香港理工大学とアイントホーフェン工科大学が新たな綿材料を開発 ―砂漠の緑地化などに期待

お世話になっております、くまむんです。ガジェットや電化製品とは直接関係のない話題ですが、面白そうだったので管理人様に確認したところ、OKが出たので書かせて頂きました。茶飲み話にでも見ていただけたらと思います。

Gizmagは21日、オランダのアイントホーフェン工科大学と香港理工大学とが共同で、新たな綿材料を開発したと伝えています。この綿材料は、34℃以下では気体状の水分を吸収し、34℃以上になると液体状の水として放出する特徴を持っているとのことです。

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なぜこのような事が可能かというと、ポリイソプロピルアクリルアミド(poly-N-isopropylacrylamide = PNIPAM※)という特殊な物質を綿にコーティングすることで上記のような機能を実現しています。

※ Googleなどでこの物質について検索してみると”PNIPAAm”と”PNIPAM”という表記が混在していますが、両方とも同じ物質を差します。ここでは表記のしやすさを考慮して”PNIPAM”で統一しようと思います。

以下は、PNIPAMがコーティングされた綿の電子顕微鏡写真になります。34℃以下では左下の画像のようなスポンジ状の構造をとっており、水を取り込みやすい状態(親水性)になっています。この時、PNIPAMをコーティングした綿は自重の3.4倍の水分を吸収することができます。(コーティング無しでは自重の約0.2倍)

しかし、温度が34℃以上に上がると右下の画像のように隙間が密に詰まった構造に変化し、綿は水を弾きやすい状態(撥水性)に変化します。この結果、内部に蓄えられた水分は搾り出されるようにして水滴となり、外部に放出されます。

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記事では、この新たな綿材料の活用例として、砂漠のような乾燥地域において、気温が低くなる夜間にこの綿材料で作製したシートで農作物や水をいれるための容器を覆っておくことで、陽が上り温度が上昇した時に自動的に水が供給されるようなシステムが実現可能であると述べています。また、集水テントやスポーツ用速乾性ウェアなどへの応用も期待されるとしています。

研究チームを率いる香港大学のJohn Xin教授とアイントホーフェン工科大学のCatarina Esteves教授は、これからもこの綿材料の改良を続け、親水性の状態で内部に取り込む事のできる水分量を増やしたり、より低い温度で親水性から疎水性へ変化させるなどして、より一層の高機能化を実現させてゆきたいと語っています。

住宅向け建材としての研究例

前記のPNIPAMを用いた別の研究例として、チューリッヒ工科大学の実験をご紹介いたします。

このグループの実験では、下図a,bのように家の模型を2つ用意し、一方の屋根にシート状のPNIPAMを貼り付け、もう一方には温度により性質が変化しない親水性ポリマーを貼り付けました。

この2つの家の屋根に同量の水分を含ませて、真昼の日照状態に相当する条件下に置いて温度上昇の違いを比較したところ、PNIPAMの屋根の方が気化熱の効果で温度上昇が緩やかになることが確認されたとのことです。

実際の建物での検証実験はもう少し先になるようですが、もしきちんとした実証データが得られれば、自己冷却機能を持つ新たな建材として注目が集まるかもしれませんね。

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(注釈: http://www.materialsviews.com/skyscrapers-sweat-it-out-sweating-surfaces-for-building-materials/ より引用)
(参考: 気温が上がると汗をかく建築材料! 気化熱効果で夏も快適に?

今後の展望

PNIPAMのように、温度に応じて状態が変化する材料のことを「温度応答性ポリマー」と呼びます。

現在、このような温度応答性ポリマーは、薬を体内の特定箇所に運ぶためのドラッグ・デリバリーシステムと呼ばれる技術や血中のがん細胞を補集するための技術など、主に医薬分野を中心に使用されており、一般的にはあまり知られていません。

しかし、個人的には、今回ご紹介した応用例のように、既存の技術・製品と組み合わせることで新たな可能性を創出することができる凄い材料だと思っています。皆様はどのようにお考えでしょうか?ぜひコメントを頂ければと思います。

[Gizmag]

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