CNET英語版によると、13日に予約を開始して以来、米国のApple Online Storeで真っ先に初回分が売り切れた iPhone 5c(SIMフリーモデル)のカラーは「イエロー」だった。イエローの16GBモデルだけは発売日の20日には届かず、5日遅れの25日に配達される。その他のカラー・容量は今注文しても20日に配達される見込みだ。

プラスチックらしからぬ質感がウリでもあるiPhone 5cは、未だに多くの人が触れられないこともあってか、売り切れ続出の出足とはいかなかったようだ(※理由はしらない)

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国毎に異なる人気カラー、製品によっても異なる

とはいえ、日本でもイエローが真っ先に売り切れるとは限らず、国や地域によって好みの色は異なる。例えば、iPhone 5sの新色「ゴールド」が噂された時、狙いは中国市場にあると言われたほどだ。中国において金色は縁起の良い色。最も縁起が良いといわれる紅色の次に人気があり、プレゼントが贈られる場合は紅色の包装紙に金色のリボンであることが多い。

国毎の人気カラーは自動車のボディーカラー人気にも現れる。自動車向け塗料で大きなシェアを持つデュポンが2013年に発表した「世界の自動車人気色ランキング 2012」によると、世界全体では白が23%で1位。次いで黒21%、シルバー18%、グレー14%、赤8%と続く。日本では白色が好まれる傾向にあり、27%で1位。概ね他の地域でも白ないしシルバーが1位を獲得している。

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出典 : 「世界の自動車人気色ランキング 2012」デュポン社 2013年
左が中国、右がインド

では、中国は金やベージュが多いのかというと…実はそうでもない。2013年になって黒が24%で初めて1位を獲得した。次いでシルバー、グレー、白と続く。縁起として好まれる赤は9%、金・黄色に至っては1%未満だ。金色に比較的近く、派手さを押さえた「ベージュ・茶」でも7%であり、世界平均の6%と比べても大差とはいえない。意外なことにインドではべージュ・茶が12%と、世界平均と比較すると突出して多い。

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出典 : 「世界の自動車人気色ランキング 2012」デュポン社 2013年
世界平均

ただし、スマートフォンの人気色を探るときに、これをそのまま受け取る訳にはいかない点に注意が必要である。というのも「縁起物を身につける」という概念が存在することや、中国共産党幹部が黒塗りの自動車を好んで乗ることから黒が憧れの色になっているという社会的事情もあるのだ。自動車に求める色は自分に求める色・纏いたい色である一方、身につけるものは縁起担ぎを狙うかもしれない。

なぜ選ばれた黄色

予め断っておくと、黄色が不人気カラーになると想定されて初回生産量が減らされた可能性もある。5色とも同じ数だけ在庫が用意されたと考える方が難しく、iPhone 5sのゴールド色は他の2色と比較して生産量が少ないと予想するのが妥当だ。同様のことはiPhone 5cで起こってもおかしくはない。

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Credit : Apple

過去にiPod nanoなどで有彩色を用いたカラフルな色展開を行っており、人気色の傾向というのは掴めているはず。米国の各種メディアで「イエローが人気No.1」とされているが、それらは全て同数の在庫が用意されたという前提条件の下に成り立っている。

さて、その前提条件の下にイエローが最初に売り切れた理由を推測するならば「かつてのiPhoneに存在しない有彩色が好まれた」可能性は十分に考えられる。そもそもiPhone 5cのウリがカラフル。キャッチコピーも「この色は、あなたです。」と、若干意味が分からない和訳になっているが『自分を投影する色』と解釈してよいだろう。

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Credit : Apple

とはいえ、有彩色は黄・青・緑・赤の4つある。その中からなぜ黄色が選ばれたのだろう。青が男性的で、赤が女性的というステレオタイプのような考えを用いて、両性的だから黄色または緑なのだろうか。それとも中国向けに出荷する転売屋が金色に近い色を買い求めた結果が黄色なのだろうか。

アップルが公式に公開しているiPhone 5cの画像をいくつか見ると、いずれも黄色が中央にある。こういったものも購買判断に影響を与える可能性もあるが理由は不明だ。色の心理学では、黄色はユーモア・明るい・遊び・軽快といったイメージがあり、黄色のシャツを着た男性はそれらのイメージを持たれることがあるという。iPhone 5cのキーワードともいえるポップさの象徴として黄色が選ばれたのだろうか。

iMac旋風の第二弾を巻き起こせるか

1994年に登場したゲームボーイブロス(スケルトン)に始まり、1998年の初代iMacから火が付いた「スケルトンブーム」。長らくシルバー・白・黒といった「ZEN(禅)カラー」とも称される色が主体だったアップルの主力商品において、久しぶりに一石を投じることになったiPhone 5cのカラフルさ。

スケルトンの代わりに「色あせたような奇妙な蛍光色」が “個性付け” に用いられているが、iPhone 5cがブームになれば各種業界でこの蛍光色がトレンドの一つになることだろう。WEBデザイン業界では早くもその気配を感じる程だ。とはいえ、この蛍光色は好き嫌いが二分すると思われる。こんなことを書くと怒られるかもしれないが、少なくとも筆者は後者だ。上に掲載したiPod nano 第4世代のようなハッキリとした色味のほうが好き嫌いは分かれにくいものだが、あえて選ばれにくい蛍光色を繰り出してきたアップルの狙いはどこにあるのだろうか。

世の中に何らかの印象を与えるには個性が強くなくてはならない。BMWのキドニーグリルも、Audiの大型グリルも。そしてそれらの流れに乗ったレクサスのスピンドルグリル、新型クラウンのグリルもそう。皆が同じようなものを持つからこそ、モノ自体に個性が求めらる。今回から登場した公式ケースによる色の組み合わせも、そんなオリジナリティーを求める消費者の声を汲んでいるようにも思える。

2007年に全面スクリーンの初代iPhoneが登場して以来、スマートフォンは似たような形状・操作・機能を提供している。iPhoneも差別化が難しくなってきた製品の一つであることは間違いなく、そういった点を64bit化やTouch IDといった指紋認証機能で “補って” いる。この先一体どうなって行くのだろうか。

一部のスマートフォン好きの中には昨年末位から感じているであろう、業界に漂う閉塞感。iPhone 5cの軽快な黄色がそんな閉塞感を打ち破ってくれるなら嬉しいが…。

[CNET]
[デュポン]