レビュー:HTC J Butterfly ソフトウェア編

第1回目のハードウェア編に引き続き、今回はソフトウェア編をお送りします。

ブラウザのもたつきがやや気になる?

搭載されるプロセッサは1.5GHz駆動のクアッドコア「Snapdragon S4 Pro APQ8064」。RAMも2GBと、今冬のハイエンド端末では標準的なスペックだ。この程度のスペックを満たしていれば不満点はほとんど無く、様々なシーンで快適な動作を実現してくれる。

Android 4.1 Jelly Beanで導入された「プロジェクト・バター」の成果もあってか手に馴染むように動く。プロジェクト・バター自体は動作時のフレームレート確保が目的なので、3Dを使ったUIでもスムーズに動いてくれるのは気持ちが良い。

アプリ切り替えはリッチな3D表示 / ホーム画面の表示は極めて速い

一方でアプリ切り替え機能の立ち上がりは決して速いとは言えなかった。遅すぎるというわけではないけど、ワンテンポ遅れるのだ。ホーム画面の描画は極めて速いので、ついついホーム画面に戻って別のアプリを選択してしまう。仮にリッチな3D表示が遅延を招いているならば、多少簡素化しても立ち上がりの速さを重視したほうが良いのではないかと感じた。

他にもブラウザの描画遅延が気になったポイントである。 レンダリングが完了する一歩手前でもたつくのだ。これは標準ブラウザとピュアChromeの双方で確認できる。

キャッシュは削除済 / 左HTC J Butterfly : 右Galaxy S3
どちらもAndroid 4.1

ブラウザの読み込み速度をiPhone 5と比較するとiPhone 5の方が圧倒的に速い。Galaxy S3(GT-I9300)と比較してもGalaxy S3の方が速い。一部では1920×1080ドット表示にGPUが追い付いていないのではないか?とも言われているが、真相は定かではない(実際は他の部分に原因があるように思えるが…)。

とはいえ、いずれもあえて言及するなら…程度なので購入の妨げになるような要素では無い。Android 4.0からOSの完成度が高まったこともあって、昨今のハイエンドAndroid端末はスペックや動作に関する不満はほとんど無い。動作感に関するレビューをあまり見かけないのもそんな理由が影響してそうだ。

磨き上げられるSense ~クラウド連携~

HTC J Butterflyに限った機能ではないが、ドロワー(アプリ一覧)で表示しないアプリを選べるので見たくないものを完全に隠すことができる(もちろんディスク容量は変わらない)。

ドロワーを表示させメニューで「アプリを非表示にする」
個別選択方式でドロワー上で非表示にできる

そして、HTCの独自UI「Sense 4.0+」は非常に使いやすい。ギャラリーアプリとDropboxやSkyDriveといったクラウドストレージが統合されている点は利便性が高い。「これぞクラウド」といった感じで、端末にあるファイルとクラウド上のファイルの垣根を感じさせないのだ。各サービスに合わせて個別アプリを立ち上げる必要がないのは魅力的である。

画面左:ギャラリーを開くと最初にこの画面が出てくる。
画面右:ローカルネットワーク内のメディアサーバ(DLNA)も参照可能
ここから動画も視聴できる

端末本体に保存されたファイルは自動的にクラウドサービスと同期されるが、Wi-Fi環境下のみで行う設定も可能なので通信量の心配いらず。自宅のDLNAサーバ(メディアサーバ)のファイルを参照することも可能だ。

磨き上げられるSense ~スピードダイヤル~

前機種「HTC J」でも搭載されていた「スピードダイヤル」機能はHTC J Butterflyでも健在。これは非常に試してみたかった機能だ。結果からいうと『とても使いやすい』。

画像右:341を入力すると「佐藤」さんが抽出される

この機能を具体的に説明すると、例えば電話帳から「佐藤」さんを探すとする。電話帳を開くと自動的にテンキーが表示されるのだが、フリック入力時と同じように「あ 行」~「わ行」が割り当てられており、「さとう」ならば3(さ行)→4(た行)→1(あ行)と押せば「佐藤」さんが抽出される仕組みだ。同様に「きむら」 さんならば2(か行)→7(ま行)→9(ら行)となる。

最初の一回目は戸惑うが、フリック入力を使いこなしている人ならすぐに慣れる。そして圧倒的に速い。フリックする必要はなく、行頭の数字をタップするだけで良いのでサクサク探せるのが特徴だ。

とにかく撮って楽しむ

カメラの起動は0.7秒を公称しているだけあって非常に速い。TVCMでもそこがクローズアップされているが、撮りたい時にすぐ撮れるというのは嘘ではない。

オートフォーカス(AF)速度も速く、ホワイトバランス、露出、ISOも個別設定が可能。カメラオプションには「タッチして撮影」があり、画面をタッチすることでAF&撮影を同時に行ってくれる。どんどん取りたい派にはぴったりの機能だ。この他にもトレンドである「顔検出」「スマイルシャッター」なども装備。

