ソニー「SmartWatch3」レビュー ―スマートウォッチの今

米アップルが「Apple Watch」を発表してからしばらくが経ちました。今月10日には予約販売の受け付けが開始されたこともあり、 “スマートウォッチ” に対する消費者の関心は増すばかりのように感じます。

そんななか、ソニーでは昨年11月に同社が展開する「SmartWatchシリーズ」の最新モデルとなる「SmartWatch3」を国内販売を開始しました。

私自身、ソニーのスマートウォッチは「SmartWatch2」の頃から使用していたのですが、こうした時計型スマートデバイスの関心がピーク(?)に達しつつある今、改めてSmartWatch3のレビューを行いたいと思います。

SmartなWatch

SmartWatch3は今までのSmartWatchシリーズのようなソニー独自のOSを採用せず、米グーグルが掲げる新しいスマートウォッチ用OSである「Android Wear」を採用したモデルです。

Android Wearを採用したことによって、ソフトウェア的またはハードウェア的にも競合する他社製品と並んだスペックになりましたが、SmartWatch3の特徴として液晶に「半透過型液晶」を搭載していることがあげられます。これは、SmartWatch2にも搭載されてた種類のディスプレイであり、バックライトと外光を光源としてどちらも使用できるものです。

このためにソニーのSmartWatchでは直射日光下などの強い光の下でも原理的に液晶ディスプレイを確認することが可能であり、バッテリー持ちの面からバックライトをオフにして “時計として” 腕に巻いてある状態でも高い視認性を実現しています。

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春とはいえ強い宮崎の太陽光下でもハッキリとディスプレイを確認できる。

その他にも、SmartWatch3ではGPSを内蔵しており、ソニーの「ライフログ」アプリと連動して歩数や位置情報などの活動記録をとることが可能となっています。

では、実際にSmartWatch3でできることを紹介しましょう。

どんなことが出来る?

SmartWatch3は前述のとおり「Android Wear」を搭載したスマートウォッチです。そのため、基本となる「Android Wearアプリ」を別途Android端末にインストールしてペアリングさせておく必要があり、アプリのインストールなどもすべてペアリング先のスマートフォンで行います。

出来ること、といいますとアプリによって幅が出てきてしまうのですが、標準的な機能としてはスマートフォンの通知を受け取ることになります。メールやLINEの通知はもちろん、連携するツイッターなど他のアプリの通知も受け取ることが可能です。

通知はカード状のインターフェイスによって表示され、上下左右の簡単なスワイプによって内容を確認し、アーカイブしたり、または簡単な音声入力によって返信を行うことも可能です。これが意外と便利で、LINEなどに「わかった」と一言だけ添えて返信することが出来ます。

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電話の着信も受取可能。
左右のスワイプで「受け取り」「拒否」を選ぶことが出来る。

ほかにも、「Google Now」を用いたGoogle機能との連携はばっちりといったところで、Gmailの中から飛行機のフライト時間に関する内容や今夜宿泊する宿の情報などを引っ張ってきて表示してくれます。荷物の発送通知を表示してくれるのは結構助かります。

また、一日のうちに何度か現在地の天気情報も通知してくれます。このように、情報を先回りしながらスマートウォッチが考えて、簡潔に情報を表示してくれることには近未来感を感じざるをえません。

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基本的には「通知の受け取り」「使用者にとって必要そうな情報をあらかじめ表示」というのがAndroid WearであるSmartWatch3にできることです。もちろん、これらの他にもアプリを導入することで「SNSのタイムラインを閲覧」することが出来たり「スケジュールのチェック」、果てにはわりと手の込んだ「ゲーム」まで遊ぶことが出来ます。

リンクするスマートウォッチ

このように、SmartWatch3はあくまで “さりげなく” 情報を示してくれる端末でした。しかし、ここでスマートウォッチの目的を「スマートフォンを出さずに簡単な操作を行う」ということであるとするならば、少々それだけでは物足りなく感じます。

例えば、上で示したように電話の受け取りをSmartWatch3で行ったとしても、SmartWatch3単体では通話ができず、私の場合結局XPERIAをポケットから取り出さなくてはいけないのです。

そこで私はBluetoothヘッドセットにもなるウォークマン「NW-M505」を合わせて使用しています。これもまたスマートフォンとペアリングして使う機器であり、これならばそのまま通話が出来るだけでなく、音楽を聴くことも出来ます。

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ウォッチフェイス上に楽曲情報が表示され、
そのままスワイプすることで操作パネルを呼び出すことが出来る。

