ソニーは4日(現地時間)、ドイツ・ベルリンにてプレスカンファレンスを行いました。カンファレンス内では、 “One Sony” XPERIAこと「Xperia Z1」など注目の製品が発表され、発売を首を長くして待っている方も多いのではないでしょうか。しかし、今回のカンファレンスにおいて注目されるポイントはこれだけではありません。そこでは ”オーディオメーカー” としてのソニーの本気を見ることができました。

オーディオメーカーとしてのソニー

「XPERIA」や「VAIO」などのコンピュータデバイスから、一眼カメラ「α」、コンパクトデジタルカメラ「Cyber-shot」などのイメージングデバイスまで、幅広くエレクトロニクス製品を扱うソニーですが、実はオーディオメーカーとしても長い歴史を持っています。1979年の発売以来 ”音楽を持ち歩く” ことを当たり前にした「WALKMAN」は現在でも馴染みの深いオーディオ製品の一つです。また、やや一般的ではありませんが、高級オーディオ向けのスピーカーやアンプの開発も行うなど、ユーザーの要求に合わせて音楽体験をより豊かなものにしてくれる製品を生み出しています。

 そして今年のIFA2013。オーディオメーカーとしてソニーは、「ハイレゾ」への対応を加速させることを発表しました。同社が定める基準を満たした製品には「Hi-Res AUDIO」のロゴを新たに与え、CD音質を超えた高音質での音楽再生環境をユーザーにもたらすものとしています。

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「Hi-Res AUDIO」を掲げ、ハイレゾへの対応を発表する平井CEO

今回発表させた主なハイレゾ対応製品として、まず挙げられるものは先日紹介させていただいた「ウォークマンF880シリーズ」でしょう(過去記事)。F880はウォークマンとして初めて192KHz/24bitハイレゾ音源の再生に対応しています。

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さらに、ハイレゾ音源の再生に対応したアンプ、プレイヤーも発表しています。特に、昨年発売されたポータブルヘッドホンアンプ「PHA-1」の後継機種となる「PHA-2」では、新たに最大192kHz/24bitまでの音楽データを再生可能にしたほか、DSDファイルの再生にも対応しています。

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また、1TBのHDDを内蔵し、記録された音楽データを「DSD Re-Mastering Engine」技術によってDSDに変換することで、さらなる高音質化を可能にした「HAP-Z1ES」なども発表しています。

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ところで、 ”ハイレゾ” とは ―?

一般に言うハイレゾとは、「High Resolution」という言葉の略称であり、「高解像度」という意味を持ちます。ハイレゾ音源とは、これを音楽データに適応させ、広く普及しているCD音源よりも高解像な音楽データのことを指します。ハイレゾ音源について ”192kHz/24bit” のような数字が添えられていますが、これは簡単に説明すると生の音楽データをデジタルデータに変換する際の精度について表したものです。

 ”192kHz” に対応する部分を「サンプリング周波数」と言い、ある音楽を1秒辺りいくつに分割して計測しているかを意味しています。一方、 ”24bit” では「量子化ビット数」というものを表し、音を記録する際にどれだけ細かく記録できるかということを示しています。例えば、192kHZ/24bitのハイレゾ音源では、1秒間に19万2000回音楽情報を計測し、1677万7216段階のレベルで音を記録しているという事になります。

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元となる音楽データをサインカーブで表し、それをデジタルデータに変換する場合のイメージです。左の図と比べて右の図では、3倍細かく変換することで、より正確に音楽データを記録出来ていることが分かります。

一般的な音楽用CDでは「44.1kHz/16bit」で音楽が録音されています。これはCD規格によって定められているものであり、ハイレゾ音源はCD音源よりも、96kHz/24bitで約3倍、192kHz/24bitで6.5倍の音楽情報を持つということになります。ソニーでは、このハイレゾ音源に最適化されたオーディオ製品の発売に力を入れていくとのことです。

そしてさらに「DSD」というものがあります。DSDとは「Direct Stream Digital」の頭文字を取ったものであり、今まで説明してきたものが「リニアPCM」という方式で音楽をデジタルデータに変換していたのに対し、DSDでは全く別の方式で音楽を変換しています。DSD方式では音の信号は1bitのデジタルパルスの濃淡によって表され、この方式はSACD(スーパーオーディオCD)などに採用されています。しかし、この規格は普及が進んでいないという現実もあり、DSD音源を楽しむためには専用の再生機器が必要でした。

 ソニーが今回発表したHAP-Z1ES・PHA-2では最大5.6MHz DSDの再生に対応しています。これはCD音源よりも128倍細かい情報を持ち、それだけ元の音楽が持つ魅力を正確に再現できるということです。

 ソニーに見るAVのハイレゾ化とその課題

なかなか聞き慣れない ”ハイレゾ” という言葉でしたが、映像分野においてはすでにハイレゾ化が認知され始めています。HDがFHDになり、そして4Kが注目されはじめていますが、これはまさに映像のハイレゾ化です。ソニーとしても4K対応TVの販売に対して鋭意的に取り組んでいますが、今回のプレスカンファレンスでは、映像分野に続いて音響分野でもハイレゾ化を推し進めていくソニーの姿勢を確認することが出来ました。

しかし、ハイレゾオーディオについては課題も多く残されています。先述の通り、ハイレゾ音源を再生するためには専用のハードウェアが必要であり、その機器の普及も課題となります。加えて、ハイレゾ音源は一般的な音楽用CDに採用される録音方式の限界を超えた音質であるため、CDによる音源の提供ができません。現在ではダウンロード販売が行われていますが、これも広く普及しているとは言えず、 ”Hi-Res AUDIO” を掲げるソニーとしては、その存在をアピールするとともに、配信においても最適な環境を構築していくことが期待されます。

今回はオーディオに焦点を当てましたが、ソニーは映像技術についても確かな技術と強大なブランド力をもつAV企業です。最近では ”ソニーらしい” と呼ばれるような魅力的な製品が多く発表されていますが、筆者はこれからだと考えています。ソニーの根底であるAV、特に「Audio」について改めて力を入れていくことで、ソニー自体がさらに魅力的な存在になってほしいものです。

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