一点だけ気になるとすれば、画面をタッチして任意の場所にフォーカスを合わせる際に「ウィーン」という非常にキーの高い効果音が流れる。レンズ交換式カメラの音を模したものだと思われるが、これが非常に耳障りなのだ。シャッター音は仕方ないにしてもAF音に過剰演出が必要なのか疑問だ。

今回、時間の都合上取り扱うことができない連写性能と写り具合についてのレビューは、iPhone 5のレビューでいまだ実現していない “宿題” と併せて年内中にフィールドテストを行う予定だ。

フルセグ受信は叶わぬ夢

ワンセグの受信はアンテナ内蔵タイプとしては比較的良好。室内で電波が入りにくい状況でもしっかりチャンネルサーチが完了し、映り出しまでのラグも短い。

ただし全画面表示でワンセグを視聴するのは相当に辛いものがある。それもそうだ。地上波デジタルテレビのフルセグは1440×1080ドットのフォーマット で送出しているが、HTC J Butterflyはそれを超える1920×1080ドットのフルHDディスプレイ。言うならばフルセグ用を受信してやっと “まともになる” といっても過言ではない。320×240ドットのワンセグが見るに堪えないというのは当然である。

ワンセグの画面だけオーバーレイ表示(PIP)させて別の作業ができれば…と思うが、残念ながら諸問題も絡んで実現は難しいと思われる。

バッテリーの持続時間は安心とまではいかず

HTC J Butterflyは2020mAhのバッテリーを搭載している。スマートフォン全体としては決して少なくない容量ではあるが、フルHD表示に対応した5インチのディスプレイともなると心もとない。では、実際のところはどうなのか。

結果を言ってしまうと「通常使用なら問題ないが、余裕があって安心という程でもない」といった具合だ。

Wi-Fi&GPSは常時ON、BluetoothはOFFという状態で、Wi-Fi環境で2時間、LTE環境で1時間程度ブラウジングする使い方では楽に1日持ってしまう。もちろん1日1回の充電は必要ではあるが。

通勤&通学・昼休み利用ならば、帰宅時に50%以上残っていると思われる。ただし、左記に通話や電車移動を伴う通信を行うとバッテリー消費量が激しくなることが予想される。そうなると30%以下といった事もあり得るため、学校や仕事終わりに外出する際には補助電源が必要になるシーンも出てくるだろう。

上図は、日中の屋内(一般家庭の明るさ)で、明るさオート設定にして1時間Wi-Fi経由でブラウジングを行った際のバッテリー消費グラフ。結果は26%→7%に減少した。

画像左:12月17日は1日使って10%台まで落ち込む。飲み会で遅くなる日は電池切れの可能性も?
画像右:6日間のスパン。頻繁に充電する日もあったが、消費量としては毎日変わらず。

購入してから8日。約1日で使い切るパターンが殆どであった。やはり毎晩の充電は欠かせないようだ。

あとがき

HTC J Butterflyのレビューを2回に渡ってお送りしてきましたが、とても良くできた端末だと思います。1回目で触れたように、TVCMでは徹底的に「フルHD」という言葉を避ける姿勢は「売り方」として見習う点だと思いました。

以前に「HTC J」の売れ行き好調の影には乃木坂46のCMがあるのでは?という記事を書いた時に多方面からお叱りを頂いたのですが、それでも私はそういう売り方があっても良いと思います。「ガジェットにあまり興味がないライト層に対して、端末を使って実現する楽しい生活を提案する」。そして、その人達が楽しい生活を送れたならばとても喜ばしい事だと思います。

商品を使ったビジョンを提示するのに、なにもアップルのやり方をまねなくて良いのです。落ち着いた男性の声で家族の笑顔を交えながら機能を使ってるシーンをカッコ良く撮ったCMは必ずしも必要ありません。日本という文化とターゲット層に合わせて、アイドルグループがただ写真を撮って笑ってるCMでもよいわけです。製品立案の段階から広告販売戦略まで一貫した流れを実現していることに、KDDIとHTCの両チームには賛辞を送るに相応しいと考えています。

HTCの次回作が本当に楽しみになってきました。興味を持ったきっかけが「フルHD」でも「乃木坂46」でも「99連写」でも何でも良いので、興味を持った方はぜひ店頭で端末に触れてみてください。

ソーシャルシェア

このニュースでディスカッション
  • コメントを投稿する際には「コメントガイドライン」を必ずご覧ください
  • コメントを投稿した際には、コメント機能利用規約(ガイドライン)に同意したものとみなされます
  • 主要ニュースサイトなどの「許可サイト」以外のURLを含む投稿はコメントが保留されます