局に必要となる。この工事にはNTTドコモの協力が必要であり、過去にADSLの導入工事を巡ってNTTグループと争ったソフトバンクグループには悩みの種だ。

 同様の工事を巡ったトラブルは過去にKDDIとNTTドコモで既に起きており、NTTドコモ側の工事遅延が原因で完了までに2年もの歳月を要した。

 干渉問題に関してソフトバンクモバイルの宮川潤一CTOは、iPhone 4以降では利用できるとの見通しを示しており、干渉問題をクリアした上で基地局の整備が済み次第、iPhone 4やiPhone 4S、次期iPhone 5を900MHz対応端末として公表するものとみられる。

 900HMzが獲得できなかった場合は「行政訴訟も辞さない」としていた孫正義社長。今回、同社の逼迫する通信量が考慮されたことにより悲願のプラチナバンド獲得となった。安さをウリにNTTドコモとKDDIに勝負を仕掛けた業界の風雲児は、次は品質でも勝負を仕掛けるものとみられる。

 

[2012/02/29 16:20 JST 更新]

 決定に際し、ソフトバンクモバイルが9点、イー・アクセスが8点、NTTドコモおよびKDDIが5点であることが明らかになった。

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