米ウォール・ストリート・ジャーナルなど複数の米国メディアが5日夜(現地時間)に伝えるところによると、ソフトバンクが買収した米国3位の通信事業者「Sprint(スプリント)」が、T-mobile USの買収を断念したことが明らかになった。いずれも匿名筋の情報であるが、規制当局の壁に加えてオバマ大統領が難色を示したことが大きな理由であるとみられる。

T-mobile USの親会社であるドイツテレコム(T-mobile)とスプリント・ソフトバンクの間では、買収に関して合意に至っていたが、その先にあるFCC(連邦通信委員会)やFTC(米国公正取引委員会)、議会などの反発が大きかった模様。T-mobile USの買収をめぐっては、2011年にAT&Tも試みたことがあったが同様の反発で断念した経緯がある。

SoftBank-Sprint

反発の理由としては第一位に「市場競争の維持」が挙げられる。国内でソフトバンクを語る際には、ナショナリズム要素を絡めた議論が行われる傾向があるが、今回の件ではそれらは見当違いといっても過言ではない。

米国においては「資本主義」における「競争」を極めて重んじる文化が根付いており、競争の結果「神の見えざる手」によって社会に還元されるという思想が根底にある(※宗派によって異なる)。これらの感覚を理解するには、日本に長らく住まう者が神社や寺において「落書きをしたら罰が当たる」といった子供の頃から自然に刷り込まれる感覚を思い浮かべれば分かりやすいかもしれない。

特に、通信方式の違いが上手く分かれているところに加えて、3社では十分に市場競争の原理が働かないと判断されたようだ。先週の段階でFCCのTom Wheeler委員長が買収に懐疑的な意向を示していた。

米国時間の明日にはスプリントが正式発表するとみられているが、合意事項において買収に至らなかった場合の莫大な違約金が存在するのか否かにも注目が集まっている。

なお、Re/Codeが同日に報じるところによると、複数筋からの情報として、スプリントはCEOを交代するとしており、Brightstarの創設者であるMarcelo Claure氏が新CEOに就任する見込み。

[THE VERGE][Re/Code]