SIMロック解除の義務化、正式決定 制度作りフェーズ入り

総務省は14日、同日に開いた有識者による研究会を開き「SIMロック解除」を義務付ける方針を正式決定した。今回の決定を経て具体的な制度・ルール作りのフェーズに移り、年内に制度を決定し、2015年度中には実施される見通し。NHKニュースの報道で明らかになった。

「SIMロック」は、購入した携帯電話会社以外で端末を利用できないようにする制限のこと。例えば、NTTドコモが販売する端末にソフトバンクモバイルのSIMカードを挿入しても従来は使用できなかった。一方で、NTTドコモはSIMロック解除のサービスを有償提供しているが、ソフトバンクとKDDI(au)は一部端末を除いてそのようなサービスを提供していない状態であった。

今回の報道ではSIMロック解除を義務化するとしており、言葉尻を捉えるのであれば「強制適用」となる可能性が高い。もちろん、今後のルール作りやキャリアの意見を踏まえて内容が変更される可能性もあるが、今回のSIMロック解除に対しては総務省は強硬姿勢を貫いており、義務化される公算が高いとみられる。

義務化するとどうなるか

既にキャリア側は総務省の対応を事前に察知していたとみられており、さらにキャリアのコントロールを受けない「iPhone」を3社が取り扱うことで「自社端末専用」といったサービスは非常に扱いにくいものとなっていた。したがって、自社が提供するサービスのオープン化を進めている経緯がある。

従来は自社の端末でのみ利用できたサービスを、同業他社の端末でも利用できるようにするといった流れが続いており、3社が提供する音楽聴き放題サービスや動画見放題サービスもその一例だ。

今後、キャリアは通信網の整備とコンテンツプロバイダーとしての役割がより一層強くなり、端末販促をキャリア側が負担することは考えにくい状況。つまり、MNPによるキャッシュバックや端末の割引制度による囲い込みは実質廃止される方向に動くとみられており、消費者にとっては【初期コストがかかる】といった状況になる見通し。

24回分割制度は実質廃止の可能性も

端末によっては7万円~9万円台が現在の売れ筋であるが、それらを一括で消費者が負担する必要が生じる可能性がある。

従来、割賦契約を結んでキャリアが24回などの分割払い制度を設けているが、キャリア側が “貸倒し(厳密には不払い)” のリスクを抱えるのはナンセンスである。実際に外国人の契約者が契約だけを行い、国外に逃亡して転売するケースも報じられている状況だ。

このようなリスクがあったとしても割賦を手数料なしでキャリアが提供していたのは、シミュレーション上の計算で2年間囲い込むことができる率が高いことが理由として存在する。ところが、SIMロック解除が義務化されれば消費者の不払いリスクのみをキャリアが負うことになり、消費者が他のキャリアに移動してしまう可能性が生じる。

仮に『割賦中はキャリア移動できない』といった制度を設ければ国内法に抵触するとの見方もあり、さらにSIMロック解除義務化を形骸化させる恐れもある(これがキャリアvs総務省の妥協点となる可能性もある)

したがって、消費者はクレジットカードや個別ローンによる分割払いを行うか、またはキャリアが毎月保証金として数百円を徴収する代わりに分割制度を設けるといった制度が登場する可能性が高い。もしくは携帯電話分割向けの保証制度ビジネスが台頭する可能性もある。

上記のような流れは不可避とみられており、低収入層のユーザーにとっては携帯電話の購入ハードルが大幅に上がることが予想される。

海外では収入差で二極化、2年縛りが人気

iPhoneなどの高額端末が登場して以来、欧米圏では2年縛りを前提にしたSIMロックが人気の契約モデルとなっている。日本では長らくSIMロック制度が一般的であり、左記の制度が約5年ほど前から問題視されていたが欧米圏とは逆行する形となる。

欧米圏ではSIMロック制度を用いて裕福でない層がiPhoneなどの端末を購入でき、より貧しい層は中古や2万円前後の格安端末を購入してMVNO業者で契約している状況だ。

当然ながら日本でも上記のような状況になるとみられるが、問題は「選択式SIMロック」になるか否かといったところだ。欧米圏では選択式でSIMロック解除の有無を選ぶことができ、自由にキャリアを移動したいユーザーは高額な端末料金を支払う代わりに “自由” を手に入れている。

余談ではあるが、家庭内における通信費の割合が増大している状況もあり、世帯収入が月額20万円程度であるのに対して通信費(+端末割賦)で毎月4万円近く支払うといった状況も多い。これらを適切とみるか否かは論者のポジションによって変わるところであるが、「異常である」とする見方が出来る一方で、携帯通信のインフラ化によって「必要不可欠であり、当然である」とする見方もできる。ただし、他の娯楽や一般消費財とは違って携帯キャリア3社に収益が集中する仕組みであり、その点が適切ではないとも考えられる。

競争しないキャリアが選択式を拒む

欧米圏では携帯キャリア同士が適切に競争を行うことで、回線品質の向上や斬新な価格プランの提供、価格競争などが起きている。そのような状況下であれば「選択式のSIMロック解除」も導入可能であるとみられるが、日本のように3社横並びで “競争をしない” 状況では「選択式SIMロック解除」は制度の形骸化を生みかねない。

現時点で確実なことは言えないが、このまま携帯キャリア3社が横並びで高止まりを続けるのであれば、SIMロック解除の義務化は避けられないとみられる。義務化することで競争を生む狙いがあるとみられるが、総務省の思惑が通用するかは不透明だ。

もはや一人一台は必要不可欠になった携帯電話。電話の枠組みを超えて「データ通信端末」として進化したからこそ必要不可欠になったともいえるが、SIMロック解除義務化は消費者にとって大きな変革のタイミングとなりそうだ。

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