「えらべる自由」を体現させる ―au 2013年冬モデル発表会レポート

KDDIは2日、都内にて新機種および新サービスなどを発表する「au 2013 Winter」を開催しました。今年の春~夏では発表された新機種も少なく、また、大規模な通信障害を頻発するなど、あまり印象が良くなかったKDDIですが、この冬でマイナスイメージを払拭できるのかに注目が集まりました。

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大幅に拡充された端末ラインナップ

今回発表された機種は、スマートフォンが6機種、タブレットが1機種、フィーチャーフォンが2機種、モバイルルータが1機種、その他モバイルTVやGPS端末など、総計12機種。春~夏モデルでは機種数も少なく寂しいラインナップでしたが、今回は大幅に拡充してきた印象です。

プレゼンに登壇した田中社長は、このラインナップの拡充について「今年は “えらべる自由” を謳っていながら、消費者の皆様からは『選べないじゃないか』とのご批判を頂いた。そこで今回は本当に選べるラインナップを用意した」と述べ、様々な選択肢を用意したことをアピールしました。

実際、今回の端末ラインナップを見ると、スマートフォンだけでなくフィーチャーフォンについても2機種用意してあり、従来からのいわゆる「ガラケー愛用者」に向けた施策を忘れてなく、また最新のWiMAX 2+に対応したモバイルルータやスタイラスを付属したファブレット端末も用意するなど、穴のないラインナップです。

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800MHz帯のプラチナバンドの普及に全力を注ぐKDDI

プレゼンでは終始800MHz帯の電波を利用した「800MHz 4G LTE プラチナバンド」網の強みとインフラ構築を中心に語り、大きなビル群の間でも電波が届きやすく、屋内浸透度も高い電波特性を強調。Twitterなどからの声も取り上げつつ、プラチナバンドがこれからのインフラ構築に欠かせないものであることを主張しました。

800MHz 4G LTE プラチナバンドについては、2014年3月までに実人口カバー率99%を目指すとし、スローガンとして「ツナガルチカラ」を掲げ、TVCMなどにもこのテーマを使用。ドコモやソフトバンクに先駆けてプラチナバンド帯の普及を目指す考えを示しました。

今回発表されたスマートフォン及びタブレットについても全てプラチナバンド対応となっており、いつでもどこでも高速通信が利用できることをアピールしていました。今回のレポートでは、そういった多数の端末の中から、ハイエンド端末1機種とデザイン端末1機種、さらにミドルエントリー向けの1機種をピックアップしてご紹介したいと思います。

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Xperia Z1 SOL23

ソニー製の「Xperia Z1 SOL23」は今回の発表会の中心的端末の1つであり、事実上のフラッグシップモデルに位置付けられるものです。洗練されたデザイン性で好評を博したXperia Zの実質的な後継機種にあたる本機ですが、その性能も順当にアップグレードされています。

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液晶ディスプレイにはソニー独自の5インチ・フルHD対応トリルミナスディスプレイ for mobileが採用されており、Xperia Zで評価を落としてた視野角の狭さなどが改善されています。デザイン面では前面・背面をガラスで挟み込み、周辺部もフラットデザインと曲面で構成するXperia Zの特徴をそのまま引き継いでいます。

筐体面で便利になった点としては、充電スタンド用の端子が付いた点と、イヤホンジャックがキャップレス防水となった点が挙げられます。

Xperia Zではデザインを優先したためにイヤホンジャックなどにも防水キャップが付いており、イヤホンを取り扱うのが非常に面倒でした。また、充電時も毎回防水キャップを外す必要があり、日常利用において防水である利便性よりも、普段使いの不便さが上回ってしまうという本末転倒な状況にありました。

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筐体プロダクトとしては利便性が向上した一方、筐体サイズがXperia Zよりもさらに大きくなり、横幅74mmというかなり大柄なものになっています。

