iPhone 6と6 Plusは期待外れ?それとも順当?

まず初めに、例年のように当サイトでの発表イベント記事を楽しみにしておられた方に対して、記事の公開が遅くなってしまったことをお詫び申し上げます。

米アップルが9日(現地時間)に正式発表した、「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」。大方の予想通り、4.7インチと5.5インチの大型ディスプレイ(従来比)を搭載した2モデル展開で、デザインはアルミニウムを主体とした丸みを帯びたものになりました。

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まずは、恒例のスペックチェックです。

機種 iPhone 6 iPhone 6 Plus
搭載OS iOS 8
ディスプレイ 4.7インチ Retina HDディスプレイ 5.5インチ Retina HDディスプレイ
解像度 1,334 x 750、326ppi 1,920 x 1,080ピクセル解像度、401ppi
CPU Apple A8 (1.4GHz?、非公表)
RAM 1GB(非公表)
内蔵ストレージ 16 / 64 / 128GB
外部ストレージ 非対応
背面カメラ 8メガピクセル iSightカメラ 8メガピクセル iSightカメラ
光学式手ぶれ補正機能
前面カメラ 1.2メガピクセル FaceTimeカメラ(バーストモード対応)
対応ネットワーク GSM/EDGE(850、900、1,800、1,900MHz),
CDMA EV-DO Rev.AおよびRev.B(800、1,700/2,100、1,900、2,100MHz),
UMTS/HSPA+/DC-HSDPA(850、900、1,700/2,100、1,900、2,100MHz)
TD-SCDMA 1,900(F)、2,000(A)MHz
FDD-LTE(バンド1、2、3、4、5、7、8、13、17、18、19、20、25、26、28、29)
TD-LTE(バンド38、39、40、41)
Wi-Fi 802.11a/b/g/n/ac Wi‑Fi
Bluetooth Bluetooth 4.0
NFC 対応
バッテリー容量 1810mAh(非公表) 2915mAh(非公表)
防水・防塵 非対応
サイズ 138.1(H)×67.0(W)×6.9 (T)mm 158.1(H)×77.8(W)×7.1(T)mm
重さ 129g 172g
展開色 シルバー、ゴールド、スペースグレイ

筆者はiPhoneをスペックで語る時代はiPhone 4sの時点で終わったと考えていますが、この表を見る限りは前モデルと比較すれば順当な進化となっています。ただ、他社スマートフォンと比較すると見劣りしていることは間違いなく、スペック上の差は拡がるばかり。そういう点では期待外れともいえます。

今回の2モデルに搭載されているA8チップは、前モデルであるiPhone 5sのA7チップと比較してCPU性能では25%、GPU性能では50%の処理能力向上が達成されているとのこと。また、(A7とは異なり)熱問題を解決したため、長時間にわたってフル性能を発揮し続けることができるとしています。これは、A8チップが20nmプロセスで製造されたことによる恩恵と見てよいでしょう。

また、センサー群には新たに気圧計が仲間入り。進化したM8コプロセッサと連携して、ユーザーの(相対的な)高度も含めたより精密な行動を認識できるようになりました。

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種々の新チップや増加したバッテリーを詰め込みながらも、iPhone 6はシリーズ最薄の6.9mmに

さて、だいたいのことは皆様既に知っておられると思いますので、これ以上の説明は省かせていただき、筆者が注目した今モデルの進化ポイントを1つだけ詳しくご紹介したいと思います。そのポイントとは、カメラ機能です。

毎年のiPhoneの進化でハードウェア的に最も大きなものは、カメラ機能といっても差し支えないかと思いますが、今回のモデルでもそれは同様です。

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数字としては800万画素と、iPhone 4sのころから全く変わらないため、他社製品と比べると見劣りしてしまいます。とはいえ、携帯電話で撮る写真の用途といえば、SNSへ投稿したり、友達に見せて楽んだりする程度。高級カメラのようにA4以上の紙に印刷するわけでもないので、そこまでの画素数は必要ないとの判断なのでしょう。

肝心の “進化した部分” とは、CPU処理能力の向上に依るところが大きく、位相差AFと同等の仕組みを利用した高速AF、顔認識機能の向上、4枚の写真を合成して手ぶれを軽減する自動補正機能など、「何も考えなくてもカンタンに綺麗な写真が撮れる」ことを念頭においた機能向上が数々見られます。

静止画だけでなく、ビデオ撮影機能も種々の進化が見られます。むしろ、こちらの方が変化が大きいかもしれません。

1080pのフルHDビデオ撮影では、60fps記録を実現。これまでの倍のフレーム数を記録することにより、滑らかな映像を撮影することができます。なお、今年に入って発売された他社スマートフォンの高級モデルでも同60fps記録は可能。

