ウチだから分かった、ベンチャー企業がメディアと上手に付き合う方法

最近は独自記事が少ないというご意見を頂戴しましたので、たまにはGGSOKU(ガジェ速)らしくない記事を書いてみることにしました。

内容は、ベンチャー企業はメディアとどう付き合うと良いのか?ということです。

ガジェット速報

ガジェット速報(GGSOKU)

弱小ながらもメディア媒体を個人で立ち上げ、実は裏でITベンチャーをやっているというウチ(弊社)だからこその視点で綴ってみるのがこの記事。メディア媒体とITベンチャーの両方を生業にしている企業は国内でも極わずかではないかと自負しています。

このような内容の記事をメディア媒体はあまり書きたがりません。なぜなら『高圧的なメディア』といったイメージを与えてしまう恐れがあるからです。一方で、ベンチャー企業はメディアとの付き合い方がとても下手な場合が多いように見受けられます。弊サイトに届く多数のプレスリリースやお問合せを見ても思うことが多々あるほどで、これはとても勿体ない事です。

私たちは『メディアとメーカー企業は持ちつ持たれつの共存関係であるべき』と考えています。とはいえ、歴史のあるメディアになればなるほど、どうしても逆らうことができない存在になってしまうのも事実。何せ拡散力と影響力が段違いですから。

そこは郷に入れば郷に従うのが良しとし、この記事ではベンチャー企業がメディアに対していかにスマートに振る舞うかという点にフォーカスして綴っていきます。

*メディアがどうあるべきであるのか?ということを論ずるのはコメント欄なりTwitterにおまかせします。

誤解無きように、まずはウチをご紹介

弊社の立場(状況)をご存じで無い方が殆どだと思いますので、誤解を生まないためにも自己紹介させて頂きます。

私が、個人でこのニュースサイトを立ち上げたのは2011年3月のこと。今はIT事業と会社運営が忙しくて更新数が減っていますが、一時期は月間1,100万ページビューを安定して獲得していました。現在の月間ユーザー数は120万人。多くの皆様にご愛読して頂いた結果です。

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昨年の秋頃から、以前ではとても考えられないような場所に取材のご招待を頂くことが多くなりました。ゼロスタートだからこその発想かもしれませんが、私が編集部員に必ず言うことは「メディアとして天狗のように振る舞うようになったら去ってもらう」ということ。ここは、あえて強めの表現です。

ここまで強く言わないと、人間という生き物は私も含めて勘違いしやすい。ちょっとでも隙を見せると自分が天狗になってしまう

メディアとしてメーカーさんとお付き合いさせて頂くと、とても良くして頂きます(物品・金銭のやり取りではなく、対応などで)。一流のメーカーになると、超高級シャンパンと世界三大珍味が並ぶようなディナーパーティーで世界中のジャーナリストやメディアをもてなします。ここまで来ると、どんなに真面目な方でも流石に魔が差してしまう。自分が偉いのではないか?と勘違いしやすい原因の一つです。

前述したように、メーカーとメディアは共存関係にあるという発想が私たちにはあります。メーカーが素晴らしい製品を作りあげ、メディアが余すこと無く発信する。互いに欠けてはならない存在である以上、上下関係は存在しないのです。以上がメディア事業部における考え方の一部です。

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弊社の企業案内(PDF 2.6MB)

さて、一方のIT事業は「人工知能を搭載したコメントシステム」と「メディア媒体に徹底的に収益を上げて頂くためのニュース配信システムの構築」を主軸としています。メディアに取り上げて頂くのもやっとの思いといった状況で、先日に毎日新聞社に取り上げて頂き、日の目を見たといった状況です。

[毎日新聞社] コメント欄:炎上しない「クーロン」開発 ニュースサイトの導入目指す
http://mainichi.jp/feature/news/20140417mog00m040010000c.html

このように、両方の立場を分かっているからこその視点で、実際の事例などを交えつつメディアとの上手な付き合い方をご紹介していきたいと思います。

1.日本でビジネスをするのであれば、最低限のビジネスマナーを

ここ数年の “起業ブーム” をキッカケに、学生や脱サラで起業するケースが増えてきました。学士卒から直接起業することや、エンジニアはもちろんのこと、名だたる大企業のマネージャークラスが起業するケースもよく見受けられます。となると気になるのがビジネスマナー。

学生はそもそも知らないことが多いですし(仕方ない)、脱藩覚悟で飛び出したようなマネージャークラスの人材は、自身が子会社・孫請け・3次請けを “使っていた” 頃の常識が世間の常識と勘違いしているようなケースもありました。エンジニア社長の場合は、電話受けやメールの出し方まで知らないケースもあると聞きます。

