自動車・工業製品向けバッテリーの大手製造会社、ジーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ)は28日、27日に三菱自動車が公表したリチウムイオンバッテリーの火災および溶損の不具合についての声明を公表しました。

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問題の発端は18日、三菱水島製作所でEVバッテリーパック組み立て工場において、完成品検査のために充電中だった三菱自動車製車輌「i-MiEV」用バッテリーパック1個が過熱・発煙し、約1時間後に発火したというもの。

また20日は関東三菱自動車販売の神奈川地域にて、三菱自動車製車輌「アウトランダーPHEV」の登録前在庫車輌を納車準備のために充電放置していたところ、21日に車輌を移動させる際に異臭に気付き点検を行い、80個搭載されているうちの1つのバッテリーパックが異常加熱し、周辺セルを溶損していることが確認されました。

i-MiEVとアウトランダーPHEVに搭載されたバッテリーパックは、型番や形状は異なりますが基本的な設計は同じで、三菱自動車とGSユアサが合同出資しているリチウムエナジージャパン製。いずれの事故においても、怪我人や工場施設などへの損害はありませんでした。

アウトランダーPHEV

※アウトランダーPHEVのカットモデル。車輌床面に敷き詰められているのがバッテリーパック

この2件の不具合について三菱自動車は27日に会見を行い、中尾龍吾取締役は「詳細はまだ分からないが、製造過程で金属片が落ちたとか変形したという類ではないか」と現状を説明し、「1~2週間での原因究明を考えている。なるべく早く生産を再開できるようにする」と話しましたが、詳しい原因が判明するまでアウトランダーPHEVのオーナーに対し、外部充電及びチャージモードの利用を控えるよう注意喚起をしています。

この会見発表を受け、GSユアサも28日に声明を発表。GSユアサは原因についての詳しい内容については言及せず、「現在三菱自動車ならびにバッテリー製造会社のリチウムエナジージャパン、およびGSユアサの3社合同チームによる調査が進んでいる」とコメントするに留めており、「早期の解決に向けてGSユアサグループとして総力をあげて原因究明に取り組んでいく」としています。

ボーイング787のバッテリー焼損問題とは関連性無し

GSユアサの関連するリチウムイオンバッテリーの不具合というと、今年1月に起きたボーイング社製大型旅客飛行機「ボーイング787」でのバッテリー焼損事故が想起されますが、こちらの事故との関連性は無く、またボーイング787型機でのバッテリー焼損についても、バッテリー自体には問題がなかったとの報告がなされています。

ボーイング787型機に搭載されているバッテリーは航空機や衛星向けに製造されているもので、GSユアサが製造を行っているもの。一方、今回火災や溶損事故を起こしたバッテリーは、リチムエナジージャパンが製造を行っているもの。

設計自体にも違いがあり、GSユアサのバッテリーが正極にコバルト酸リチウムを用いているのに対し、リチウムエナジージャパン製のバッテリーでは正極に熱に強いマンガン酸リチウムを用いています。

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※ボーイング787型機の焼損したリチウムイオンバッテリー

リチウムイオンバッテリーの将来性と安全性

リチウムイオンバッテリーはその高いエネルギー密度と有機溶媒などの材料上、その他の二次電池(充電池)よりも異常発熱による焼損や火災、爆発などの事故が起こりやすく、過去にも何度かノートPCや携帯電話向けバッテリーなどで大きな事故を起こしてきました。

今後自動車のEV化や燃料電池化、またモバイル機器への更なる多用途化に伴い、需要が益々増えていく電池となることは間違いなく、その安全性については更なる向上と技術革新が求められています。今回の事故に関しても、早急の原因究明と対策を願いたいところです。

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