720pのHDスローモーション撮影でも、従来の2倍・240fpsで記録することが可能になり、一瞬の早業を抜き出すビデオ作品の幅が広がります。

そのほか、「映画レベル」と称する高度な手ぶれ補正機能を搭載。ネットやテレビで流れる「視聴者投稿の映像」といえば映像がブレブレなのがお決まりですが、それも変わっていくかもしれません。

ただ残念なことに、センサー自体が約800万画素しかないこともあり、4Kビデオ(約829万画素)の撮影には対応していません。

背面のメインカメラだけではなく、内側に搭載されたFaceTimeカメラも地味ながら進化を遂げています。特に海外では、 “自分撮り”(selfie)の文化が流行・浸透しており、上手に自撮りできるかという点が重要なポイントになってきています。

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まず、メインカメラと同等のf値2.2を実現。iOS 8の新機能である露出コントロール(後述)と合わせて、ご自慢の顔を明るく撮影できるようになりました。

さらにはバーストモード(高速連写)対応と、向上した顔認識機能が連携して、「シャープで」「笑顔な」「まばたきしてない」ベストショットを自動で選んでくれるという親切ぶり。(それくらい自分で選べよ…という筆者の思いはさておき、)このような “当たり前の機能” の連携プレーによって、自分の最高の瞬間をカンタンに切り取ることができるのは、自分撮りファンにとっては嬉しいところ。

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iOS 8になったことで、セルフタイマーも(やっと)搭載され、手ぶれを抑えつつ上手に全員がフレームに収まるように写真を撮ることも容易になりました。

また、最新のiOS 8によって実現した機能向上も見逃せません。これらはiPhone 5s以前の機種でもアップデートを通じて提供される予定の注目機能です。

まずはタイムラプス撮影機能。タイムラプスとは、一定間隔で撮影した写真をつなげて映像化することで、長時間に渡る風景変化を短い時間に詰め込む手法のことです。

 


YouTube、spskentさんより参考動画。これはiPhoneで撮影されたものではありません。

そして、露出コントロール機能。筆者にとっては、これが嬉しい機能追加ランキング第1位です。

これまで、ピント合わせと露出設定はセットになっており、被写体の明るさを調節することはできませんでした。しかし、iOS 8からはピントを合わせた後に露出を上下させることができるようになったのです。これまでもサードパーティー製アプリを使用すれば露出調整はできたのですが、それでも同機能が(数年の時を経てやっと)標準装備されたことに喜びを感じずにはいられません。

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さらに、撮った写真の編集機能も大幅に強化されているのがiOS 8の特徴。アップルから単体アプリとして提供されてきた「iPhoto」並みの細かい編集が可能で、ユーザーそれぞれの求める「カンペキな1枚」を標準機能だけで作り上げることができるようになります。

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ハード・ソフトが合わさってこそのiPhone

この記事では、写真機能についてだけを細かく見てみましたが、ご覧のとおり半分程度はハードウェアではなくソフトウェア(iOS)の進化となっています。

上でも述べたように、iPhoneはもはやスペックで語る製品ではありません。iPhoneのハード単体、iOSの機能単体を見ると他の製品と変わり映えしなかったり、むしろ劣っていたりという場合が多いのはだれもが認める点に思われます。

しかし、自社製品のためだけに開発されたソフトとハードの上手な融合によって、「他社の後追い」のような機能であっても使いやすく、なんだか便利に感じてしまうのがiPhoneの不思議な魅力といっても良いでしょう。

その好例としては、ようやく搭載されたNFCと、昨年からあった指紋認証機能Touch ID、そして大した有用性もなかった「PassBook」アプリを組み合わせたモバイル決済サービスの「Apple Pay」が挙げられます。

逆にいえば、すでにiPhoneを持っている現行ユーザーにとっては、買い替えるかどうかは微妙なところ。もちろん、大きくなった画面やApple Payを使ってみたいという方、そして新しい物好きのアップルファンにとっては「買い」なことは間違いありません。

150Mbpsの高速LTEやCA(キャリア・アグリゲーション)、VoLTEをiPhoneで体感したい方は6 / 6 Plusが必要となりますが、各キャリアから対応に関する発表がないため即買いはおススメできません。

ただ、ハードウェアが十分高性能になったということもあって、iOS 8アップデートで提供される新機能の多くはiPhone 5s以前の機種でも利用できるものばかり。iPhone 3Gや3GS時代のように、「買い換えないと新機能を利用できない」という状態ではなくなっています。

読者の皆様の目には、今回のiPhoneシリーズはどのように映ったでしょうか。筆者は、(期待以下ではないという意味で)順当な進化として、iPhoneらしいiPhoneに仕上がったと感じました。

ちなみにですが、筆者は昨年iPhone 5sに買い換えたということもあり、今回は「待ち」の予定です。

参考:[アップル1/2/3/4/5/6] [MacRumors] [NowhereElse] [Wikipedia(en)] [マイナビニュース]

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