Google、新たな特許ライセンス体系を提案 ―パテント・トロール対策で連携呼びかけ

米グーグルは、製品やサービスなどを一切提供せずに特許収入だけを生業としている会社(いわゆるパテント・トロール)との間で相次ぐ訴訟を終結させるために、新たな特許ライセンス体系を提案し、このライセンスに基づいた横断的な連携を各社に呼びかけているとのことです。

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米国の特許事情も含めて、背景について簡単に説明します。

米国は、先進国の中でほぼ唯一とも言える「先発明主義」を採用している国です。これは、日本やEUなどが採用している「先願主義」と異なり、先に発明した人の権利が優先されるという制度です。言い換えると、既に他社が特許を取得している事案についても「自分が先に発明していたものだ」という主張が認められれば、権利を奪取することも可能ということになります。

google-watch-patent同国が先発明主義をとっている最大の理由として、「先願主義では発明を迅速に出願できる大企業と比べて、経済的・人的リソースの少ない個人発明家が不利になり得る」といったことが挙げられます。ただし実際には、先発明主義だから個人発明家が有利かというと、そういうわけでもないようです。

というのは、米国では先に出願された案件をまずは優先して扱い、後になって物言いが付いた時に裁判で発明の後先を争う「インターフェアレンス」という手続きをとる制度を採用しているのですが、このインターフェアレンスはかなりの費用がかかるため、個人発明家が訴訟を起こすのは現実的に困難であるという事情があります。一方で、「パテント・トロール」と呼ばれる会社は、豊富な資金力を基にこの仕組みを利用して「荒稼ぎ」をしているといった実態があり、大きな問題となっていました。

このような事情もあり、2011年に先発明制度から先願制度への変更を含む特許法改正案「Leahy-Smith米国発明法案」が米上院において可決されています。今月16日から施行されるこの法案ですが、施行日以降に出願された特許に対してのみ有効であるため、既存の特許権利を守るための取り組みは別途必要になります。

記事によると、このライセンス提携に関する最終的なゴールは未だに確定的ではないものの、現在グーグルは他社からのフィードバックを募集しており、これらの意見を基に次のステップに進むものと考えられるとのことです。同社で法務部長を務めるEric Shulman氏は、公式ブログ上で「我々の提案するライセンスでは、メーカーの経営自由度を高める一方でパテント・トロールによる特許係争を緩和することが可能で、より多くの会社が提携すればその分得られるメリットも大きくなる」としています。

なお、グーグルの提案するライセンスの詳細についてはこちらのサイトから確認することができます。

[THE VERGE][BGR]
[参考: Wikipedia ー米国の特許制度]
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