イケアのテレビ販売進出で考える、家電メーカーの憂鬱

 先日、日本でもすっかりおなじみになった家具販売最大手「IKEA」が、「家具+テレビ」という発想でまったく新しい “家具” を売り込むというニュースが報じられました。そう、「テレビは完全に付属品扱い」になってしまったのかもしれません。

  このテレビは、ケーブルを出来る限り取り払い、配線を徹底的に隠し、Blu-ray / DVD / CDプレーヤーやMP3再生機能を搭載。2.1chスピーカーが家具に内蔵(サブウーファーはワイヤレス)されており、Wi-Fi接続も可能で、スマートTV対応。

 ゲーム機やレコーダーを隠しながら収納でき、リモコンはたった1つのみという、「部屋にテレビを置くと生じるインテリアの不調和」を徹底的に取り払いながらも機能は妥協しない「家具型テレビ」という新しい発想の製品です。

 なお、画面サイズや色も、周りの家具に合わせて自由に選べます。

 増え続けるリモコンの置き場所に困ったり、乱雑な配線が見えたり、テレビ台と他の家具との質感や色合わせに悩んだりすることはもうありません。

 もともと、IKEAの特徴の1つに「IKEAで揃えるとインテリアの調和を取りやすく、適度に安い」という特徴がありました。未だ多くの家庭において必需品であるテレビを、どうIKEAのデザイン思想に取り込んでいくのかという点で最後の聖域に踏み切った形になります。

 同様の例でいえば、パイオニアやパナソニック、ヤマハの擬似サラウンドシステム「YSPシリーズ+対応テレビ台」など、「テレビ+テレビ台+サラウンドシステム」の調和を図る試みは前々から存在していました。しかし、あくまでもテレビ周辺のみの調和に留まり、他の家具との調和は相変わらず取りにくく、色は「黒」という決まったパターンであることが多かったのです。そして、テレビ本体以上に値段が高いという難点がありました。


国産家具カリモクにYSP対応TV台が存在。
木種と色味が統一できるので他の家具と揃えられる。
TV台価格は約17万円、スピーカーは別売り10万円。

 もちろん、お金を出せばいくらでも揃えることが可能です。しかしながら、「適度に安い」ことが世界中の人々からどれだけ望まれているのか、IKEA自身が一番よく知っているはずです。事実、この「家具型テレビ」は960ドル(約7万7000円)で販売されます。HDTVにBlu-ray再生・スマートTV機能、スピーカー、そして、テレビ台がセットでこの値段となると、適度な安さを保っていると言えそうです。

 画質も適度に良ければ満足で、スピーカーシステムは置きたくないけど内蔵スピーカーより音質が断然良いから大満足、という層が世界にどれほどいるのか考えると、テレビを販売するメーカーにとっては大きな脅威になる可能性があります。

 画質や音質をこだわり、”こんなテレビ” は購入検討候補にも入らない管理人のような家電オタには全く関係のない話ですが、ふと、周りに目を向けると、やはりこの「家具型テレビ」の持つ訴求力の大きさを感じずにはいられません。

 膨大な費用を投じて、サムスンやLGが有機ELパネルの薄型特性を生かしたテレビを開発したり、フラグシップモデルや高付加価値モデルでデザインに優れたテレビをソニーやパナソニックが販売したりしていますが、前途多難なのではないかと思います。(※個人的にはこっちの方を頑張って頂きたいのですが、自分がニッチなんだなと認識せざるを得ません…)

 テレビがコモディティ化し、新興国が格安で製造する今、テレビは「テレビ」という単独商品で存在し続けていることすら難しくなっているのかもしれません。

 この「家具型テレビ」は今年6月には欧州5都市、今秋には欧州13か国、2013年夏までには多くの国々に拡大する予定とのことです。日本地域にとっては「B-CAS」の存在が気になるところですが、拡張カードスロットが用意されているようなので日本展開も考えているのかもしれません。

 テレビを「テレビ」として売るメーカーと、テレビを単なる付加価値として売る「新業種」との思わぬ乱闘が始まりました。影では格安パネル製造メーカーとEMSメーカーも微笑んでいます。さぁ、この戦いを制するメーカーは一体どこなのでしょうか。勝負の行方が気になるところです。

「IKEAがテレビ発売」のニュースは あいのり様より
ネタ投稿をいただきました!ありがとうございます!

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