米グーグル、新型Androidを正式発表 ―Google I/O 2014総特集

米グーグルは25日(現地時間)、サンフランシスコで開催中の年次開発者会議「Google I/O 2014」の基調講演の中で、最新のAndroidに関する取り組みを発表した。

なお、注目された最新版のAndroidは「Android L」と名付けられており、公演中は「L」と呼ばれていた。従来のようなAndroid 5.0といったバージョン表記はイベント1日目現在では見当たらない。

新興国向けのリファレンスモデルを100ドル以下で提供

発表の冒頭では、Kindleを含まない純Androidタブレット端末のシェアが2014年に62%を突破したことを発表。事実上、ライバルのiPadなどを上回る数のAndroid搭載タブレットが世界中に流通していることになる。

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しかし、その一方で世界的にみればほとんどの地域でスマートデバイスが利用されていないという実情を紹介。新興市場の重要性を強調した。上画像の水色点がその対象地域となる。面積比でみれば普及していない地域のほうが圧倒的だ。

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そこでグーグルは「Android one」という新たな取り組みを実施。NVIDIAが実施しているが、リファレンスモデルをOEM提供することで端末開発のスピードやコストを圧縮することができる。なお、キャリアやメーカーが自由にアプリを追加することができるだけでなく、Androidの多彩な機能を利用することができる。

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基本仕様としてはデュアルSIM・SDカード対応・4.5インチディスプレイ・FMラジオなど。価格は100ドル以下になる。

新しいインタフェースデザインへ移行

「L」と呼ばれる新しいAndroidを正式発表。5000を超えるAPIに加えて、UIのデザインが統一されていることも特徴だ。

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iOS 7と若干ながら似たような発想になるが、レイヤー構想が取り入れられている。開発者は各UIに対して仮想的に三次元上の標高(Z軸)を設定可能。これにより、より、インタフェースがどこに対して何を行うものであるのか明確になる効果を得られる。

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さらにAndroid端末ではバラバラになりがちであったUIをできる限り統一する試みを実施。開発者はAPIを通じてボタンの実行エフェクトやアイコン、色味の自動統一といった機能を利用することでスタイリッシュなアプリをカンタンに作ることが出来る。

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Gmailアプリもデザインが刷新され、アイコン部分が従来はスクウェア形状であったのに対して丸形に変更。パステルに近いカラーリングではなく、原色に近い色使いとなった。

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今回のデザインに対する取り組みはグーグルが提供するWEB上のサービスにも及ぶものであり、Androidプラットフォームだけでなく、Android WearやTV向け端末などにも適用されるデザイン思想だ。

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今回のデザインに対する大幅改革は「Android至上で最大のもの」と称されており、新しいテーマやアニメーション、3Dビュー時のリアルタイムシャドウレンダリングなど、開発者は統一したデザイン思想をアプリ内に手軽に取り入れることが出来る。このことはユーザー側にとってもメリットがあり、アプリ毎に違った動作をするボタンなどが減ることで、ストレス軽減などに繋がり、ユーザビリティが向上するものと思われる。

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通知ウィンドウとロック画面が統合され、ロック画面から各種通知に対して直接アクセスすることができる。iOS的なアプローチが取り入れられた形だ。

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「ヘッドアップ」型とよばれる通知も新たに追加され、操作を邪魔するような通知ウィンドウを表示させることなく、画面の上部に通知を “流す” といったことが利用できるようになった。こちらもiOSの上部通知に近いものだ。

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ロック解除にも改良が加えられ、事前にペアリング・信頼したデバイスとBluetooth通信することで、それを身につけていればPINコードを入力することなくロック画面を解除できるようになる。既にグーグルはウェアラブルデバイス向けのOSとしてAndroid Wareを発表しており、それらの対応デバイスと連携する見込み。

ChromeブラウザやWEBでも新デザイン

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前述したように今回のデザインに対する取り組みはWEB上のサービスにも適用される。例えば上の画像はChromeブラウザでGoogle検索した際の結果であるが、以前よりもカード思想が色濃く反映され、さらに「L」のデザイン思想を利用したテイストに変更されている。

