難しくない!初めてのハイレゾ入門 ―実際に楽しむ編

さて、前半(過去記事)では小難しいお話を交えながらになってしまいましたが、「ハイレゾ」と言うものについての認知と理解が少しでも広く、深くなったのであれば幸いです。

では早速ですが、本記事ではハイレゾ音源をどのようにして楽しむか、という点をお伝えしたいと思います。

スマホでハイレゾ!

昨今ではスマートフォン単体でもハイレゾ音源の再生に対応する機種が増えてきました。それもネイティブな再生、つまり96kHz/24bit等のハイレゾ音源をそのまま出力することが可能になってきたのです。

というのも、スマートフォンによっては “ハイレゾ音源を44.1kHz/16bitのCD音質へダウンサンプリングしてのみ” 出力可能である場合や、後述する「デジタル出力」にのみ対応し、イヤホンジャックにヘッドホンを挿し込むだけではハイレゾ音源として再生できない例も存在していたのです。本記事では「Xperia Z3」にスポットを当てて話を進めていきますが、各端末の詳しい仕様は各メーカやキャリアのHPよりご確認ください。

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こちら、Xperia Z3(私物)。ソニー独自のAV技術が織り込まれ、高品質なカメラ機能をはじめ、「トリルミナスディスプレイ for mobile」・「X-Reality for mobile」による美しい映像体験のみならず、前面ステレオスピーカや、独自の高音質化技術「ClearAudio+」、非ハイレゾ音源をハイレゾ “相当” の音にまでXPERIA内部でアップサンプリング処理を施す「DSEE HX」に対応した最新のフラグシップモデルです。

さてさて、機種の紹介は軽く済ましておき、早速Z3単体でハイレゾ音源の再生に挑戦してみようと思います。

まず初めにZ3の音楽再生に対するスペックを確認しておきましょう。

対応フォーマット WAV/FLAC/ALAC
USB最大出力 192kHz/24bit
ヘッドホン最大出力 96kHz/24bit

なお、Xperia Z3はDSD64(DSD2.8MHz)のリニアPCM変換再生にも対応していますが、今回はより身近なPCM音源に焦点を当てるべく詳細は割愛させていただきます。

単体で再生する場合は特に何も難しい設定は必要ありません。手に入れたハイレゾ音源をZ3へ転送し、再生アプリで再生するだけです。XPERIAの場合は「Media Go」という管理アプリがあるので、それを使ってメディアファイルの管理を簡単に行うことも可能ですが、もちろんD&Dでも問題ありません。

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ハイレゾ音源を実際に再生しています。

今回は『ベルリオーズ作曲:「幻想交響曲」より第一楽章』を再生しています。再生アプリはXPERIA標準の「WALKMAN」ですが、96kHz/24bit音源をネイティブに、つまりCD音質へダウンサンプリングすること無く再生ができており、また、ハイレゾ音源の場合は『HR』のマークがつきます。

と、このように最近のスマートフォンでは、単体でハイレゾ音楽を楽しむことが可能となってきました。しかし、「スマホでハイレゾ!」はここでは終わりません。上記、Z3のスペック表にもあげた「USB出力」について試してみましょう。

USB出力とは、そのまま “音源データをUSB出力する” ということです。

XXkHz/XXbitのようにデジタル化された音源が再度音楽となって私達の耳に入ってくるまでには、デジタル音源を一度アナログ信号に戻し、増幅させることでヘッドホンやスピーカを鳴らす、という流れがあり、この一連の作業を行うのが通称「DAC(ダック=Digital to Analog Converter)」や「アンプ」と呼ばれる部分であるのです。音を出す機械には何かしらの形でこのような機構が備わっており、Z3を始めとしたハイレゾ対応の機械は「XXkHz/XXbitまでのデジタルデータを処理できる」という仕組みのもと、いわゆる “ハイレゾ音源” を再生・出力しているのです。

では、この一連の作業を他の誰かに任せてみたらどうなるでしょうか?

対応しているとはいえ、専用のDAC・アンプに比べるとXPERIAに搭載された処理系等ではパワー不足であることは明らかです。ここで登場するのが「ヘッドホンアンプ」となります。

そして、今回はそのヘッドホンアンプとしてSONYの「PHA-1」を例に紹介します。これももちろん私物です。

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Xperia Z3は先述の通りオーディオデータのUSB出力に対応しており、設定からオーディオ設定、そして『ハイレゾオーディオ(USB)』の項にチェックを入れることでUSB出力が可能になります。ちなみに、この項にチェックが入っている間は普通にヘッドホンが使えない、なんてことはないのでご心配なく。

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ただし接続の注意点として、microUSBオス-USBメス変換ホストケーブルとUSBオス-microUSBオスケーブルが必要になります。これはPHA-1の仕様によるものでしようがないのですが、日々持ち歩くスマートフォンを複数のケーブルと、そしてそもそもある程度の大きさがあるヘッドホンアンプとともに持ち歩くのはなかなか厳しいようにも思います。

しかし、やはりというべきか音の質に大きな差が生じることも事実。今回筆者は試聴用のヘッドホンとしてSONYのMDR-EX1000、もしくはMDR-Z1000を使用しましたが、音の広がり方や音楽の持つ迫力といったものは「ここまでか」と思えるほどに差があるものです。とは言ってもハイレゾ音源自体が今までのCD音源と比べて高音質である、ということは前編でも触れたとおりです。そのハイレゾ音源を単体で再生できるようになったZ3のオーディオ的ポテンシャルも決して低いわけではありません。

 

ところで・・・。

上のスクリーンショットにて、『ハイレゾオーディオ(USB)』の説明欄に「サウンドエフェクトが無効になる」と注意書きがされていますがこれはどういったことでしょうか。

