NTTドコモ、HEVCデコーダを提供開始へ ―スマホにも対応

NTTドコモは4日、動画圧縮の次世代標準規格であるHEVC方式(H.265)で圧縮された動画を、モバイルやPCで再生するソフト(デコーダ)を国内外の事業者向けに3月から提供すると発表しました。

このデコーダの特徴的な点は、スマートフォン向けのHEVCデコーダとして世界で初めてフルHD再生に対応したということです。

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HEVCは現在主流となっているMPEG-4 AVCの後継規格で、H.265とも呼ばれています(以下「HEVC」という)。同画質の動画をAVCに比べて約半分のデータ量に圧縮できるのが特徴です。ドコモによると、WVGA(800×480, 30fps)の場合1.6Mbps→800kbpsに、フルHD(1920×1080, 30fps)だと3.2Mbps→1.5Mbpsに削減できます。

先日、「HEVCが国際標準規格となった」という記事の中で、「対応する再生ソフトの開発が急がれる」と書きましたが、まさにそれが登場したといえます。

このデコーダは高効率な処理を達成しており、処理速度が追いつかないことで発生する「再生の遅延・コマ落ち」をなくし、滑らかな「リアルタイム再生」を実現しているとしています。

PCでは4K(3840×2160, 60fps)まで、スマートフォン・タブレットではフルHD(1920×1080, 30fps)まで「リアルタイム再生」に対応しています。ドコモはこれを国内外の事業者にライセンス提供していくとしています。各企業にライセンスを提供することによって、動画サービスの高画質化や通信ネットワークへの負荷軽減が期待されます。

ドコモは、HEVCの構想が始まった2007年から標準化を先導して推進してきました。モバイル向けにも応用ができるように同社が独自で提案した仕様が採用され、圧縮性能などを向上させる幅広い技術を提案し、規格策定に大きく貢献してきたと発表しています。また2011年末から、HEVCを用いてスマートフォン上でのフルHD動画、PCでの4K動画のソフトウェア再生を世界に先駆けて実証実験していました。

今後はdビデオやdアニメストアなど、ドコモの動画サービスにHEVCを取り入れる検討を進めていて、自社から積極的にHEVCの普及を促進していく姿勢を見せています。

ここで疑問に思った方もいらっしゃるかもしれませんが、今回ドコモはフルHD再生に必要なスマートフォン・タブレットのスペックを公表していません。しかし、参考になる記述がドコモの技術開発情報雑誌「NTT DOCOMO テクニカル ジャーナル」にありましたので引用します。

開発を進めた結果、規格草案DIS(Draft International Standard)仕様のHEVCデコーダは、Dual Core 1.5GHzのARMプロセッサ上でソフトウェアでもHD品質のHEVC動画(720p、毎秒30コマ、1Mbps)を実時間再生可能であることが実証された。(VOL.20 NO.4 Jan.2013より)

これは今回の発表前の情報ですが、先月号(最新)のものですから現在の状況に近いといえます。このスペックは2012年に登場したAndroidスマートフォンならば大方満たしています。また同雑誌によると、この時のCPU使用率は約60%で、8時間以上の連続再生に成功したということです。この資料作成当時に比べて技術向上が見られたとしても、1.5GHzデュアルコア程度ではフルHD再生はできないのではと推測します。

しかし、2012年秋以降のスマートフォンはクアッドコア搭載機も多数登場しましたので、それらは余裕をもってフルHDのHEVC動画を再生できると思われます。ようやく、オーバースペックとも思われたクアッドコアの本領が発揮されるでしょう。

ドコモはこのデコーダの実演デモを、まずは2月14日から武蔵野市で始まるNTT R&Dフォーラムにて公開し、さらに2月25日からスペインのバルセロナで始まるMWC 2013のドコモブースでも展示する予定です。

[NTTドコモ via AV Watch]
[動画トラフィックを半減する動画符号化方式HEVCの標準化完成とモバイルへの展望(pdf)]

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