スマホ向け動画見放題サービスを比較! ―各社のコンテンツ戦略とは

ソフトバンクがスマホ向けの動画見放題サ−ビス「UULA」を今月14日に開始し、同サービスで先行するNTTドコモの「dビデオ」、auの「ビデオパス」に負けじと徹底抗戦する構えを見せています。

そこで、動画見放題サービスの先駆け的存在「Hulu」を加えた同サービスの比較と、携帯電話各社が通話やデータ通信以外のコンテンツに注力する背景を紐解いていきます。

各社の料金とコンテンツ数比較

名称 dビデオ ビデオパス UULA Hulu
月額料金 525円 590円 490円 980円
動画本数 約57000本※1 約3000本 約60000本※2 約6000本
対応端末 ドコモ端末の
スマホ/タブレット
au端末の
スマホ/タブレット/PC
ソフトバンク端末の
スマホ/タブレット
スマホ/タブレット/PS3/
Wii/WiiU/Xbox/PC/
各種TV/各種VOD
(AppleTVなど)

※1ミュージックビデオ/カラオケを含む
※2ミュージックビデオ/歌詞を含む

dビデオ

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Credit:NTTドコモ

「dビデオ」はドコモ系のサービス。配信数は約57,000本と、UULAに次ぐ配信本数を誇っていますが、ミュージックビデオやカラオケの本数も含んでいるため映画やドラマに絞ると配信本数は少なくなると思われます。内訳をみると、映画は1000タイトルを超える本数を揃えていますが、ドラマは200タイトル前後と配信本数は多いとは言えない状況です。

現時点で配信されている映画タイトルの一部を列記すると、「ツレがうつになりまして。」「わさお」「きみにしか聞こえない」「X-メン」といった比較的新しい邦画から洋画までカバーされています。アニメは「北斗の拳」「ひみつのアッコちゃん」「魔法使いサリー」といった往年の名作はもちろん、「ほしのこえ」「秒速5センチメートル」「アイス・エイジ」「魔法にかけられて」といった映画タイトルも存在します。

dビデオはBeeTVのオリジナルコンテンツを視聴できるという他社にはない特徴があり、有名芸能人をを起用したドラマやバラエティの番組など、独自コンテンツの配信を積極的に行なっています。

ビデオパス

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 Credit:KDDI

「ビデオパス」はKDDI系のサービス。配信数は他社に比べると一番少なく、レンタル動画の本数も含んでいることも相成って、月額見放題で見れる動画本数は2000本以下と推測されます。ただし、大手3大キャリアの中では唯一「PCでも視聴できる」という点が特徴で、AndroidだけでなくiPhoneからも利用可能です。

dビデオと同様に映画はそれなりの本数を取り揃えていますが、ドラマは200タイトル前後でdビデオと同程度の配信本数となっています。 

レンタルでは最新作も存在しており、「メリダとおそろしの森」「アベンジャーズ」といったタイトルから、「シンドラーのリスト」「アルマゲドン」「バック・トゥー・ザ・フューチャー」といった名作が配信されています。

大きな特徴としては「TBSオンデマンド」が見放題プランで利用できること。TBSの人気ドラマ「ケイゾク」「オレンジデイズ」「会談新耳物語」「高校教師」「ダブル・キッチン」「私の運命」「渡る世間は鬼ばかり」といったドラマを楽しむことができます。 

海外ドラマの見放題プランでは「LOST」「HEROES」「Dr.HOUSE」「デスパレードな妻たち」なども配信。アニメは見逃し需要に対応する「リトルバスターズ!」の配信や、「ヤマノススメ」「まんがーる!」といったタイトルがレンタルとして視聴可能です。 

KDDIはauスマートパス(アプリ取り放題サービス)の会員特典として、うたパス(音楽聴き放題)やブックパス(本読み放題)の割引も提供しており、ビデオパスでもauスマートパスとセットで料金が優遇されるプランが用意されています。KDDIは豊富な “○○放題” を武器に、他社とは異なる手法でユーザーの囲い込みを狙っていると思われます。

