パナソニック、結晶系シリコン太陽電池での世界最高変換効率を達成

パナソニックは12日、単結晶シリコン(単結晶Si)とアモルファスシリコン(a-Si)を組み合わせた方式の太陽電池「HIT太陽電池」において、実用レベル(101.8平方cm)の結晶系シリコン(結晶系Si)タイプの太陽電池としては世界最高の変換効率となる24.7%を達成したと発表しました。

si-001

太陽電池とは

パナソニックが家庭用として販売しているHIT太陽電池とは、単結晶Siによるウエハーにシリコンヘテロ結合と呼ばれる技術によってa-Siを蒸着させたもの。一般的な単結晶Siのみによる太陽光発電よりも発電効率が上げられることがメリットであり、今回はそのa-Si膜を単結晶Si上に高品質な状態で形成することに成功し、キャリア(電荷)の再結合損失を低減、開放電圧(Voc)を従来の0.748Vから0.750Vへと改善することに成功しました。

そもそも、太陽電池とはどのようなものでしょうか。一般的に知られ、広く実用化されているのは、単結晶Siタイプ、多結晶シリコン(多結晶Si)タイプ、そしてa-Siタイプの3種類です。それぞれにメリットとデメリットがあり、単結晶Siタイプは太陽光からのエネルギー変換効率が20%前後と非常に高い代わりにコストが高く、多結晶Siは変換効率が15~19%程度と若干落ちるものの単結晶Siよりもコストを低く抑えられます。a-Siは最も安価で生産も容易ですが、それ単体ではエネルギー変換効率が1~10%程度と非常に低いのが難点です。

si-002

si-003

太陽電池の種類(シリコン系)
単結晶Si いわゆるICチップなどに用いられるシリコンを
そのままウエハー状に薄くスライスし、発電
システム用にトリミングしたもの。エネルギー
変換効率は高いものの製造が難しいために
コストが高い。家庭用太陽光発電システムの
ほか、人工衛星などでも使用される。
多結晶Si 単結晶Siによる製品の製造過程で出る端材や
単結晶Si製品として使えなかった品質のものを
一定サイズに砕き、練り固めたもの。単結晶Si
と比較してコストが安く抑えられるが、エネルギー
変換効率は若干落ちる。一般家庭用の太陽光
発電システムには最も多く利用されている。
a-Si 粉末状のシリコンをガラス基板などに蒸着させた
もの。最も安価な上に生産が容易で汎用性に
富む。熱に強く低照度下でも発電が可能だが、
エネルギー変換効率は著しく悪い。現在主に
使われる用途は電卓のソーラーパネルなど。

上の表にもあるように、多結晶Siタイプの太陽光発電システムは広く一般家庭用として利用されており、特に京セラなどのメーカーが大きなシェアを持っています。

パナソニックが用いているHIT太陽電池は前述したように単結晶Siにa-Siを蒸着させたもので、その構造はサンドイッチ状になっています。高コストの単結晶Siに超低コストのa-Siを組み合わせることでより高い発電効率を達成し、コスト面でのデメリットを補おうというのがパナソニックの戦略なのです。

si-004

HIT太陽電池の改良に注力するパナソニック

今回のHIT太陽電池の改良では、単結晶Si基板を挟み込むa-Si層および透明導電膜層の光吸収損失の低減に成功し、セル表面のグリッド電極の面積を減少させることで遮光損失も低減させました。これにより、短絡電流密度(Jsc)を従来の38.9mA/平方cmから39.5mA/平方cmへと改善することにも成功しています。

また高アスペクト化などのグリッド電極の改良も行い、電流がグリッド電極中を流れる際の抵抗損失の低減にも成功。これによって曲線因子(FF)を0.822から0.832へと改善しました。

si-005

これらの改良により、これまでHIT太陽電池での最高発電効率は23.9%だったものを、0.8ポイント上回る世界最高の24.7%にまで引き上げることに成功しました。セルの厚みについても98μmを実現し、コスト面での問題をさらに改善。単結晶Siタイプの太陽電池のデメリットを大幅に抑制し、メリットを引き上げたのが今回の改良の内容と言えます。

太陽電池の今後と課題

太陽電池および太陽光発電システムは天候に左右されるとは言え新たなエネルギー源として多く利用されるようになりました。弱点だった供給電力の不安定性については蓄電技術と組み合わせることによって一定の解決の目処も立っており、特に各家庭用の小型発電システムでは発電した電力をバッテリーへ充電し、そこから安定的に供給するという手法が一般化しつつあります。

また太陽電池の材質についてもまだまだ研究開発が盛んに行われている最中であり、シリコン以外にも二酸化チタンをベースとした材料を使い、塗料のように金属板やガラス板へ塗るだけで発電が行えるものや、プラスチック素材を用いたものなども開発されています。

先の福島第一原発の事故以来、原子力以外のエネルギー源の開発と確保が現代の最重要課題となりつつありますが、太陽光発電システムはその中でも最も身近で実用化の進んだ技術と言えます。まだまだ電力の安定供給という点においては不安が残るシステムではありますが、今後のさらなる改良と発展に期待したいところです。

[マイナビニュース]

このニュースでディスカッション
  • コメントを投稿する際には「コメントガイドライン」を必ずご覧ください
  • コメントを投稿した際には、コメント機能利用規約(ガイドライン)に同意したものとみなされます
  • 主要ニュースサイトなどの「許可サイト」以外のURLを含む投稿はコメントが保留されます