『日本の古い風習を超えて、社会を変えてやる!』 もちろん私も熱い心をもっていますが、ここは日本。しかも、相手にするメディアの記者はヴァンヌーボ紙を使って社章にベゼル加工を施すような伝統のある企業です。そこにはベンチャーの理論は全くもって通用しません。

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とある事例では、全く上下関係のない相手から「○○殿」という宛名でメールが送られてきたことがありました。もちろん殿と様の使い分けは賛否両論あります。もしくは “殿に相応しい相手” と思われていた可能性も否定できません。

とはいえ、流石に宛名は「○○様」「○○さん」としておくのが正解。何か頼み事をする社外の相手に「殿」と使えるシーンは早々ありません。私の場合は「おっ…」と思う程度ですが、他のメディアさんにも同様のメールが送られていると思うと、こちらまでヒヤヒヤしてしまいます。

この辺りのメールマナーはコンビニで売られている文庫本サイズのマナー本にも掲載されているので、とりあえず読んでみましょう。リーンスタートアップを読んでいる暇があったら、さっさとコンビニへ。

また、TO/CCで複数の相手にメールを送信する際には、役職の高い順からメールアドレス&宛名を入力しましょう。ハッキリって面倒ですが、お付き合いする相手はハッカソンで知り合った仲間ではなく、メディア企業なのです。

シード期のベンチャー企業は小さな壺の中で似たもの同士が繋がり合っていますが、相手は歴史と伝統のある企業であることを忘れてはなりません。「正しいことをやりたければ、偉くなれ」というドラマ・映画の台詞を思い出します。

2.「○○に招待するから記事を書いてください」は最悪のケース

私たちがメディアの立場になってから分かったことですが、世界の名だたる大企業やPR会社さんであっても「記事を書いて下さい」とは絶対に言いません。これは衝撃的でした。

例えば、何か注意事項がある際にも「もし本発表会をご紹介頂ける場合は、ユーザー様の誤解を避けるために○○の表記をして下さいますようお願い致します」といった感じになります。発表会によっては、ノベルティを配ったり飲食パーティーがあったり「明らかに記事を書かざるを得ないムード」であっても、絶対に「記事を書いて下さい」「書いてくれる記事には○○を入れて下さい」といったことは言いません。

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これは報道倫理と関係する部分でもあるので、メーカー企業もPR会社も非常に気を配っている部分です。もちろんタイアップ記事や広告記事は別のお話。

したがって、ベンチャー企業が直接メディアにやり取りする際に「記事を書いて」と要求するのはNGにあたる場合が殆どです。言い回しを変えるなどの工夫で乗り切るか、人付き合いのコネクションを活かしてみましょう。

最悪のケースとしては「自社イベントに招待するからその記事を書いて」といったもの。しかも双方のメリットを論理的に示すために「自社も紹介されてメリットがあるし、御社もPVを稼げるからメリットがある」「御社しか呼ばないから独占記事になる」といった内容は絶対に避けるべきです。

とても論理的かつ的確な、いわゆる米国式の「○○をあげるから××が欲しい」的なアプローチですがオススメはしません。多くのメディアが気分を害することでしょう。

3.記者はとても忙しい

記者は複数の取材記事を同時並行的に抱えていることが殆ど。したがって、万が一取材をして下さるチャンスが訪れたのであれば最大限のリソースを注いでサポートするべきです。

本来であれば、これらをサポートするPR会社を入れるのが正しい選択ですが、シード期やアーリーステージのベンチャー企業にその余裕はほとんどありません。したがって、社長ないし経営陣がしっかりと記者をサポートしましょう。

では、PR会社は一体どのような準備を行うのでしょうか。この説明は本職PR担当の方にお任せしたいところではありますが、私たちがお付き合いさせて頂いているPR会社の方から学んだことや、メディアとしての立場からご紹介したいと思います。

  1. 記者の経歴、過去にいた部署、過去に書いた記事を徹底的に調べる
    記者の名前が事前に分かる場合は徹底的に調べ上げます。その記者が過去にどのような部署にいたのか、どのような記事を書いたのか。それによって対応を考える場合もあることでしょう。例えば社会部の記者であれば、報道倫理に極めてセンシティブですし、社会問題に対するアンテナはスゴイものです。ですから、報道倫理に反するような行動をすれば記者の機嫌を損ねることも。
  2. 24時間いつでも対応できるようにしておく
    記者には毎日「出稿」というタイムリミットが存在します。例えば、新聞紙の印刷に間に合う限界ギリギリの時間といえば分かりやすいでしょうか。したがって、記者の要求には即座に対応できる体制作りが必要です。特定ドメインからの着信は音量や着信音を変えるといった工夫をするのもポイント。質問されれば迅速に返答しましょう。
  3. 300dpi以上の画像素材を用意する
    紙媒体に掲載される場合のみですが、300dpiを超える画像素材を用意しましょう。言われる前にPNG/JPEGの双方を予めフォルダで区切って用意するのが吉。「ルートフォルダ > 解像度別フォルダ > 素材」といった形で、間違いが起きないようにサポートしてあげます。
  4. スチル撮影がある場合は撮影場所を整える
    経営陣の人物撮影などを伴う場合は、予め撮影場所を複数セッティングしておきましょう。スペースの都合で狭い場合は仕方がありませんが、レフ板を用いて撮影を行う場合はそれ相応のスペースが必要となります。また、背景にある全ての物体に気を配る必要があります。このあたりは「ポートレート撮影術」的なカメラ本に掲載されているので購入してみましょう。

