NVIDIAは2日、都内でメディアイベントを開催し、同社が展開するタブレットプラットフォーム「Tegra Note 7」を日本国内でも展開することを正式発表した。

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Tegra Note 7は、NVIDIAがタブレットの基本的な設計・開発を行い、各種ベンダーがそのタブレットプラットフォームを利用して製品開発を行うという試み。日本国内ではPCパーツの代理店でお馴染みの株式会社アスクが「ZOTAC Tegra Note 7」を4日から発売する。ZOTAC Tegra Note 7については弊サイトも先行記事を出しているのでそちらを参照頂きたい(記事リンク)。

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スタイラスは本体右下に格納できる

まず、Tegra Note 7の概要に触れてみると、タブレットの基本部分は前述のとおりNVIDIAが設計・開発を行う。プロセッサにはNVIDIA渾身のSoC「Tegra 4」を採用。Tegra 4は、NVIDIAが販売を手がけるAndroidゲームコンソール「SHIELD」にも搭載されていることで有名であり、そのグラフィック性能は他社製のプロセッサを圧倒する性能を誇っている。

GPUには72コアの「GeForce GPU」が搭載されており、Tegra 3と比較するとグラフィック性能が6倍に及ぶ。NVIDIAはPC向けのGPUベンダーとしてのイメージが強いが、その強力さはモバイル向けプロセッサでも健在だ。CPUにはCortex-A15世代のクアッドコアを採用。WEBブラウジングのスピードは2.6倍に引き上げられ、アプリケーションの動作も軽快になった。

Tegra Note 7のポイントはCPUやGPUにおけるスペックだけではない。実は『高精度スタイラス』が大きなポイントになっている。

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高精度スタイラスを実現するために、独自開発の「NVIDIA DirectStylusテクノロジ」を採用。従来のスタイラスとは異なる滑らかな書き味を実現する。つまるところ、ペンタブレットなどでも採用されている高性能な「アクティブスタイラス」方式の品質を、静電容量方式タッチパネルで安価に提供する技術が「DirectStylus」テクノロジだ。タッチパネル側に感度を高めるための技術的改良を行い、他社製のタブレットでは実現が困難な高精度の書き味を実現した。

市販の静電容量方式に対応したペンであれば利用できるとのことであるが、付属するスタイラスにはゴムが採用されており、ゴム圧によって書き味が異なる。タブレットを手持ちしてペン書きした際に持ち手側のタッチを誤検出することがあるが、Tegra Note 7では「Palm Rejection」技術で解決。持ち手側の誤反応を自動的に除去し、ペン入力のみを見分ける。

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発表会では、書道家の涼 風花さんがTegra Note 7を利用した書道のデモンストレーションを行った。「従来のスタイラスではペンが飛ぶようなことがあったが、Tegra Note 7ではそれが起こらない」と、優れた検出機能で書道のような繊細芸術にも活用できることを示した。実際に行われたデモンストレーションでは、遅延が非常に少なく、さらに細さ・筆圧を認識した上で滑らかに応答していたのが印象的であった。なお、スタイラスは本体下部に収納可能で紛失を防ぎやすくなっている。

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さらにスタイラスを用いた便利な情報共有の方法を紹介。システムレベルで組み込まれている「Lasso Tool(ラッソーツール)」は、スタイラスを本体格納部から抜き出すと自動起動する。通常、ソフトウェアキーは「戻る」「ホーム」「アプリ切り替え」の3種類であるが、ペンを抜き出した場合はラッソーツールのキーが両サイドに2つ加わる。このラッソーツールは右端のボタンを押下した際にスクリーンキャプチャを実行。ゲーム中などでも利用できる。

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そしてラッソーツールでキャプチャした画像はそのままペンを用いて加工可能。短形ツールによる抜き出しはもちろん、ペンによる自然なトリミングも可能だ。そしてペン入力モードにすれば多彩な色を用いた文字入れや「◯」で括るといったメモも可能。そのままGmailやEvernoteをはじめとしたアプリで共有できるのも特徴だ。

デモンストレーションでは、ゲーム画面をキャプチャして名前の部分をペンでマスキングするといった使い方も提案されていた。ゲーム画面をSNSや画像アップローダーに公開する際に重宝される機能となりそうだ。なおゲーム中にラッソーツールを起動した場合は、ゲームは中断モードになるとのこと。バックグラウンドでゲームが進行しないので、安心して画像加工することが出来る。

