ANA、6月を待たずにボーイング787の運航再開を検討

日本経済新聞は19日、ANAが、ボーイング787の運航を6月までに再開する可能性があると報じています。これは、複数の媒体による全日本空輸次期社長・篠辺修副社長へのインタビューの中で明らかになったもの。

ボーイング787は、主要素材に炭素繊維複合材を使用するなど、最先端の技術を結集して作られた新型航空機です。日本の技術も多く使われており、愛称には「ドリームライナー」がつけられるなど、まさに “夢の飛行機” そのもの。

787

ところが就航直後からトラブルが頻出。今年1月7日にはJAL機がボストンで駐機中に発煙する事故が発生。同16日には、ANA機が機内火災で高松空港に緊急着陸する事故が立て続けに発生しています。

これを受けて1月16日にはアメリカ連邦航空局(FAA)が運航停止命令を発し、JALやANAを含む全航空会社のボーイング787の運航が停止しており、長期の運行停止は避けられないものとみられていました。

いずれも補助電源関連部分に何らかの原因があるかとみられており、一時は日本企業のGSユアサが製造するリチウムイオン電池に不良があるのではないかと疑われることもありましたが、今現在も原因が究明されていません。

ボーイングは早期解決に向けて、リチウムイオン電池が発火した際に延焼を防ぐ措置や、煙を強制的に排出する排煙機構を備えた改良案をボーイングが米連邦航空局(FAA)に提出。今月12日にはFAAが787の試験飛行を承認しており、15日にはボーイング幹部が運航再開を「数週間以内」と具体的に発表しました。これを受けてか篠辺副社長は、「5月末まで787型機なしのダイヤを作成しているが、その間に(改修作業などが)全部完了すれば6月を待たずに何かやれないか検討していきたい」と述べたとのことです。

気になる安全面ですが、篠辺副社長はボーイングの見通しより慎重に取り組む姿勢を強調しており、試験飛行の結果なども積極的に情報公開する考えを示しています。

thただし、ボーイングの発言・スタンスには疑問を感じずにいられません。まず、米国家運輸安全委員会(NTSB)が原因を究明できていない状況であるにもかかわらず、「とりあえず燃える可能性があるけど、燃えても比較的安全を保てるようにする」という代替案は常軌を逸していると言っても過言ではありません。機内火災は航空機に関する事故の中でも極めて深刻なものであり、過去にはサウジアラビア航空163便墜落事故など、深刻な事態に発生しています。

なお、NTSBが原因を究明できない状態にも関わらず、代替案でFAAが運行許可を出すか否かは不透明な状況です。ボーイングは、航空会社へ1日単位での補償金を支払う必要があり、1日でも早く早期再開に漕ぎ着けたいという考えがあります。また、航空会社は機材繰りの都合上、国内外の便で運休などの影響がでており、機材の改装作業にも遅れが生じています。これは経営にも影響を及ぼしている状況で、こちらも一刻も早く運行再開を望んでいます。

Dehavilland-Comet-Crash-one-of-manyボーイングという巨大企業を前にFAAがどこまで強硬な姿勢を保てるのか、NTSBの発言がどこまで尊重されるのか注目が集まります。

航空機は過去の事故を徹底究明して安全性を年々高めてきた歴史があります。それには多くの犠牲が伴っています。過去の事故で命を失った方々の死を決して無駄せぬよう、「原因を究明することで航空機の安全は高まってきた」という教訓を忘れずに、今回の件でも、必ず原因を究明した後に安全策を講じる「安全第一主義」をすべての企業が貫いて欲しいものです。

[日本経済新聞]

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