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タスク切り替えのタブはカルーセルタイプの奥行きをもったデザインを採用。従来のタスク切り替えとは大きく異なる仕様となる。

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Googleの検索結果から直接「アプリで開く」を実行可能になる点も大きい。

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さらにGoogle検索におけるオートコンプリート機能を開発者に開放。Androidアプリの開発者であればGoogle検索アプリのようにより自由かつ便利な機能をユーザーに提供できる。

OSの性能も大幅に変更

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直前の噂ではグーグルはDalvikを捨てるのではないかと噂されていたが、昨年に発表した「ART」と呼ばれる新しいランタイムを改めて強調した。ARTはDalvik比で約2倍のパフォーマンスを実現。ガベージコレクションやRAM(メモリ)の適切な管理に優れているとし、64bitに互換性を持つ。

さらに3Dゲームなどのグラフィックに関する独自の取り組みも発表。テッセレーションやジオメトリシェーダーをはじめとした機能がExtension Packとして提供される。これにより、”PCゲームのような” ハイクオリティなゲームアプリを提供できるとのこと。

バッテリー駆動時間も改良

Android Lではバッテリー駆動時間も改善される見込みで、Project Voltaという開発プロジェクトの取り組みにおいてAndroid内におけるすべてのサブシステムを電力面で最適化する。

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セキュリティを強化する

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再び登壇したピチャイ氏はアップルに対して強い対抗心を示しつつ、キーボードの変更などはAndroidにおいて4~5年前にすでに実現出来てきたことであると一蹴。

セキュリティ面の取り組みとしては遠隔操作で端末の状態を工場出荷状態にリセットする機能が搭載される。またセキュリティパッチについてはPlay Service(Google Play開発者サービス)経由で提供されるなどの変更点も新しい。

さらに、ユニバーサルデータコントロール機能が提供され、アプリケーションにおける各種プライバシー設定を一括で変更できるようになった。これまで個別にアプリ内などで変更していたものが、OS側から一覧として一気に変更できる。

モバイルファーストで全てをつなぐ

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ピチャイ氏はAndroid Lの基本思想はモバイルファーストであり、スマートフォンが中心の端末に位置付けられると共に、ハブの役割を果たす。音声認識といった基本的な機能を様々なデバイス向けに提供することはもちろん、それらの独立した端末がシームレスで繋がることの大切さを強調した。

新UIを採用したAndroid Wear

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今年初めに発表されたウェアラブル向けのAndroid Wearにも「L」のデザイン思想が取り入れられており、より具体的な操作方法が明らかにされた。基本的にはGoogle Glassで提供されているような単一画面に単一の情報を表示するカード型インタフェースを採用。

Google Nowでお馴染みのフライト時刻を示すカードや、現在地の天気予報を表示するカードなども提供される。デモではLG電子が開発中のAndroid Wear対応デバイス「LG G」が使用され、実際に動作しているシーンが披露された。

カード間の移動は横方向の水平スワイプを利用し、左右にスワイプすることで次のカードへ移動・戻ることが出来る。キャンセルなどについては上下スワイプを利用する。この点に関してはGoogle Glassと同じだ。

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当然のように、通知はスマートフォンとも連携が取れており、Android Wear対応デバイスで通知を確認した場合、Androidスマートフォン上では同じ通知は消滅(確認済み)する仕様となる。従って、いくつものデバイスで通知が氾濫してしまうといったことは起こりえない。

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電話着信の際には画面右端から「受話」をするための緑色の半円が表示され、それを引き出すことで受話を行う。それ以外にもミュートや音量調整といった設定を行う事も可能だ。一部の対応デバイスでは「歩数計」「心拍数」などのカウント機能も有するという。基本的にはAndroid Wearで対応アプリをリリースすることが可能であるので、様々な機能・サービスが提供される見込みだ。

