ついに出揃う、「三社三様」のVoLTEを見比べてみた

KDDI(au)は12日、LTEネットワーク上で通話を可能にする技術「VoLTE(ボルテ)」対応のスマートフォン2機種を発売し、同時にサービスを開始しました。さらにこの日には、大手3キャリアの最後発としてソフトバンクモバイルがVoLTEサービスをまもなく開始と発表し、なにかとVoLTEの話題で盛り上がる一日となりました。

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発売されたばかりのVoLTE対応端末「isai VL LGV31」 Credit:KDDI

冒頭で述べた通り、VoLTEとは本来データ専用に開発されたLTEネットワークを用いて電話サービスを実現する通信技術のこと。従来の3G回線を用いた電話と比較して音質や応答速度が向上していたり、周波数帯域の利用効率が改善していたりと、いろいろな魅力がある次世代の電話サービスです。

さてこのVoLTE、3社から出揃う見込みが立ったのは喜ばしいのですが、様々なキャリア独自サービスが追加されており、キャリアを超えたユーザー同士のVoLTEによる通話は現時点では不可能とされています。…そう、新しい「電話」であるにもかかわらず、キャリア間に互換性のないサービスになっているのです。

さすがに今後は、 “異キャリア間VoLTE通話” が実現するように話が進んでいくものと思われますが、現時点でVoLTE端末を使いたい!という方は、よく考えてキャリアを選ぶことが重要になってきます。

そんな “三社三様” のVoLTEサービス、どこがどう違うのか比べてみました。

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NTTドコモ

去る6月にサービスを開始したNTTドコモのVoLTEは、「音質の良さ(HD Voice)」「ビデオ電話への対応」「通話中のLTEによる高速通信」「早くつながる」ことをウリとしています。2014年春以降に発売された計13機種が対応しているというのは、他社に先駆けてサービスを開始したドコモならではの強みといえるでしょう。

Xiエリア内におけるドコモのVoLTE対応端末同士での利用が可能です。相手がVoLTEに対応していない、対応していてもLTEエリアにいない場合は従来の3G回線による通話が使われます。通話中にXiエリアから3Gエリアに移行した場合も、3G通話に自動的に切り替えられます(CSフォールバック)。

前面カメラを通し、相手と向き合ってビデオ電話ができる「ビデオコール」機能。iOSの「FaceTime」やGoogle ハングアウト、Skype、LINE…。数々の無料ビデオ通話が存在する中、キャリアとしてビデオ電話を提供するのは意外なことにドコモダケです。

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NTTドコモによるビデオコールの説明 Credit:NTTドコモ

KDDI

12日にサービスを開始したばかりのKDDI。3社のなかで最も独自色の強いVoLTEサービスとなっています。

例えば、様々なコンテンツを共有できる「シンクコール」。2015年2月から提供予定の目玉機能で、ユーザーが現在表示している画面、カメラ越しの景色、位置情報、画面に書いた手書き文字とあらゆるモノを通話相手と共有できるというものです。

このように、VoLTEによる「新たな体験」を一番のウリとしてアピールしているKDDIですが、次世代通話ならではの高音質通話(HD Voice)にも対応しています。

さらに、発信者がauのVoLTEユーザーならば最大30人での同時通話が可能になる「ボイスパーティー」なるトンデモオプション(月額有料)が用意されているのが面白いところ。他社の携帯電話でも、さらには固定電話だとしても通話に誘うことができる使いやすいサービスとなのですが、通話量はすべて発信者持ちのため、通話定額必須のオプションといえるでしょう。

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KDDIによるau VoLTE利用イメージ Credit:KDDI

KDDIのVoLTE対応端末は、12日発売の「isai VL IGV31」「URBANO V01」の2機種ですが、驚くべきことにこの2機種は3G(CDMA2000)通信機能を持ちません。LTEエリア外では使えないというのは少々不安に思われるかもしれませんが、KDDIは実人口カバー率99%を誇る広大なLTEネットワークなら心配いらないと胸を張っています。ドコモやソフトバンクと異なる3G通信規格を採用し、その呪縛に苦しめられてきたKDDI。一刻も早く3Gを過去の遺物にしてしまいたいのでしょう。