5インチディスプレイを搭載したスマートフォンは珍しくなくなりましたが、最近は狭額縁化が主流であり、その筐体の横幅も70mm以下に抑えてきている端末が多い中で、74mmというのは非常に大きく感じ、実際に手にとってみても片手でホールドすることが難しい印象すら受けます。

また筐体の厚さが8.5mmしかないことやフラットな筐体デザインもホールド感の悪さを助長しており、テーブルの上などから取り上げようとすると、かなり取りづらく感じました。もし仮に、これが4.5インチ前後のディスプレイを搭載し、このデザインのまま横幅65mm以下に抑えることができていたなら、評価は大きく変わっていたように思われます。

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性能面ではチップセットに2.2GHz駆動のクアルコム社製クアッドコアCPU「MSM8974」を搭載し、内部ストレージは32GB、2GB RAM、カメラには裏面照射型CMOSセンサーの約2070万画素「Exmor RS for mobile」を採用するなど、まさにハイエンド。筆者的にはオーバースペック過ぎるのではとの印象もありますが、スペックとデザインを重視する層には十分にアピールできそうです。

一方、性能面で残念な部分も。本機にはフルセグとワンセグが搭載されていますが、快適に視聴するには付属のイヤホンケーブル兼用アンテナアダプタケーブルが必要になります。電波状態が十分に良い場所であればフルセグもケーブルなしで視聴できるとの説明でしたが、実際の運用時にはほぼ必須となりそうです。

ここまで大柄な筐体で作り、さらに動画視聴に最適な充電スタンドまで用意したのなら、アンテナは全て内蔵にしてもらいたかったというのが本音。TV視聴のためだけにケーブルを挿したり持ち歩くのは非常に不便です。

端末デザインに関しては文句なしに独創性を発揮しているXperia Zシリーズだけに、毎回実用面で不満が残るのが非常に惜しい気がします。

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isai LGL22

KDDIと韓国LG電子が共同で開発したデザイン端末であり、今回の発表会でのもう1つの注目端末です。「isai」とは日本語の「異才」から取られた名称であり、使いやすさと便利さにおいて異才を放つ端末を目指したとしています。

端末コンセプトは「使いこなす」。一般的なアイコンやウィジェットが並ぶホーム画面ではなく、ホーム画面を縦横にフリックすることでニュースやトレンド情報、SNS、動画など、個別に各アプリを起動することなくいつでも新しい情報や写真を見ることができる「isaiスクリーン」UIを搭載しているのが大きな特徴です。

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isaiスクリーンは直感的で、よくゲーム機のUIなどに採用されるような構造となっており、横フリックでジャンル選択、縦フリックで個別の項目選択を行う形式をとっています。

少々残念に思ったのは、春モデルとして登場した「INFOBAR A02」で採用されていた「iida UI ver.2.0」を引き継ぐ端末が存在しなかったことです。

KDDIは積極的にユーザビリティを重視したUI製作を行っていますが、どのUIも端末と紐付けされてしまい、その後他の端末へ広がらない傾向が強く、常にプロダクトが単発で終わる傾向があります。

せっかく使い勝手の良いUIを作っても常に単発では機種変更のたびに新しいUIの使い方や機能を学ばなければならず、結果的にユーザーに大きな負担を強いることになります。逆に言えば、多少不便なUI構造であっても長年変化せず他の端末でも汎用的に使われているものであれば、慣れてしまえば誰もがUIの違いを気にせず自由に端末を選べることにもなります。

キャリアとして使い勝手の良いUI製作を行うことには何も異論はありませんが、せっかく作るのなら、ワンオフモデルにするのではなく、汎用的なUIとして大々的に採用すべきだと感じました。

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性能面では、ディスプレイに5.2インチ・フルHDのIPS液晶を採用している点が特徴的です。5.2インチのフルHD液晶を採用した端末としてはシャープがソフトバンクから発表した「AQUOS PHONE Xx 302SH」などがありますが、スマートフォンの大画面化は止まる様子がありません。