4.PR会社に任せきりにならない

シリーズAなりBの出資にこぎ着けたベンチャーの場合、いよいよPR会社と契約を結ぶ企業も増えてきます。メディア対策の重要性を分かっている企業であるこそPR会社を付けるわけですが、全てをPR会社に任せてしまうというのはNG。

これは社員全員に統一させる認識で、メディアからの問い合わせを全てPR会社に投げるというのは間違いです。というのも、メディアからの問い合わせが自社にあった時点で、メディアは「これは直接会社に問い合わせる案件である」としっかりと判断した上で問い合わせしています。メディア側は直接会社に問い合わせするべきでない案件は「PR会社に問い合わせたほうが良い」といった判断をしっかり行います。

つまり、自社に電話なり電子メールで問い合わせがあった時点でメディア・記者の判断が行われており、「PR会社に一任している」といった対応は通用しません。3番目で述べたように記者は忙しいもので、一度後回しと判断された記事は実行タスクの最下位にまわされ、最悪の場合は記事化の機会を失います。

PR会社とお付き合いする際には「どこまでがPR会社の担当であるのか」をしっかりと認識した上で、社員全員がそれを理解するべきです。

5.ベンチャーはPR会社を早期に入れてしまおう

もはやPR会社の宣伝のようにも見えなくありませんが、メディア側として様々なメーカー企業の取材をさせて頂く中で、広告代理店以上にPR会社の重要性が分かるようになりました。これは大企業における広報担当部署か、またはメディア側の立場にしか分からないものかもしれません。

恥ずかしながら、私は取材に参加させて頂くまでPR会社という存在を知りませんでした。すべて企業の広報担当者が行っていると思っていたのです。ところがメディア対策の核を占めているのはPR会社でした。

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PR会社社員さんの働きぶりには感動すら覚えます。何よりも対応が早い。迅速で常に丁寧。そして膨大な記者・メディアの顔をしっかり覚えているのです。

メディアの人を見つければ「あの○○の記事すごい良かったです。特にxxの部分が。」といった具合に、記事の内容まで完璧に入っている状態。取材記事については(恐らく)全ての記事に目を通し、何が良かったのかしっかりとポイントを抑えています。

企業の広報部署に所属している方は、取材記事だけでなく自社に関する他の記事もしっかりと読了しており、その感想や反応をしっかりとフィードバックしてくださいます。これで記事執筆のやる気が出ないわけがない

メディア対応から各種イベントの補助、設営、コネクションなど、多彩にサポートするPR会社は本当にすごいと、メディア側の立場として感じます。クライアントであるメーカー企業と、ゲストであるメディア媒体の板挟み状態を切り抜ける戦士なのにスゴイなぁと。

正直なところ、イベントが終わると疲れきった顔が見え隠れしなくもありませんが、心の中で「お疲れ様でした…」と言って見ないふりをします 🙂

ということで、私たちもPR会社さんには早期にご協力して頂きたいと考えています。

6.メディアを使う と思うなかれ

記者もメディアも基本的にはベンチャー企業の味方であることが殆どです。そこには人間がいて、人の心・魂が存在します。何かの本を読み間違えて「メディアは使ってなんぼ」みたいなことを実践していると、手痛いしっぺ返しを食らうことでしょう。

PV伸ばせるからいい話でしょ?的なノリはもっての外。興味のある話題のみを扱うGGSOKUのみならず、他の記者・メディアも心があります。

素晴らしい製品を作ってそれを心の底から説く。その「地」を恥ずかしがらずに出して、その上でメディアとしっかりお付き合いしていくのが良いかと思われます。相手は聞き上手の記者ばかり。偽の心は通用しません(驚くほど本当に)。

私たちもメディアという立場でありながら主力事業のQuelonを広めるために、メディア各社とお付き合いさせて頂く上で改めて心に刻む意味でも記してみることにしました。

※何か他にもアドバイスがあれば、コメント欄なり外部SNSでご教授お願い致します。

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