ドコモは15日、2013年夏の新製品および新サービスの発表会を行いました。KDDIやSoftBankなど、大手通信キャリアの中でも特にハイスペックな端末を揃える同社だけに、今回の発表会にも大きな注目が集まりました。

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今年の夏モデルでは、ソニー製の「Xperia A SO-04E」とサムスン製の「GALAXY S4 SC-04E」を主力商品と位置付け、販売価格を抑えて消費者へ訴求するほか、全端末が2000mAh以上のバッテリーを搭載し長時間駆動を謳うなど、これまでの性能や機能面での高度化を売りにした戦略から一歩進んだイメージがありました。

また本来であれば携帯電話の通話・メール機能と敵対するような存在である、無料通話も可能なメッセンジャーアプリ「LINE」を積極的に取り入れ、LINEアプリ内のユーザープロフィール画面にドコモ専用の音声通話ボタンを配置するなど、スマートフォンをコミュニケーションツールとしてより幅広く活用してもらおうという動きが見られたことも、同社が自社アプリに拘ってきたこれまでの流れとは違った新たな舵取りのように思えました。

こうした新たな風を感じる中で、筆者が特に発表会で注目した端末をいくつかピックアップしつつご紹介したいと思います。

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シャープ「AQUOS PHONE si SH-07E」

シャープは今夏のドコモ向け端末として、ハイエンドには「AQUOS PHONE ZETA SH-06E」を用意してきましたが、筆者が注目したのはミドルレンジ端末となるSH-07Eです。6月下旬の発売予定。

ディスプレイに4.3インチ・HD(1280×720px)のS-CGシリコンTFT液晶を採用し、CPUには1.7GHz駆動のクアッドコア「APQ8064T」を採用。内部ストレージ容量は32GB、メインメモリは2GBと非常にバランスの良い性能を持っており、外部カメラにも約1310万画素(有効約1280万画素)の裏面照射型CMOSセンサーを採用するなど、もはやミドルレンジと呼べないレベルの高性能端末に仕上がっています。

これを本体サイズ約59(W)×126(H)×10.7(T)mmという非常にコンパクトな筐体に収めている点が素晴らしく、今回発表された端末の中では最も横幅が狭く片手で持ちやすい端末となっています。

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横幅60mmを切る大きさは女性の手にも違和感なく収まるサイズですが、この横幅で4.3インチ画面を持っていることが何よりも大きな特徴であり、IP5、7およびIP5Xの防水・防塵端末による狭額縁技術もここまで来たか、という軽い衝撃を受けました。

また本体底面にはLEDイルミネーションを配したクリアパーツがはめ込まれており、着信を知らせる発光や充電中にも光る演出が施されています。

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そのほかの性能面でも妥協はなく、Wi-FiはIEEE 802.11a/b/g/n/acと、最新のac規格にまで対応。OSも最新のAndroid 4.2を搭載し、Bluetooth 4.0にも対応。外部ストレージとしては64GBのmicroSDXC規格まで利用できます。

カラーバリエーションにも落ち着いたホワイトやネイビーのほかにメタリックカラーのオレンジがラインナップされるなど、よりカジュアルな若年層を意識したデザイン性も注目すべきポイント。小型で大画面、しかも防水&防塵、妥協のない通信性能などなど、コンパクトハイエンドと呼んでも差支えがない完成度には脱帽です。

今回の発表会では大きく取り上げられることもなく、また注目を集めるような独自機能などがないため、話題性に欠け多くのメディアでも特別にピックアップされることの少ない本機ですが、十分に成熟したAndroidスマートフォン市場の中にあって、より高い基本性能と使いやすさの両立に努力した、いぶし銀の魅力を放つ機種に感じました。

以下、画像と動画にてSH-07Eをご覧下さい。

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NECカシオモバイルコミュニケーションズ「MEDIAS X N-06E」

N-06Eは、横並びなデザインのAndroidスマートフォンの中にあって、一際華やかな雰囲気を持った特徴的な端末です。6月下旬の発売予定。

カラーバリエーションにはパール調のホワイトとピンクがラインナップされ、ブラックやダークブルーといったシックなカラーがないことからも、主に10代から20代の女性をターゲットとしていることが伺えます。

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本体サイズは約67(W)×138(H)×8.5(T)mmと大画面ながら極力サイズを抑えてあり、今回発表された端末の中ではGALAXY S4 SC-04Eに次ぐ薄さとなっている点も注目です。ディスプレイには4.7インチ・HD(1280×720px)の有機ELが使用されており、発色の鮮やかさも売りの1つ。

そして何よりもこの端末を特徴付けているのは、筐体の正面やイヤホンジャックなどに仕込まれたLEDイルミネーションです。これらのLEDイルミネーションは着信などによって様々な色合いで発光し、かつてのフィーチャーフォン時代に流行ったイルミネーション端末を彷彿とさせます。

特にイヤホンジャック内部にLEDイルミネーションを仕込むというアイデアはなかなか斬新で面白く、しかも実用的という非常に目の付け所の良いもので、フィーチャーフォン時代からユーザー視点で端末を作ることに定評があったNECらしい作り込みだと感じました。