UULA

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Credit:ソフトバンク

UULAはソフトバンク系の最後発のサービス。エイベックスグループとの協業によって、約60000本の配信本数を誇り、月額490円という安い料金設定が魅力です。エイベックスグループといえば多角的なエンターテイメントグループですが、なんといっても主力は「音楽」。UULAも例外ではなく、音楽に主軸を置いたコンテンツ展開がなされています。

多彩なミュージックビデオの提供はもちろんのことですが、配信本数のカウントには「歌詞」が含まれているのも特徴。従って映画やドラマなどの配信本数が多いという訳ではありません。

しかし、JOYSOUNDが提供カラオケコンテンツがあることを考慮すると、単なる配信本数の水増しというよりは「カラオケを自宅で練習できる」といった使い方に主眼が置かれているのかもしれません。

映画やドラマを目当てにUULAを選択すると、現時点ではガッカリする可能性があります。

Hulu

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Credit:Hulu

Huluの魅力はマルチデバイス対応で、スマホやタブレットだけではなくゲーム本体での再生など豊富な視聴環境と、他社より圧倒的に多くの海外ドラマが配信されている点です。そこは海外発サービスならではといったところでしょうか。 

映画は1000タイトル前後と他社と同程度ですが、海外ドラマは倍の300タイトル前後と多きく差が開いており、特に日本でも人気の高い定番の海外ドラマ「LOST」や「PRISON BREAK」はもちろん、アメリカでも放映中で日本のレンタルビデオでも人気のある「THE WALKING DEAD」も配信されており、他の動画見放題サービスに比べて海外ドラマの配信スピードも早く、アメリカで基盤を持つ同サービスの特徴を日本でも活かしています。

また、テレビ東京との提携により映画にもなった「モテキ」をはじめ「勇者ヨシヒコと魔王の城」「孤高のグルメ」「鈴木先生」も配信されており、海外ドラマ以外のコンテンツも強化しています。

アニメに関しても「ルパン三世シリーズ」「あしたのジョー」など往年の名作から「侵略!? イカ娘」「ゆるゆり」といった近年人気のあるアニメの配信も行なっています。

Huluは2012年4月に1480円から980円へ料金を値下げしましたが、今回紹介した他社の動画見放題サービスと比べても料金は高く、映画や海外ドラマのコンテンツ量で劣る他社も、Huluを意識した料金設定をしているものと思われます。しかし、値段が高いだけあって他社に比べてコンテンツ量は豊富で、他社には無いコンテンツも多く揃っています。

コンテンツ戦略の背景

最近になって大手携帯キャリア3社が揃いも揃ってコンテンツ配信を手掛けるようになり、つい先日にはプラットフォームを解放して相互にユーザーが利用できるようになると報じられました。なぜ、各社はこのようなコンテンツ配信事業を推進することになったのでしょうか。それにはスマートフォン時代の “脱土管屋” を賭けた戦いが存在します。

フィーチャーフォン時代には「iモード」に代表されるような囲い込みコンテンツをユーザーに提供することで、通話・通信料金以外からの収入を確保してきました。その施策が成功しており、世界の通信事業者の中でも日本の3社は際立ってARPU(ユーザー1人あたりの課金額)が高いという状況を維持してきたのです。

ところが、アプリの配信プラットフォームがアップルの「iTunes」やグーグルの「Google Playストア」に移動しつつあり、高性能のスマートフォンが台頭することでHuluのような開かれたコンテンツ配信サービスも手軽に利用できるようになりました。その結果、ARPUが低下傾向にあるのです。

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Credit:ソフトバンク

上図の資料は、ソフトバンクが2012年第3四半期決算説明会で発表したプレゼンテーション資料の1コマです。

格安な定額データ通信サービスや無料通話などの影響で各社とも年々ARPUが低下しており、売上を大きく伸ばすには新規顧客の獲得に加えて通話やデータ通信以外の分野で、いかに魅力的なコンテンツを揃えてお金を落として貰えるかが勝負になっています。

もはや日本の携帯キャリアが、アップルやグーグル、アマゾンといった米国企業と同じ土俵の上でコンテンツ配信業者として競争する時代に突入しているのです。携帯キャリアが抱える膨大な既存顧客に対してサービスを訴求しやすいというメリットを活かして、どこまで善戦できるのか注目されます。

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