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カメラ機能ではiOSで大人気のカメラアプリ「Camera Awesome」を提供。同アプリのAndroid版はこれが初登場となる。

カメラ機能は3つの特徴があり、一つ目の「Always-On HDR」は動体のHDR実現。HDRは露出の異なる複数枚の写真を撮影するため、動体が被写体であると撮影した時間の差でブレが生じやすかった。そこで、Tegra Note 7では複数の写真を高速で撮影。パワフルなGPUを活用して高速にHDR合成処理を行う。

「Tap-to-Track」機能は動いているものに自動的に焦点を合わせる機能。スライドでは乗馬のシーンが用いられているが、走っているものを自動で追尾してオートフォーカスする。「スローモーションビデオ撮影」は、Tegra Note 7を用いてスローモーション動画を撮影する機能。タブレットとしてこの機能を実装したのは初であるという。

なお、Camera Awesomeを含むアプリはプリインストールされておらず、NVIDIAが提供するアプリアップデートサービスを通じてOTAで有効となる。OTAではOSアップデータの配布はもちろんのこと、独自アプリケーションといったものも提供される見込み。

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両脇に音質に拘ったスピーカーを搭載。それぞれがバスレフ型の構造となっており、迫力ある低音サウンドを奏でる。スピーカーボックスはタブレットとしては大きめな5ccのサイズを搭載。3Dゲームなどにも注力する同社ならではのこだわりだ。

5ccのスピーカーボックスは左右両方に実装されているが、左側にはmicroUSBやイヤホンジャックなどが存在するため、実装には苦労したという。どうしても左右の音声特性が異なってしまうが、これらはソフトウェア技術で改善。左右の音声特性の差を自動的に解析して差を押さえることに成功した。

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NVIDIAらしくゲーム機能も当然のように充実しており、ゲームパッドとのネイティブな接続やHDMI端子を用いたテレビ画面へのミラーリングも実現する。本体の左側にはmicro HDMI端子が搭載されており、HDMIケーブルで家庭のテレビと簡単に接続可能。ゲームパッド(コントローラー)を接続して、実際にレーシングゲームをプレイするデモが行われた。

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アプリはグーグルのアプリストア「Google Play」経由でダウンロードできるため、様々なゲームをプレイすることが出来る。

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Tegra専用ステージはTegra 3/4の両方が対象
さらにTegra 4向けには豪華エフェクトなどのSpecial Version Upが行われる

また、人気ゲーム「eden to GREEN」を配信するイニス社とNVIDIAがタッグを組み、Tegra専用のステージやTegra 4向けの豪華な独自エフェクトを実装することが発表された。デモンストレーションを行っていたイニスの矢野 慶一氏によると「Tegra 4でなければ豪華なエフェクトはとてもではないが実現できなかった。他であれば5fps程度」としており、Tegra 4のポテンシャルが高いことがうかがい知れる。

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イベントにはZOTACのウォン・シー ハオ・トニー氏も駆けつけた(写真右)

イベントの冒頭ではNVIDIA Japanのマーケティング本部・部長の林憲一氏が登壇。タブレットプラットフォームである「Tegra Note 7」のリリースにあたり、Tegra Note 7の狙いを述べた。

タブレットプラットフォームの必要性については、「現在、様々な種類のタブレットがリリースされており、ユーザーからは “軽くして欲しい” “バッテリー容量を増やして欲しい” といった多くの要望がある。また、設計面においても熱処理などで課題がある。それらをメーカー独自に対応していくのは非常に厳しい。そこでタブレットプラットフォーム化することで迅速に商品をリリースでき、NVIDIAとしても世界的販路を展開できる」とした。

なおタブレットプラットフォームとしての試みは今回が始めてではなく、同社はTgera 3の時代にプロジェクト “KAI” を提供していた。それについて同氏は「Nexus 7(2012)であり、好評を得た。今回のTegra Note 7ではより多くのパートナーに参加していただくことが可能になった」としている。

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本日発表されたZOTAC社以外のベンダーにおけるTegra Note 7を採用したタブレットは企画中であるが、具体的な展開時期については明らかにできないとのこと。ベンダー独自仕様の実装可否については、あくまでもプラットフォームであるので「可能」。しかし、ZOTAC製のものについては独自機能がなく、ピュアなTegra Note 7で展開されるという。

OSアップデートについては、Android 4.3アップデートは12月中に提供され、Android 4.4 KitKatアップデートについてはスケジュールを調整している段階であるとのこと。