キプロスの大学、世界で初めてBitcoinを全面導入 ―授業料支払いにも対応

キプロスのニコシア大学は21日(現地時間)、同大学が授業料をはじめとして、学内のすべての決済がBitcoinに対応したと発表しました。なお、このように大学の授業料支払いがBitcoinに対応した事例は世界で初めてだとのこと。また、2014年よりデジタル通貨について専攻する修士課程を導入することも明らかにしました。

ニコシア大学はキプロスにある私立大学で、地中海地方最大規模の英語大学でもあります。

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Bitcoinをざっくり一言で表すと、独立な通貨を持った電子マネーといえます。低コストの決済を国の権力機関や発行者の影響なしで実現するという理念に基づき、支払元・先をP2Pで直接接続して取引を行います。正直なところ、筆者も技術的な細かい仕組みまでは理解しきっていません…。Bitcoinに関する過去記事はこちら(リンク

Bitcoinの紹介動画

ニコシア大学のChristos Vlachos博士は、「デジタル通貨は必然的な進化であるとよく認識しており、それ(Bitcoin)は今後、オンライン取引や金融システム、国際決済、送金、そして世界経済の発展に大きな革新をもたらすだろう」と、今回対応に至った理由を説明しています。

同時に発表した修士課程については、通学制と通信制の両方に対応し、講義は英語で行われるとのこと。さらに、デジタル通貨について興味を持ってもらうため、『Introduction to Digital Currency(筆者訳:デジタル通貨序論)』の講義をオンラインで無料公開するとのこと。

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今回のBitcoin対応によって国際送金の障壁が取り払われたため、キプロス国外の人々は通信制課程を利用して同大学の講義をより簡単に受けられるようになりました。

また、このBitcoin対応は、キプロス国内の人々にとっても大きなメリットがあるのではないかと筆者は推測しています。キプロスは、2010年代のギリシャ金融危機の煽りを受け、現在厳しい財務状況におかれています。大口の預金は凍結、預金の1日引き出し可能額も限定され、国民が国外に持ち出せる現金の上限も決まっている…といった具合に、国民が自分のお金を自由に使えないのです。

そこで、「国家の権力機関に影響されない」という理念を持つBitcoinを導入すれば、この厳しい金融規制を受けずにお金を取引できるようになり、まとまった金額の必要な大学生活への影響が軽減されることでしょう。

ところで、ニコシア大学がBitcoin決済に対応したからと言って全てが上手くいくわけではなく、解決すべき問題もあります。これは大学側ではなく、むしろBitcoinそのものについての問題といえます。

Bitcoinは独立な仮想通貨ではあるものの、当然ながらドルやユーロ、円などとの為替レートが存在しますが、このレートが最近になって乱高下(主にbitcoin高)しているのです。

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過去90日のドル‐bitcoinレート(Bitcoinx.comより)

来年以降の状況はわかりませんが、数十日で価値が7,8倍になったり、数日で価値が半分になったりする通貨を授業料やその他支払いに利用するのは、支払う学生にとっても受け取る大学側にとってもリスキーな行為です。

キプロスの財政状況もあり、いち早くBitcoinを全面的に導入したニコシア大学。価値の安定しないデジタル通貨を導入するという挑戦的なシステム改革は、初の大規模な導入事例として、世界中の注目を集めることになります。この新たなシステムが上手く動作すれば、これをきっかけとして他の機関にも導入が広がり、Bitcoinが普及するきっかけになる可能性もあるだけに、その行く末が気になります。

[UNic via GIGAZINE]
[Bitcoinとは?]
[Bitcoinx]
[ロイター]

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