脳内チップでネズミの肥満防止に成功、将来は人間への応用も ―ペンシルバニア大学

THE VERGEは26日(現地時間)、ペンシルバニア大学の研究チームが、ネズミの脳にマイクロチップを埋め込むことで「食べ過ぎ」を抑制することに成功したと報じました。

ここでいう「食べ過ぎ」とは人間でいうところの肥満症にあたるもので、主に精神的な不安等が原因となっている病気のことです。具体的に言うと、報酬系(自分にご褒美をあげたくなるなど)・快感・恐怖を司る脳の「側坐核」という部位でのドーパミン不足が原因となっているものです。

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今回の実験では、ネズミの脳内に埋め込んだペースメーカーが電気的な信号を送り、上記の「側坐核」のドーパミンの受容器を活性化することで、ネズミの「食べ過ぎ」を抑制することに成功しています。今回の実験はネズミを用いて行われましたが、同研究チームの筆頭著者は「一度、人間を使った臨床試験を行えれば、この方法は人間の肥満症に対しても利用できるだろう」と述べており、人間への応用に関しても楽観的な視点を持っているようです。なお拒食症に関しては実際に人間を使った臨床試験が行われており、完全ではないもののある程度の効果とその安全性が実証されています。

このように脳内にマイクロチップを埋め込む技術はインプラント技術と呼ばれています。先日扱った脳波の測定技術(リンク)と同様に、BMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)の一種ですが、脳内に直接電気信号をインプットするという点が大きく異なっています。

この分野は医療目的や軍事目的において研究が進んでおり、特に医療目的においては「DBS(脳深部刺激療法)」という治療法がパーキンソン病や本態性・症候性振戦、ジストニアなどの意図せずに体が動いてしまう不随意運動症に対して用いられています。

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参考画像:ペースメーカーを埋め込まれたパーキンソン病患者の図

しかし、こういったペースメーカーは、外部からの電磁波による誤作動の危険性や、倫理的な問題が指摘されているだけに不安が拭いきれないのも事実です。これについて、前述のネズミを用いた実験に参加したBale氏は「この治療法はリスクを伴う胃バイパス手術(リンク)の代用となり、投薬に効果を示さない患者に対しても効果的であるだけでなく、障害発生率も低い」ものであると述べています。様々な病気に苦しむ人たちのことを考えれば、治療法の新たな選択肢の一つとして早い普及が望まれるように思われます。

[LIVE SCIENCE via THE VERGE]

参考1:名古屋市立大学病院「深部脳刺激療法について

参考2:Health「Brain ‘Pacemaker’ May Help Ease Tough-to-Treat Anorexia

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