世界の海底ケーブルはどうなってる?2013年版マップが公開

元記事が公開されてから少し時間がたちましたが、最新の通信ネットワークの状況を知るのにとても良い記事ですので、紹介いたします。

TeleGeography社は1月31日(米国時間)、「海底ケーブル地図(Submarine Cable Map)」の最新2013年版を公開しました。画像版のほか、任意に拡大・移動できるインタラクティブ版もあります。

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海底ケーブル地図を見る。

この地図について、少し解説しましょう。

メインの大きな地図「SUBMARINE CABLE MAP」は、海底を走る光ケーブルの本数を示していて、それによると現在世界に232本の海底ケーブルがあります。これがいわば世界を結ぶ情報の幹線道路です。

この地図では1本あたりのケーブル容量が描かれていないため、ケーブルの本数とその区間での通信容量は比例しませんが、本数の多いところは基本的に通信が盛んにおこなわれているところとみてもよいと思われます。

すると、日本が主に通信を盛んに行っているのはやはりアメリカであると分かります。また、韓国・中国・フィリピン・シンガポールとも複数本の光ケーブルがつながっています。ほかにもニューヨーク周辺とイギリス・フランスの間、そして地中海には特に多くのケーブルが敷設されています。

次に、左下の「LIT SUBMARINE CABLE CAPACITY」と題された地図を見てみましょう。

lit cable capacity

これは、ケーブル配線の地図にケーブル一本当たりの容量を太さで重みづけした地図です。これを見ると、やはり太いのは「日本⇔アメリカ」「アメリカ⇔ヨーロッパ」そして「地中海」となっています。また、「インド⇔アフリカ東岸」も非常に大容量であり、アジアからヨーロッパまでをつなぐ重要な通信ラインとなっています。

また、それぞれの国の国際通信量がランクによって色分けされていますが、意外なことに日本は最上ランクに位置していません。最上ランクに位置しているのは、アメリカと結びつきの強いEUでも最も経済・金融的に強い国々、イギリス・フランス・ドイツ・そしてオランダだけです。

中央下の「Chronological Chart Of Submarine Cable History」と題されたグラフは、年ごとの「海底光ケーブルの敷設年」、それらの「地域別総容量」「地域別のシェア」「ケーブルの新規/更新比」「帯域の平均使用率」を示しています。地域とは、「環大西洋」「環太平洋」「アメリカ大陸」「アジア圏」「ヨーロッパ~アジア」「ヨーロッパ~サハラ以南アフリカ」の6つです。

cable history

図を見ると、2007年以降世界全体のケーブル容量は増加ペースを一層早めています。これはアジア~アフリカにかけてのケーブルの容量が増え始めたことが原因で、発展途上国にもインターネットが普及し始めたとわかります。

また、2006年のTwitter開始・Facebook一般開放・Windows Vista発売、そして2007年のiPhone発売以降、インターネット世界ではよりリッチでグラフィカルな見た目、そして常時「繋がっている」のが当たり前の新しいサービスが増えてきました。こうしたインターネットの新しい使い方は、通信量を増大させる一因となっています。

2012年現在、地域別で最もケーブル容量が多いのは「環大西洋」地域で、およそ17Tbps・シェアにして28%となっています。対して「ヨーロッパ~サハラ以南アフリカ」はおよそ2Tbps、全体の3%しかありません。

帯域の平均使用率は現在36%ですが、年々わずかずつ上昇しています。今のところ世界中で回線のパンクが起こることはなさそうですが、敷設ペースに比べて通信量の上昇ペースのほうが速い現状が見て取れます。

最後に、右下の「NETWORK LATENCY CONSTELLATIONS」を見てみましょう。ここは、代表的な国から世界各国への接続時の遅延(レイテンシ)を方角と長さであらわした図です。

latency

まず目に付くのがブラジルで、アメリカ大陸の各国以外との通信は非常に遅延が大きいことがわかります。理由は簡単で、南米大陸からの通信はポルトガルにつながっている一本のケーブルを除いて、全て北米経由で通信しなくてはいけないからです。

我々が最も気になる日本(Japan)の項目を見てみましょう。アジアの国々やアメリカとの間ではとても小さな遅延です。しかし意外なことに、日本はヨーロッパとの接続が非常に悪く、図中ではイギリスが最も遅延の大きい国となっています。

しかし、この状況も改善する兆しが見えています。

日本とイギリスを結ぶ最短距離は、北極海を経由する経路です。飛行機のルートを知っている方なら納得がいくでしょう。しかし、これまでは北極海に浮かぶ海氷のために、このルートに光ケーブルの敷設ができませんでした。

ところが、近年の温暖化に伴って海氷が縮小したため、ケーブルが敷設できるようになりました。その結果、日本⇔イギリスの遅延は従来の3分の1にまで劇的に縮めることができると見込まれています。現在はまだ開通していませんが、数年後にはヨーロッパ各国とも遅延の小さい通信ができるようになるでしょう。

まとめ

普段、我々が何の気もなく使っているインターネットですが、各企業の血のにじむような努力によって完成した海底ケーブルネットワークに支えられていることを意識することはあまりありません。今回の記事を通して、このようなインフラ整備をしている通信企業、そして現場で働く人に感謝しなければいけないと感じました。

[Submarine Cable Map via WIRED.jp]

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1 件のコメント

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  1. No Name 2017年7月25日 00:47 No.51048 返信

    もう2017年になったんで、ヨーロッパの状態が変わらぬまま。
    ロシア経由のルートがないのかな?

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