オバマ大統領、iPhone4輸入販売差し止めに拒否権発動 ―26年ぶり2度目

3日(米国時間)、今年6月にITC(米国際貿易委員会)が下した、iPhone 4に対する輸入販売禁止の裁定に対してオバマ大統領が拒否権を発動した。これにより、iPhone 4は米国内で引き続き自由に輸入・販売を行うことが出来る。

注釈:厳密にはAT&T版iPhone 4(つまり、GSMモデル)、3Gモデルの第1世代iPadおよび第2世代iPad

この件については、米アップルが販売するスマートフォン端末「iPhone 4」などが、韓国サムスンが保有する3G通信関連の特許を侵害しているとして、ITCが輸入および販売の禁止の裁定を下していた。ITCの裁定から60日間は大統領(/政権)に対して介入する権利が与えられており、大統領は拒否権を持つ。今回、その拒否権が発動された形となる。期限は米国時間の8月5日であったため、直前の判断。

iphone-4

前回、拒否権が発動されたのはレーガン大統領時代の1987年。左記が初の(ITC裁定に対する)拒否権発動の例であるが、そこから26年越しに二度目の拒否権発動となった。拒否権の発動は業界関係者からは驚きをもって受け止められており、いわば “まさかの事態” といえるものである。

アップルはITCの裁定に対して「(スマートフォン通信において)欠くことの出来ない標準的な技術であり、禁止の裁定は不服である」と主張していた。対するサムスンは「アップルはライセンス料金の支払いを拒むために故意に特許を侵害した」と主張。無くてはならない基本的な技術に対して、ライセンス料金を支払うのが妥当であるのか否かといった争いが両社の間で繰り広げられていた。

拒否権発動に際し、米通商代表のマイケル・フローマン氏は声明の中で「 “他の件と同様に” 政府・貿易機関と様々な協議を行った」と、あくまでも通常の過程を経て判断を下したことを強調。加えて、ITCが下す輸入販売禁止の裁定においては標準特許を含めてはならないとも述べている。

仮にiPhone 4という過去の機種が輸入販売禁止になろうとも、消費者には大して影響がないとする見方もあるが、今回の拒否権が持つ意味は非常に大きい。

google

昨今、米グーグルを初めとしたシリコンバレーの企業は群発する「 “無意味な” 特許戦争」に対して、改善を求めるコメントを出している。これらと時を同じくしてアップルも軟化姿勢を見せており、足並みは揃いつつあるようだ。ソフトウェアのわずかな挙動に対する特許については「もはや意味をなさない」とする見方もあり、米国政府はこれらの動きに対して何らかの改善策に取り組んでいた上での拒否権発動の可能性もある。

一方で、ブラウジングやメール・SNSをする程度で十分のユーザーにとっては、スマートフォンやタブレット端末がパソコンに取って代わるデバイスになることは間違いなく、その市場で頭角を示すサムスンに向けた米国政府からの隠れたメッセージである可能性もある。

いずれにせよ、26年ぶりとなる拒否権の発動については、慎重に読み解く必要がありそうだ。

[THE VERGE][WSJ]

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