MSの本気タブレット「Surface」を試す ―ファーストインプレッション

今回は、Windows RTを搭載した「Surface」のファーストインプレッションをお届けします。

私自身、Surfaceが初めてのWindowsタブレットということもあって新鮮味もあり、なかなか面白い端末だと感じました。同じタブレット製品でもiPadやAndroidタブレットとは別物と言って良いかもしれません。というのも「PCっぽさを残しつつタブレットにもなる端末」という言葉がぴったりだからです。

その一方で、残り続ける “PCっぽさ” がマイナス側に振れるシーンも多々あります。その辺りは次回掲載するレビュー編でお伝えするとして、今回のファーストインプレッションでは、主に外観や物理的な操作性についてお伝えします(ただし、ガッツリ書いてしまったので外観編のレビューといった感じになってしまいました)。

本体は質感のあるしっかりした作り

Surfaceは従来のMicrosoftに対するイメージを180度変えてしまうかのような商品です。本体や化粧箱に至るまでタイルUIのデザインテイストで統一されており、まるでシンプルな “おしゃれ文具” のような印象を受けます。

本体を取り出すと最初に感じるのがずっしりとした重さと重厚感。10.6インチタブレットなので7インチタブレットのような軽さはなく、重さも本体単体では676g、タッチカバー付きで約888gになります。

Surfaceが不思議なのは、単純に重いだけではなく重厚感があることです。理由を考えてみましたが「エッジの処理」「背面の材質」の2点に秘密がありそうです。

タッチカバー付きでは888gに

例えば、iPadはエッジが丸く処理されていますが、Surfaceは比較的鋭角に処理されています。そのため、その角を通じて重さが鋭く伝わってくるので堅くて重い印象を受けるのです。それが決して悪いという訳ではなく、「安っぽさ」を微塵も感じさせない上に、トレンドになっている丸みを帯びたタブレットとは一線を画すデザインといえます。

背面はシックな仕上げで、マグネシウム合金の質感もGood

背面素材には「VaporMg」というマグネシウム合金を使用しているので、端末を持った際に適度な冷たさと堅さが『質』という形で伝わってきます。素材の性質上、指紋や手垢が付きやすい部類ですが、ファイバークロスで軽く拭けば綺麗に落ちるので過度に心配する必要はありません。

持ちやすさという点でNexus 7に代表されるラバー素材も良いものですが、質感という点では金属がやはり上手。当然、それが値段にも反映されているようで、「32GBモデル+タッチバー付きモデル」は600ドルで販売されています。つまり、安さと大きさのバランスを重視するタブレットとはカテゴリが異なると言って良いでしょう。

本体サイズは275(W)×172(H)×9.3(T)mm。参考までに第4世代iPadは241.2(W)×185.7(H)×9.4(T)mmですので、大きさはさほど変わらないといった感じでしょうか。画面のアスペクト比がSurfaceは16:9であるのに対し、iPadは4:3を採用しているのでその差に応じて縦横の長さが変わります。ちなみに、画面サイズは10.6インチなのでiPadの9.7インチより約1インチ大きくなります。




液晶画面の品質は?

タブレットが普及するにつれて液晶画面の品質向上が求められているように感じます。安価なタブレットにおいて、品質のバラつきがクローズアップされたことも影響しているのかもしれません。

10インチサイズともなると「端末自体の薄さ」と「ベゼルの細さ」を実現しながら均一にバックライトを照射することが困難になります。それが黒背景を表示した際に「光漏れ・ムラ」といった形で顕著に表れるので、メーカー側も苦心していることでしょう。

肝心のSurfaceはどうかというと…。個体差はあるものの、本体下部と左下・右下の角に若干の光漏れが散見されました。しかし常用使用では全く問題にならない程度です。

では、どういうときに光漏れを感じるのかというと、真っ暗な部屋の中で黒一面の画面(例えば映画のエンドロール)などを表示した際にやっと気付くといった具合です。そのような使い方はレアパターンなので、光漏れを終始感じることなくSurfaceを使い続けている方も多いはず。常用使用でも目立つ「白画面での黄ばみムラ」よりは “数千倍マシ” というのが正直な感想です(個人差)。

発色と諧調は比較的良い部類といえるのではないでしょうか。ガジェット速報のフッターにある黒のスクウェア柄は液晶パネルの品質によって表示が異なる仕様になっているのですが、しっかりと諧調が表現されており、品質としては及第点といえます。(※ぜひ、店頭でホットモックの液晶品質を簡易確認する際に使ってみてください)