Android Wear向けのSDK提供

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今回は開発者向けのイベントであるので、開発者向けの説明も重要だ。Android WearのSDKが提供され、「カスタムUI」「カスタムセンサー」「ボイスアクション」「スマホとの同期」などの機能を主機能として利用することが出来る。

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モトローラの「Moto 360」を利用した『ピザを注文するデモ』が披露されたが、一見するとMoto 360がAndroid Wear搭載のスマートウォッチに見えない “普通の時計” であるかのように見えるため、一瞬だけ未来を見たかのような印象を受ける。

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支払いもAndroid Wear上で完結し(Google Walletを使用すると推測)、腕時計からピザが注文できる時代が訪れようとしている。

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なお、Androidスマホ・タブレット向けのアプリにおいて、Android Wearに対応する機能も提供されている場合は自動的にAndroid Wear対応デバイスにアプリをインストールすることも可能。デモでは料理のレシピアプリにおいて、腕時計にレシピを表示するといったデモが披露された。

LG Gは本日発売 Moto360は今夏

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LG電子のLG GとサムスンのSAMSUNG Gearは本日からGoogle Play上で発売。Moto 360は今夏の発売を予定している。

自動車向け「Android Auto」の取り組み発表

発表から約1時間20分を経過した頃、いよいよ自動車向けのAndroidに関する取り組みである「Android Auto」が発表された。

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発表に際して、平均して1時間の通勤時間を自動車で過ごしていることを強調。この時間を快適にするためにAndroidの自動車向け施策を刷新したとしている。それが今回のAndroid Autoだ。

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ナビゲーションといった機能はもちろんのこと、グーグルが誇る高精度な音声認識による入力にも対応。ステアリング(ハンドル)に備えられるボタンとも連動しており、受話や音量、起動なども調整できるものとみられる。

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もちろん忘れてならないのが音楽再生。こちらもしっかりと利用可能であり、Google Play Musicが動作している様が見て取れる。基本的にはスマートフォンからデータなどをやり取りする仕組みであり、自動車自体に大規模な装置を持つというものではないようだ。

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もちろんAndroid Autoも開発者向けのSDKが公開される。基本的にはオーディオの制御とメッセージングサービスに関する部分で、現時点ではあまり多くの機能が解放されていないようだ。Android Autoに対応するアプリを提供する事業者も公開され、Spotifyなども当然のように含まれる。

アライアンス加盟メーカーは多数 トヨタ存在せず

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既に発表されているOpen Automotive Allianceであるが、事前に報じられたようにトヨタ・レクサスの名前は見当たらない。一方でホンダ・アキュラ、日産・インフィニティ、三菱、スバル、スズキ、マツダといった国産メーカーが多数参加する。その他にも、ナビゲーション製造メーカーやSoCを提供するNVIDIAもメンバーだ。

テレビ向け「AndroidTV」は従来を拡張

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Android TVとして発表されたものであるが、従来のようなGoogle TVとは趣がことなる。対応機器を通じてAndroid Lがテレビ上で動作するようなイメージであり、ChromecastをはじめとしたHDMI差し込み型デバイスがその役目を果たすように思われる。

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Android Wearに対応した腕時計やスマートフォンを通じて操作でき、再生中の動画に関する付加情報をオーバーレイで表示することが可能だ。日本でいうならば番組情報にあたる。

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また、各種インタフェースも「L」にあわせて刷新されており、様々なオンデマンドコンテンツなどを楽しむことが可能。音声認識を通じた検索にも対応しており、女優のAnna Gunnを調べるデモも披露された。

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さらにゲームアプリのミラーリングにも対応し、Androidタブレット上で動作するゲームを大型画面で楽しむことができる。

スマートテレビとしてソニーも参画

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Chromecastのような後付けデバイスだけでなく、4K・HDテレビなどにAndroidTVを内蔵したモデルを発売するメーカーも登場する。そのメーカーとしてシャープやソニーが挙げられた。