チップセットにはクアルコム社製のクアッドコアCPU「MSM8974」(駆動周波数不明)を搭載し、内部ストレージは32GB、2GB RAMを搭載するなど、性能面でもほぼ妥協はなし。デザイン端末と呼ぶにはケレン味の少ないシンプルなデザインですが、純粋にハイエンド端末として見ても、UIを含めて非常に使いやすい端末だと感じました。

DIGNO M KYL22

多くのスマートフォンメーカーがハイエンドにひた走る中、常にユーザー本位の視点で独自の端末を作り続けるメーカーが京セラです。今回発表された「DIGNO M KYL22」も、そんなユーザー本位の視点で作られた非常に面白い機種です。

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本機の最大の特徴は軽さ。ソフトバンクから2013年夏モデルとして発売された「DIGNO R」は100gを切る軽さで話題を呼びましたが、本機は5インチディスプレイを搭載した防水端末として最軽量を実現、重量は135gとなります。

その軽さは実際に手にとってみるとよく分かり、持ち上げた瞬間に「あ、軽い」と思わずつぶやいてしまうほど。重量としては一般的な5インチ液晶を搭載した防水端末と比べて10gから20g程度軽いだけなのですが、その僅かな違いがかなりの驚きに繋がっています。

発表会の展示では、軽さを示すデモンストレーションとして単一乾電池と天秤にかけ、乾電池よりも軽いことを主張していました。

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筐体デザインでも軽さと使いやすさを強調する工夫がなされており、本体周辺部の厚みを3mmまで薄型化し、背面を緩やかなカーブで構成することでテーブルなどに置いた状態からの取りやすさを重視。5インチディスプレイモデルの扱いづらさを軽減しています。

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アプリ面でも強化されており、京セラ独自の機能として好評な「すぐ文字」機能に音声認識機能が加わり、さらに使いやすく。またホームボタン長押しでランチャーが立ち上がるなど、独特の操作方法があります。

その他、デザイン的なアクセントとして電源ボタンに京セラ独自のファインセラミックス素材「サーメット」を採用しているなど、いかにも京セラらしいと呼べる部分も。

性能面でもDIGNOシリーズでは初となるクアッドコアCPUを採用するなど、これまでのシンプル路線から一歩進んだ印象があります。

京セラはデュアルコアCPUを採用し続け、そのパワーに合わせたマシンチューニングを行ってきたノウハウがあるだけに、クアッドコアでの動作は非常に軽快で、他社の重いUIなどを触った後では、軽く衝撃を受けるほどです。

キャリアとしての端末の位置付けはミドルエントリー向けという形ですが、性能的には十分快適なラインに達しており、決して不満が出るものではありません。また2.7A入力による急速充電を採用していることなども利便性に繋がっており、端末のプロダクトバランスは非常に高いレベルに達していると感じました。

今度こそ「えらべる自由」を手に入れたか

全部入りのハイエンド端末からデザイン重視の端末、使いやすい独自UIを搭載した端末、軽くて機能性に優れた端末などなど、単に端末数を増やすのではなく、それぞれに個性があるラインナップを用意してきたKDDI。フィーチャーフォンやタブレットも用意し、さらには大画面のファブレット端末もあり、まさに「えらべる自由」を体現した発表会だったように思われます。

一方で、4.8インチ未満のディスプレイを搭載した小型スマートフォンがラインナップされてこなかったことが若干気になりました。今回発表された全てのスマートフォンが横幅69mm以上あり、一般的な日本人には少々大きいサイズとなっています。

最近では5インチディスプレイ端末が増えてきたこともあり、こういった大型端末に消費者も慣れてきた感がありますが、それでも横幅60mm前後の端末を望む声はまだまだ少なくありません。本当に「えらべる自由」を謳うのであれば、こういった消費者ニーズにも応えられる端末があると、より素晴らしいラインナップになった気がします。

800MHz帯を用いたLTE網の整備に力を入れるKDDIですが、今後は端末、インフラの両面から全てのユーザーが快適に使えるキャリアを目指して欲しいと思います。


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[au]

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