さて、Surfaceは10.6インチの液晶ディスプレイで1366×768ドット表示に対応しています。iPadを筆頭に、Nexus 10なども加わって競争が過熱している高精細の画面(いわゆるRetina)ではありません。

ブラウザでウェブサイトを表示していると、やはり文字の粗さは気になるところ。「iPad miniとどっちが気になる?」と言われると、同程度といった感じでしょうか。PPIで比較してもSurfaceが147ppiであるのに対してiPad miniが162ppiですので、目で見て分かる差ではありません。

左からSurface/iPad mini/iPhone 5

充電方法に難あり

本体側面右下には5pinの充電端子があります。Apple製品で採用されているMagSafeのような磁石式なのですが、磁力はやや弱め。くっ付く際のイメージを言葉にすると、MagSafeを「ピシッ」と表現するならばSurfaceは「ペタッ」という感じです。人差し指で軽く上から押しただけでも外れてしまうので、弱すぎるかな…という印象を持ちました。

さて、実はこの充電方式が厄介で、Surfaceの充電方法は5pinの専用ACアダプタのみとなります。microUSBはもちろん、備えられているUSB端子からの充電には対応していないのです。

各種スマホの充電器と共用したいユーザーにとっては大きなマイナス点です。前向きに捉えれば “ノートPCライクだから当然” といえるかもしれませんが、旅行時に荷物が増えてしまうのが難点です。

注目のキーボードスタイルは?

Surfaceの本体とタッチカバーは磁石でくっ付きます。本体からキーボードに電力を供給する接点部分が磁石になっており、位置を正確に合わせなくても強力な磁石の力でピタッと合致します。

こういう合体型端末の場合、大抵は端子位置を正確に合わせる必要があるので煩雑に感じてしまうものですが、強力な磁石が位置合わせをアシストしてくれるので楽に行えます。すぐに外して、すぐに付け直すといった使い方をしても苦になりません。

ちなみに、充電アダプタの磁力とは全く別物で、タッチカバー側を持ってSurface本体を揺すっても外れないほど強力です。

Surface本体とタッチカバーのキーボードはBluetoothを通じて繋がります。初めて使用する際であっても、電源を入れればペアリング作業無しで利用できる点も好感が持てます。

通常、Surface本体に付属するタッチカバーは「ブラック色」になります。写真では「シアン色(青)」のカバーが写っていますが、これは別売のもの。レビュー的には打感のある「タイプカバー」を買うべきなのですが、Surfaceを初めて見た時の青色がどうしても忘れられなくてシアン色を別途購入してしまいました。

Surfaceはタイプカバーの色で印象が大きく変わります。ブラック色の場合は当然落ち着いた端末に見えますが、シアン色に付け替えた途端にビビッドな青色が目に飛び込んできて、Windows 8が持つ躍動感のようなものを感じます。Windows 8のCMが日本でも流れていますが、まさにあのイメージそのもの。カバー1つでここまで印象が変わる端末もなかなか珍しいかもしれません。

左が付属のブラック色 / 右が別売のシアン色
素材が違う

ちなみに、カバーの背面素材は色によって差があるようです。ブラック色ではフェルト調であるのに対して、シアン色はポリウレタン系の素材になります。

気になるタイピングの感覚ですが、打感がないタイプのキーボードとはいえソフトウェアキーボードとは一線を画します。物理的にキーが存在するというのが非常に重要で、タッチタイピング(ブラインドタッチ)も楽々こなせるほど。タブレットのみだと情報を受け取る「ビュワー用」としての役割がメインになりますが、Surfaceの場合は情報をアウトプットする用途としても使用できるレベルです。

FとJキーにはホームポジションを示す刻印
タッチパッドはやや小さめ,縦にあと1cmは欲しいところ

一般的に、iPadやAndroidタブレットにBluetoothキーボードを繋いだだけでは、操作が「キーボード+タッチパネル」の組み合わせになるので使い辛いものですが、Surfaceのタッチカバーにはマルチタッチに対応したタッチパッドが存在します。そのためマウスカーソル操作も手元で行えるので苦になりません。こうなると、もはやノートPCのようです。

2本指でスクロール操作が行えますが、スクロールの方向はいわゆる “スマホ式” が採用されています。つまり、ウェブページなどを下にスクロールするならば下から上へとタッチパッドをなぞる必要があります。これを逆方向にする設定が見当たらなかったのですが、逆方向操作にも対応して頂けると嬉しいものです。