また、KDDIのVoLTE端末は従来機種とSIMカードが異なるとのことで、既存のユーザーが端末のみを買い増してもVoLTEを使用することはできません。

ソフトバンクモバイル

8月に行われた「AQUOS CRYSTAL」「AQUOS CRYSTAL X」発表会の時点で12月の “X” 発売時にもVoLTE開始と予告していたソフトバンクモバイル。その予告通り、今月中にも発売・VoLTEサービス開始となる見込み。

ソフトバンクのVoLTEは発表されたばかりで情報が少ないのですが、公開された画像を見る限りでは通話に特化したシンプルなサービスに収まるようです。

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Credit:ソフトバンク

これは筆者個人の予想ですが、他社のように付加価値サービスを付けなかったの理由の一つとして、iPhone 6 / 6 Plusでは導入するのが難しく、AndroidとiOSでサービスに差が出るのを防ぐ狙いがあったのではと考えています。もしくは、単に帯域を無駄に使うようなサービスを嫌ったか…。

一方でサプライズもありました。ソフトバンクはVoLTEだけでなく従来の3G通話にも、高音質通話「HD Voice(3G)」を導入することを明らかにしたのです。つまり、VoLTE対応端末間の通話だけでなく、HD Voice(3G)対応端末間、VoLTEとHD Voice(3G)間でも高音質な通話が可能になるということ。

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iPhone 5発表イベントでHD Voice(Wideband Audio)の紹介をするPhilip W. Schiller氏
Credit:The Verge

対応端末は、サービス開始時点ではAQUOS CRYSTAL Xのみ、ソフトウェアアップデートを通じて8月発売の “無印” が追加対応されることが明らかになっています。ソフトバンクによると、VoLTE・HD Voice(3G)に対応する端末は『順次拡大していく予定』とのこと。

気になるのは、米アップルのiPhone 5 / 5s / 5c。これらはハードウェア的にHD Voiceに対応しているため、ソフトウェア更新などで高音質通話ができるようになるのかが注目されます。ソフトバンク版のiPhone 5 / 5s / 5cは数が多く、実現すればソフトバンクとしても高音質通話対決において数的に有利に立つことができます。

まとめ

ここまで長々と書いてきましたが、通信会社ごとに異なる色付けをされたサービスが現われてきており、各社のVoLTEの位置づけの違いというものがみられて面白くもあります(あくまで筆者個人の感想)。

ドコモは、長年FOMAでも扱ってきたビデオ電話をいよいよ標準的な電話として組み込むことができるような時代になり、VoLTEでそれを実現させた格好です。

KDDIにとってVoLTEは、CDMA2000(3G)から脱却するための大きな一歩であるとともに、スマートフォンを「タダの電話」じゃなくさせるきっかけにならないかと模索しているように見えます。

ソフトバンクは、VoLTEをあくまでも次世代の電話としてとらえているように感じられます。3GではなくLTEを、回線交換ではなくパケット交換を用いることで通信の効率は格段に向上します。爆発的に増加するデータトラフィックに対処するため、粛々と世代交代を進めている、といったところでしょうか。

キャリア ドコモ KDDI ソフトバンク(発表時点)
対応端末(記事執筆時) 13 2 1(2)
高音質(VoLTE)
高音質(3G) × ×
テレビ電話 △(画面共有) ×
画面・位置など情報共有 × ×
使用可能エリア ドコモXiエリア au 4G LTEエリア SoftBank 4G LTEエリア
ただしHD Voice(3G)は
SoftBank 3Gエリア
追加料金 なし なし(有料オプションあり) なし
対応方法 対応端末にて、電話アプリ
を最新版にアップデート
対応端末に標準搭載 対応端末にて、
無料オプション申込
HD Voice (3G)は申込不要

[NTTドコモ][KDDI][ソフトバンクモバイル]

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