今までに説明したように、オーディオではデジタルデータとアナログデータの変換が要となり、ハイレゾ音源についての議論がアナログ→デジタルであれば、再生はデジタル→アナログについての議論となります。この際に無駄なノイズや変換の間違いが起きないように、オーディオメーカーではDACやアンプ、そして基板やはんだにいたるところまで徹底して開発研究を行い、「いい音」を目指しているのです。

さて、少し話がずれてしまいました。

Z3の例で言えば、音源となるデジタルデータを持っているのはもちろん “Xperia Z3自身” です。ここで、実際の処理を担うPHA-1にデータが渡されるとき、「そのままのデータ」であることが望ましいのです。ここがポイントで、Z3とPHA-1はデジタル出力・入力によってZ3が持つデジタルデータの処理を全てPHA-1に任せることになり、これによってZ3本体のエフェクトが無効となるも、PHA-1の恩恵を余すこと無く受けることができるのようになるのです。

スマートフォンとポータブルヘッドホンアンプの接続では「デジタル入出力が可能か」ということが大きなポイントなのです。

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ちなみに上の写真は実際にZ3とPHA-1を接続してみた様子です。このようにL字のmicroUSBオス-USBメス変換ホストコネクタと短いUSBケーブルを用いれば多少はコンパクトに収まりそうですが・・・?

実は筆者はこんなことしていません。

ウォークマンでハイレゾ!

では筆者はどうやってハイレゾ音源を楽しんでいるかというと、もっぱらウォークマンか後述のPC環境下においてです。

特にウォークマンは筆者自身「NW-ZX1」を所有しており、ハイレゾ音源を持ちだして聴くのであればXperia Z3を使う機会と言うのは実はほとんどありません・・・。

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ZX1は単体で192kHz/24bitまでの再生、またDSDに関してもDSD2.8MHzまでのリアルタイムPCM変換再生に対応しています。

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こちらはいわゆる「専用機」であり、ヘッドホンアンプほどではないもののパワフルな処理系を持ち、やはりXPERIAとはまったく違う音楽体験をさせてくれます。特にZX1は2013年末にハイレゾウォークマンのフラグシップとして筐体から使用されるパーツにまでこだわり、従来のものとはまったく違うコンセプトのもと開発された最高のウォークマン “でした” 。

また、ハイレゾ対応に関して加えて説明させていただくと、SONYは昨年秋に新しい「ウォークマンAシリーズ」を発表しています。(過去記事

新しいウォークマンAシリーズはハイレゾ対応ウォークマンとして音質にもこだわっているにもかかわらず比較的安価であることや、小型軽量であることから高い評価を得ているモデルです。

筆者個人的にはハイレゾ音源を楽しむにおいて入門機としてオススメしたいところです。

PCでハイレゾ!

これまではXPERIAやウォークマンと言った “ポータブル環境でのハイレゾ” が中心でした。では、ここではどっしりと構えて、ハイレゾオーディオを楽しむための手がかりについてご紹介したいと思います。

キーワードは「PCオーディオ」です。それも最も簡単な手法として、すでに記事中でも登場済みの「ヘッドホンアンプ」を用いたハイレゾオーディオについて説明していきます。

形としては実は「スマホ+ポータブルヘッドホンアンプ」と変わりません。ストレージとして用意したPCにハイレゾ音源を準備しておき、接続された外部機器にPCのソフトから音源を出力、そして外部機器と接続されたヘッドホンで音楽を聴けばよいのです。ヘッドホンアンプのかわりに高出力なアンプ内蔵DACを接続すればスピーカを鳴らすことだって可能です。

筆者の場合、PCとしてVAIO Zを準備し、ヘッドホンアンプとして先ほどのPHA-1を接続、そしてヘッドホンで音楽を聴く、というシンプルな構成で現在は楽しんでいます。

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とはいっても、はやりこれだけで終わらないのが “オーディオ沼” の深いところ。

Z3+PHA-1の時にもお話したように、「いい音」を求めるためにはよりパワフルな専用の構成部分がほしいというのが本音。PCオーディオに関しても、筆者の環境ではPHA-1がDACとアンプを兼ねている状態ですが、本来ならばPCオーディオに関してもPCから出力されるデジタルデータをアナログデータに変換する専用のDACがほしいところです。簡単なところではDAC機能がついた「PHA-2」を購入してPHA-1と2段重ねをしてみるのも良いかもしれませんが、はたして・・・。

広がるハイレゾリューションオーディオの世界

色々と小難しい話を進めてしまったりして、かえってハイレゾへの敷居を高くしてしまったような気もしますが、音楽のハイレゾリューション化は確実に広まってきており、またハイレゾリューションオーディオ自体も身近なものになってきました。

スマートフォンで楽しむことができるようになった、と言うのはその最たる例かもしれません。オーディオというとお金がかかってオカルトじみた趣味のように捉えられる方もいらっしゃると思いますが、本当は簡単で、ただ本人の求める「いい音楽体験」を探しているだけなのです。

それが高級な機器を揃える結果となるのかもしれませんが、そこがゴールではなく、ただ純粋に「今までよりも生の音に近い音楽が体験できるようになった」と実際に体験していただければ、と思っています。それは、それこそスマートフォンでもウォークマンでも十分です。正直なところ、筆者自身音楽を経験しながらオーディオを趣味に持ち、実際に奏者が “見る” 「原音」と高級オーディオが目指す「原音」には少し違いがあるようにも感じているのです。

繰り返しになりますが、ハイレゾリューションオーディオの世界は広がってきています。そんな中で、オーディオ的音楽体験を通じてよりリアルで楽しいハイレゾリューションオーディオを見てもらいたいのです。

まずは、一歩から。この記事を通じてハイレゾに興味を持っていただけたら嬉しいです。

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