さらに、SmartWatch3側で選曲や音量調整を行うことも可能であり、ポケットに入れたままのXPERIAの音楽を楽しむことが出来るのです。

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ウェアラブル端末としてスマートウォッチの他にもメガネ型端末などが注目され続けていますが、スマートフォンを中心としたネットワークが形成され、そして広がることで、スマートフォンの楽しみ方はまた広がることと思います。

スマートフォンの高性能化はまだまだ続きそうですが、こういった周辺機器との連携もまたこれからのトレンドになっていくのかもしれません。

 “スマートウォッチ” である必要性

さて。ここまでSmartWatch3を中心としたスマートウォッチの使い方についてレビューしてきました。では、スマートウォッチでできることを踏まえた上で、私が感じた “スマートウォッチの必要性” と言うものについて少し触れておきたいと思います。

スマートウォッチは確かに通知を受け取ったりできることで「便利」ではあります。特に、わざわざスマートフォンを取り出さずとも片手でメールを処理したり、直近のスケジュールを確認できるということはまさにスマートウォッチならではの機能と言えるでしょう。

しかし、そうやって「これも出来る、あれも出来る」と用途を広げすぎると、ふとどこかで「あれ?どうしてスマートフォンだと簡単な作業をわざわざスマートウォッチでしているのだろう。」と感じることがあります。

スマートウォッチのハードウェア的な性能は、もちろん現行のスマートフォンに及ぶものではなく、また小さなディスプレイも決して作業効率がいいとはいえません。

これだけスマートウォッチについての関心が高まっている今、改めて「そのタスクはスマートウォッチでおこなう必要があるのか」ということを考え直してもいいでしょう。私自身SmartWatchを2世代使っていて、そのような葛藤に直面しました。「腕につけていても “困らない” 」、このラインを超えてしまうと、スマートウォッチはわずらわしいだけのものになってしまいます。

もちろん、選択肢としてアプリの開発が進むことを否定はしません。まだ黎明期にあるといえるスマートウォッチ市場は、端末の普及が消費者・開発者の間に広く進み、興味を持ってもらうことが出来なければ発展できないと感じます。そしてその上で、消費者が「スマートウォッチで何がしたいか」ということを選べばよいのですから。

求められる「スマート」の条件とは

では、用途はそれぞれのユーザで選択されるとして、スマートウォッチが “スマートである” ために必要なことはなんでしょうか。私が実際にSmartWatchを使用していて特に感じたことは次の2つです。

1つはやはりバッテリーの持ち具合です。

スマートウォッチは電子機器であり、バッテリーを使って駆動しているわけですが、このバッテリーが切れてしまうと何も出来ません。スマートフォンも同じですが、スマートウォッチでは本当に意味もなく腕に巻き付いているだけの “困る” 存在になってしまうのです。いざというときに時間を知ることさえも出来ず、バックの中に入れられてしまうようではスマートさのかけらもありません。

例にSmartWatch3を上げると、ソニーの発表では2日のバッテリー持ちとなっていますが、実際に使用しているとバッテリーの持ちはその半分程度のように感じます。特に、Googleマップと連動してナビゲーションをしてもらったり、1時間に複数回アプリを起動したりしていると、約18時間程しか持ちません。

毎日1回の充電が習慣となればそこまで問題はないのかもしれませんが、バッテリーの持ち具合についてはまだまだ課題があるように感じます。

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最近のバッテリーライフの例。
普通に使っていると1日半は持つ印象。(SmartWatch3)

そして2つ目は「スマートウォッチはスマートウォッチである」ということです。

伝統的な時計とはやはり区別されるべきものだと感じています。Moto360やLG G Watch Rのようにトラディショナルなデザインのスマートウォッチの人気が高いようですが、スマートウォッチは今までのような時計に “寄せていく” のではなく、スマートウォッチ独自の道を作っていくべきだと思います。

スマートウォッチにも幅があります。従来の時計に活動記録機能を搭載し、スマートフォンとの連携が可能になったものもあり、またそのようなスマートウォッチはバッテリー持ちも十分であることは知っています。

しかし、高性能なスマートウォッチとして求められることは、先に例をあげたようにより高度なスマートフォンとの連携です。そうなってくると、もうそこには「スマートウォッチならでは」の良さがいっぱいです。

私はスマートウォッチ市場が成長していく中で、機能的にはもちろんのこと、デザイン的にも “スマートウォッチとして” の良さで正々堂々と消費者にうったえていくことが出来る製品の登場を期待しているところです。

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