性能面では、CPUに1.7GHz駆動のクアッドコア「APQ8064T」を採用、バッテリーは2300mAh、内部ストレージが32GB、メインメモリが2GB、外部ストレージが最大64GBのmicroSDXCに対応、外部カメラに約1310万画素(有効約1280万画素)の裏面照射型CMOSセンサーを搭載、Wi-FiはIEEE 802.11a/b/g/n/acに対応、Bluetooth 4.0、IP5、8およびIP5Xの防水・防塵性能などを備え、こちらの端末もまたほぼハイエンドに近い完成度となっています。

最近では大画面のスマートフォンが増えてきたことと、両手フリック入力による高速チャットが若年層の特に女性を中心に浸透しつつあることから、敢えて片手操作にこだわらない人も増えているようです。

N-06Eはギリギリ片手操作が可能な大きさと両手操作での快適性を両立させつつ、ほかの端末にはないエレガントさやイルミネーションによる個性を求める層に向けた、新たな試みのスマートフォンと言えそうです。

以下、画像と動画にてN-06Eをご覧下さい。

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シャープ「AQUOS PAD SH-08E」

最後にご紹介するのは、今回の発表で唯一のタブレット端末となったSH-08Eです。7月下旬の発売予定。

本機はディスプレイに7インチ・WUXGA(1920×1200px)の高解像度なIGZO液晶を搭載した端末で、重さが約285gと、300gを切る軽さに仕上げていることが大きな特徴です。

タブレット市場でも、特に日本市場においては10インチクラスの端末よりも7インチクラスの小型・軽量なモデルが好まれる傾向が強く、Nexus 7やiPad miniの大ヒットは記憶にも新しいところです。本機もそのクラスに合わせた仕様となっており、フルHDよりも若干画面を大きくすることで、縦画面でも横画面でも使いやすい比率を保持しています。

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本機の最大の特徴となるのはフルセグの搭載です。スマートフォンやタブレットへのフルセグの搭載はソフトバンクの端末などでもありましたが、ドコモでは富士通の「ARROWS NX F-06E」と本機になります。

7インチ画面で見るフルセグ映像の美しさは圧倒的であり、一度その映像品質を見てしまうとワンセグには戻れなくなるほどの魅力があります。このサイズになると個人用のTVとしても十分に活用できるため、付属のクレードルに立て掛けてのTV視聴の快適さは、この端末を購入する動機としては十分過ぎるほどだと感じました。

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そしてもう1つの面白い機能は、地図やウェブページ、さらにはロック画面上でもすぐに直接手書きが行える「書(かく)」ノート機能を搭載している点です。

この機能はほぼ全ての画面で活用でき、しかもメモした内容はそのままPDFファイルとして保存・検索が可能で、メールなどへの添付も非常に簡単に行えます。ペンの種類や色、線の太さなども自由自在に変更できるため、操作に慣れればとても便利に使えると感じました。

そのほかのスペックなどは、本体サイズが約107(W)×190(H)×9.9(T)mm、CPUは1.7GHz駆動のクアッドコア「APQ8064T」を搭載、バッテリー容量は4200mAh、内部ストレージは32GB、メインメモリは2GB、外部ストレージは最大64GBのmicroSDXCに対応、外部カメラは約810万画素(有効約800万画素)の裏面照射型CMOSセンサーを搭載、OSにはAndroid 4.2を採用、IP5、7およびIP5Xの防水・防塵性能、Bluetooth 4.0、Wi-FiはIEEE 802.11a/b/g/n/ac対応などとなっています。

性能面でも十分にハイスペックであり、サイズ感や利用シーンを考えても本機で不満が出る場面はほぼないのではないかと思われる完成度ですが、気になるのは端末価格程度でしょうか。この性能でNexus 7に迫る価格であったり、3万円台前半などで発売されたなら、大ヒットしそうな予感がします。

以下、このほかの画像などをご覧下さい。

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攻め方を変えてきたドコモ。勝機はあるか

今回の発表会の総括として感じたことは、スマートフォンのスペック競争においてはある程度の区切りのようなものがつき、いよいよ端末に個性が求められる時代になったという実感です。

特にドコモの場合、「らくらくスマートフォン」シリーズを含む全てのスマートフォンとタブレットがクアッドコアのCPUを搭載し、オーバースペックとも言えるほどの高性能端末となっています。こうなると端末ごとの差別化は容易ではなく、如何にして特色ある機能やデザインに仕上げてくるかという「個性」が問われる時代になったと言えます。

今回取り上げた3機種は、そういった中でも特に個性の際立つモデルであり、コンパクトさ、エレガントさ、そして大画面フルセグといった新しい使い方の提案が非常に面白く感じました。

ドコモはツートップ戦略としてSO-04EとSC-04Eの価格を下げ、多売攻勢に打って出ましたが、全ての端末を触った感想としては、ツートップならぬ全端末総攻撃といった印象すらあります。この夏にドコモのスマートフォンを新規で購入、もしくは機種変更しようと考えているのであれば、是非とも価格だけではなくそれぞれの端末の特色を実感してから検討して頂きたいところです。

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