Chromecastもしっかりアップデート

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Chromecastの発表セクションにおいては、日本を含む様々な国で発売されていることに言及し、さらにAmazonのトップセラーになっていることを強調。テレビ端末におけるYoutubeへのアクセスのほとんどがChromecast経由であることが明らかにされた。

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対応アプリの開発については従来通り。特に大きな変更はない。

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新たなChromecastの機能としては、同一Wi-Fiネットワークになくてもクラウド経由で再生できるようになる点だ。もちろんGoogle Accountなどでしっかりと認証する必要があるかと推測されるが、同一Wi-Fiネットワークに存在しない端末のコンテンツ再生や操作をクラウド経由で受信することが出来る。

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なお、勝手に他人の映像が再生されないように「オプトイン」形式で端末を認証する方式を採用する。最近はテレビの省電力化が進んでいるが、テレビを視聴していない際にスリープ画面や美しい壁紙、Google+上の写真を自動再生する機能も提供される。他にも、Google Earthのような衛星画像やニュース、天気などの情報も表示可能だ。

パブリックな “美しい写真” を自動再生する機能については、不快または有害な画像を再生しないように、高品質かつ安全な画像のみがキュレーションされるという。

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ついに!といったところであるが、Android端末のミラーリングにも対応する。対応端末は上にあるとおりであるが、随時追加されるという。なお全てのアプリがミラーリングに対応できるといったわけではなく、カメラやGoogle Earthなどの一部に限られるようだ。

Chromebookは本日から日本で発売

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Chromebookに関するセクションでは、本日から日本を含む複数の地域でChromebookの取扱いが開始されると発表された。

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Chromebookのロック解除にスマートフォンを利用できるといった取り組みがサラリと発表されたが、核となるのはAndroidアプリをChromebook上で動作させる新たな取り組みについてだ。

これに関しては「非常に困難であった」としているが、デモではEvernoteのアプリがChromebook上で動作している様が披露された。

仕事用と個人用のデータを完全に分離する機能

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仕事用スマートフォンや個人用スマートフォンといった二台持ちが増える中、Android Lでグーグルは「1台で完結させる方法」を提示してきた。

データとセキュリティの分離に加え、仕事用には不必要なアプリを勝手に導入するといったことや改造の禁止などを行うことができる。なお、サムスンに対する特別!?な扱いとして、セキュリティソリューションである「Samsung Knox」への対応が加えられている。

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対応メーカーは上記の通り。ソニーの文字もしっかり見て取れる。

Google DocsはMSオフィスへの対応を強化

Googleのクラウド型オフィスアプリ「Google Docs」にも変更が加えられており、MS-Officeで作成されたファイルをGoogle Drive上にアップロードすることで編集できるようになった。どの程度の編集が可能であるのか不明であるが、過去には変換する必要があったことを踏まえると大きな進化といえる。

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さらにオフィス系アプリを企業で使用する際に必要不可欠な「編集履歴」を強化。編集部分に対して権限所持者が適用するか否かの判断を下すことが出来るようになった。これらの機能はMS-Wordを使って企業間でファイルをやり取りする際には頻繁に使われる機能であり、Google Docsでもそれらの機能に対応したことになる。

Drive for Workは1人10ドルで無制限ストレージ

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Drive for Wordという新たなサービスが発表され、1人あたり10ドルを払えば無制限のGoogle Docs用のストレージスペースを得られる。

フィットネスプラットフォーム「Google Fit」

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Google Fit Platformを利用すれば、開発者はAPIを通じてフィットネスデバイスからのデータを取得・管理することが可能となる。例えばAndroid Wearに対応した腕時計などに「心拍数」「歩数」などを取得する機能が付いている場合、ユーザーの許可を経た上でアプリで活用することが可能になるとのこと。

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参加メーカーも発表されており、スマートフォンなどの端末を開発するメーカー以外にも、スポーツ関連メーカーの名前を見て取れる。もちろんNike+やアディダスの名前も。

 

(2014/06/26 3:40 リアルタイム更新終了)

[THE VERGE]

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