セイコー、世界初家庭向け「衛星電波時計」を2月末に発売

セイコーは29日、家庭向けとしては世界初となる衛星電波掛時計「セイコー スペースリンク」を発表しました。希望小売価格は2万5000円~3万円で、2月28日より全国で販売開始されます。

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GP203W

衛星電波時計は、GPS衛星から発信される電波を受信することで正しい時刻に補正する機能を持つ時計です。従来の地上局から発信される電波を受信する製品と比較すると、以下の4つのメリットがあります(セイコー発表による)。

  1. 広い屋内受信エリア
    GPS衛星から発信される電波を、建物の入り口部分から約15m(平均)の場所でも受信できます。これにより、鉄筋ビルの奥まった部屋でも電波時計を使えるようになりました。ちなみに従来の電波時計での「受信可能距離」は約3mと、窓際で使える程度の性能しかありませんでした。
  2. スピード受信
    「セイコー スペースリンク」は約10秒(最短)で時刻を修正することができます。従来の電波時計は時刻修正に4分以上もかかっていたため、20分の1以下にまで所要時間が短縮されたことになります。
  3. 家電機器によるノイズに強い
    GPS衛星から発信されている電波は約1176MHz~約1575MHzと、携帯電話や放送、航空通信などに使用されています。この周波数帯は電波法により特に厳しく規制されている分、従来の電波時計(数十kHz)よりも家電製品やOA製品から発生するノイズの影響を受けにくくなっています。
  4. 世界中で使用可能
    GPS衛星から発信される電波を受信できれば、世界中で正確な時刻を表示してくれます。ただし、地域による時差は手動で設定する必要があるとのこと。

希望小売価格が2万5000円からと、掛け時計として購入するには躊躇してしまう値段ですが、価格の問題は量産効果や他社の参入などで今後解消されていくと思われます。

これまでの(地上波式)電波時計が登場したとき、「ただの時計」の性能は限界に達したかと筆者は思っていましたが、さらに便利な衛星電波時計が登場しました。ただの時計にもまだまだ進化の余地はありそうです。

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左からGP205W、GP205K、GP204S

余談:GPSで超正確な時刻がわかるワケ

GPSといえば、携帯電話やカーナビで正確な位置情報が分かるというアレ。今回発表された衛星時計も、そのGPSを使用しています。

GPS

GPSの仕組みイメージ(筆者がGoogle Docsで作成)

上図のように、GPSは複数のGPS衛星と自分との「距離」を測定することで受信機が位置情報を計算しています。距離を測るのには「距離=時間×速さ」の式を使います。速さは電波の進む速さ(=光速)がわかっていますので、あと必要なのは電波が発せられてから受信するまでの時間。しかしその時間が一番の問題なのです。

光速は約30万km/秒。発信側(衛星)と受信側の間での時刻ずれがたった0,0001秒だとしても、測定距離には3kmものずれが生じてしまいます。つまり、GPS衛星に搭載されている時計は限りなく高精度でなければならないのです(実用には4つ以上の衛星を使うなどして時刻ずれの影響を小さくできるが、衛星の時計が正確でなければならないことには変わりない)。そのため、すべてのGPS衛星には原子時計が搭載されています。

このように、GPS衛星は自身の正確な時刻情報を送信しているため、その情報をもとに時刻を修正することができるのです。ただし、世界標準時(UTC)を基準とした独自時間のため、うるう秒を受信機が計算する必要があるほか、時差を手動で設定しなければなりません。

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重力場のイメージ(Wikipedia:Spacetime in general relativityより)

ちなみにGPS衛星は秒速約4kmで移動しているため、止まっている物体よりも時間の進み方が遅くなります(特殊相対性理論より)。一方GPS衛星の高度は約2万kmで、地上よりも重力場の影響が非常に小さいところにいるため、一般相対性理論によって地上よりも時間の進み方が速くなります。

このような特殊相対論と一般相対論の様々な影響を考慮して、GPS衛星の原子時計は地上では少しゆっくり進むように設計されているのです!しかし衛星を宇宙に飛ばすと、地上からはピッタリ正確に「地上の時間を刻んでいる」ように見えます。

[セイコー via Engadget日本版]

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