日本経済新聞は2日、任天堂が同社の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」向けに、主に児童を対象とした電子書籍の配信を始めると報じています。小中学生向けの児童書を300本ラインナップにあげ、今秋からサービスを開始するとのこと。内容はファンタジーや冒険物、偉人伝などで、価格は一冊700円~800円になる見通し。配信する電子書籍の制作は、大日本印刷が行います。

任天堂は据え置き型ゲーム機「Wii U」での配信も検討しており、大画面に最適な電子書籍を展開していく計画もあるとのこと。

Nintendo3DS

今回の動きの背景には、任天堂の業績不振が存在します。3DSの国内における販売は比較的好調であるものの、海外ではスマートフォンによるゲーム業界への参画もあり、世界販売台数は目標の1500万台に届いていません。また、Wii Uもソフト開発の遅れなどから売れ行きが悪く、任天堂は2013年3月期まで2期連続の営業赤字となっています。

そこで同社は成長市場である電子書籍市場を取り込み、新しい需要を発掘する計画のようです。国内における2012年度電子書籍市場は約720億円で、17年度には3.3倍の2400億円に達するとの見方もあります。さらに、子どもや若者に人気のある3DSは児童書を販売するのに相性が良いことから、このような販売形態を選択したものと考えられます。

Nintendo

3DSと言えば、2画面や3Dディスプレイを搭載していることが大きな特徴の端末ですが、これらをどのように生かすかがポイントの一つとなりそうです。今回配信の中心となる書籍は文字ベースであることを考えると、3DSを縦にして2画面を横に並べた形で閲覧する形が実用的でしょうか。

一つ懸念となるのは、スマートフォンやタブレットとの競業です。現在では小中学生がスマートフォンを持っていることや、一般家庭にタブレット端末があることも珍しくなく、そこであえて3DSを利用したいと思うのかは疑問です。3DSはスマートフォンと比べて電池もちが良いとは言えず、出先で利用するには不満が残る可能性があります。また、より画面の大きくてみやすいタブレット端末にも閲覧性の面で劣るのが問題となりそうです。

上記のように、スマホやタブレットに比べて不利な点は多くある一方で、有利な点となりうるのは「子ども向け」であることです。子どもに的を絞ることで、子どもならではの好奇心や興味・関心を惹くことができれば、日の目を見る可能性もありそうです。

スマートフォンにおけるソーシャルゲームの台頭で苦戦を強いられる携帯ゲーム機市場ですが、今回の施策で反撃の一手を打つことができるのでしょうか。

[日本経済新聞]