FCC、携帯電話から生じる電波の人体影響について「暫定基準を維持」

米国の連邦通信委員会 (Federal Communications Commission:FCC)は今週、携帯電話の電波が人体に与える影響に関する基準値に関して、当面は従来の基準値を維持すると発表しました。

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携帯電話の電磁波が人体に与える影響に関しては、一般的に単位重量あたりの人体組織に単位時間(秒)で吸収されるエネルギー量を表す「比吸収率(Specific Absorption Rate:SAR、単位はW/kg)」というものが用いられています。これは、数値が低いほど電波の人体影響に関する基準が厳しくなるということになります。

米国ではこのSARの上限値に関して、1996年にFCCが設定した1.6W/kg(測定単位は1g)という数値が長らく用いられてきました。しかし、スマートフォンの急速な普及によって携帯電話の使用スタイルが当時の「通話主体」のものから「メール/ブラウジング主体」に変化してきていることを受け、昨年8月に米政府監査院(Government Accountability Office、GAO)はFCCに対して同基準に関する再評価を行うように命じ、調査が行われていました。

今回のFCCの調査では、基準値については従来通りとするものの、耳殻(耳の部位の内、体外に突き出ている部分の総称)については特に電波の影響を受けやすいとして、「例外」であるとしています。

携帯電話から発生する電磁波が人体に与える影響については、これまでに様々な議論がなされてきましたが、いまだに確定的な見解は定まっていません。ただ、海外では電波の健康への影響に関して慎重になるべきだとする見方も多く、米国ではたばこのパッケージに用いられているような警告表示を携帯電話にも適用しようとする動き(Cell Phone Right to know act)さえあります。

日本ではほとんど意識することもないようなことですが、携帯電話の他にもメガネ型デバイスやスマートウォッチなどの次世代モバイル機器の普及がこれからどんどん進んでくることを考えると、国内でももう少し議論があっても良いような気がします。

補足

このSAR、日本では2.0W/kg以下(測定単位は米国と異なり10g)に設定されており、各携帯キャリアもこの事についてウェブサイト(ドコモauソフトバンク)上で掲載しています。これは日本が特別緩いというわけではなく、ユーロも同じ基準値を採用しています。

おことわり

SARの単位に関して「単位質量あたりに作用するエネルギー量」としましたが、”W/kg”という単位表記はこの内容に合致しないものです。しかし、各携帯キャリアをはじめとする関連団体の表記が「エネルギー量」とされていることから、慣例に従って上記のような表現にさせて頂いております。

[THE VERGE]
[参考1:電波の人体への影響(総務省)] [参考2:SARの現状(UL ウェブサイト)]
[参考3:制定から16年 – 米で携帯電話の電磁波基準見直しの機運(Wireless Wire)]

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