Shiftキーを押しながらの操作も可能なので、大文字と小文字を混ぜ合わせたパスワードの入力も楽々こなせます。ネット通販を利用する際にタブレットでは氏名や住所などの情報を入力するのが億劫ですが、Surfaceなら苦になりません。

さて、1点だけ言及しなければならないのが「タイピングの衝撃が指にダイレクトに伝わる」という点です。パソコン用のキーボードは、キーを押下した際にバネで衝撃を吸収してくれます。ところがタッチカバーの場合はバネがないので、押下した際の衝撃がそのまま指に反動として伝わるのです。

感覚的には普通のキーボードと同じ使い方をしてしまうので、ソフトウェアキーボードとは違って押下する際の力は強くなりがちです。また、前述したようにタッチタイピングもできるレベルですので、キー入力の速度が上がれば上がる程、力強くタイプしてしまうことも。個人差はあるものの、長時間タイピングする用途には向かないといえるでしょう。Microsoftもそこは十分に理解しているので、打感のある「タイプカバー」が別売されています。

となると、タイプカバーもやっぱり買えばよかったと思うのが正直なところ。国内販売が始まったあかつきには購入したいと思います。

動画視聴用ディスプレイとしても使える

Surfaceは端末単体で立たせることができるので動画視聴用のディスプレイとしても使えます。1点だけ注意があるとすれば、Windows RTでは「Windows Media Center」を利用することができません。

購入してそのままDLNA経由で動画再生をガンガンできる!と思っているとガッカリすることになります。その辺りはiPadや標準のAndroid OSでも同じことなのですが、Microsoftが提供するMedia Centerは非常に強力かつ優秀なマルチメディアソフトウェアなので欲しくなるのが心情というもの。

Media Centerの公式ページに行くと「Windows RTはストアでマルチメディアアプリを探してください」と言われるのですが、現時点では決定版的ソフトが存在していません。今のオススメは「Multimedia 8」というアプリ。DLNA経由で動画や音楽を再生することができます。動画はサムネイル表示も対応していますが、ファイル数が多くなると読込に時間がかかるのが難点といえます。DTCP-IPはもちろん非対応です。

Multimedia 8

さて、ソフト面のお話は次回に持ち越すとして、動画視聴時には欠かすことのできない「ステレオスピーカー」について触れてみます。

画像一番右端がスピーカー , 左右に1基ずつ備える
ちなみに、左からUSB2.0/HD Video OUT/スピーカー

本体上部側面にスピーカーが左右1基ずつ備えられています。これらはステレオスピーカーとして鳴らすことが可能で、音質は内蔵スピーカーとしてはそれなりに良いといったところです。もちろん、内蔵スピーカー特有の音の厚みの無さと、こもった感じが否めませんが、筐体が振動することによるビビリ音もしませんし、極端に音割れするようなこともありません。

寝ながら視聴するパターンにはぴったりといえる端末で、管理人の中では決定的な端末となりました。

端末の使い勝手は?

最後に端末の使い勝手について触れてみたいと思います。

Surfaceは非常に使い勝手のよい「腰を据えて使うタイプのタブレット」であるといえます。10インチ級のタブレット全般がそのカテゴリに属しますが、Surfaceも例外ではありません。

ちなみに、わざわざ机に置いて使う必要はなく、膝の上にフルフラット形式で置いても使えます。ソフトウェアキーボードで画面が占拠されることがないので、他の10インチタブレットより断然使いやすく感じます。

ケース派の方には残念なお知らせですが、背面にケースを付けると端末の良さを殺してしまいます。裸で使うことは必至といえそうです。なお、タッチカバーが覆うのは液晶画面の部分のみですので、アルミ合金製の背面は実質無防備状態。机などに放置するときはカバー面を下にして置いた方が傷が付きにくいことでしょう。

なんとなくカバー面を下にして置きたくなってしまう…

持ち運びに関してはカバーを含めると約888gになるので、ちょっとしたノートPCを持っているような感覚です。ただし、10インチのiPadなどを持ち歩いている方は大抵、見開き型カバーを付けて持ち歩いていると思うので、それを考えると同程度の重さになるのではないかと思います。

総合的にハードウェア(外見・使い勝手)を評価すると「★★★★☆」です。マイナス1個なのは充電手段がACアダプタに限定される点です。これだけは本当に惜しいと言わざるを得ません。それ以外は大満足の端末なので、個人的にはとても気に入りました。

ハードウェアをスペック的に見た場合やソフトウェア自体をみた場合の点数は…と、その辺りのお話は次回に持ち越します。

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