「Face ID」の認証精度やいかに ―仕組みと基準を探る

米アップルは12日(現地時間)、新型フラッグシップスマートフォン「iPhone X」を発表しましたが、同機種には新開発の3D顔認証システム「Face ID」が搭載されていました。

認証の仕組みは?

顔認証システム自体は、既に幾つかのスマートフォンやファブレットに実装されている一方で、写真や画像を用いることでシステムを “騙す” ことに成功した例なども報告されており、そのセキュリティ性に対しては懐疑的な声も聞かれます。

Face IDは、従来の指紋認証機能「Touch ID」を代替する生体認証機能ですが、同機能を他に類を見ないもの足らしめているのは、「TrueDepth」カメラと呼ばれる複数のセンサー類で構成された3D顔認証システム。

Face IDが顔認証を行う大まかな仕組みと手順としては、以下の通りになります。

  1. True Depthカメラに搭載された極小プロジェクターが、ユーザーの顔に3万個のドットを投射。
  2. 次いで、投射されたドットを赤外線カメラが読み取り、ユーザーの顔の構造情報を取得。そのデータを「Apple A11 Bionic」プロセッサに伝達。
  3. 受け渡されたデータを基に、A11 Bionicが数学的モデルを生成し、ニューラルネットワークで解析。
  4. 解析された結果と、あらかじめ端末に登録されていたユーザーの顔情報とが合致した場合のみ認証が成立。

認証精度は?

上記の手順で行われるFace IDによる顔認証は、誤認証を起こす確率(※公称値)はわずか “100万分の1(0.000001%)”。5万分の1(0.00002%)とされるTouch IDを遥かに凌ぐ認証精度を実現しているとのこと。

そして、Face IDは、赤外線カメラによって顔情報をスキャンしますが、「Flood Illuminator」と呼ばれる赤外線の投射装置のサポートにより、低照度環境下および暗所においても、精確な顔認証を実行可能にしています。

Face IDを「騙す」ことは可能か?

顔認証を含む生体認証システムへの最大の懸念の1つに、他人による「成りすまし」など、システムを欺こうとする “悪意” に対する防衛能力が挙げられます。

他人による不正な認証プロセスの突破を防ぐべく、Face IDには「Attention awareness」と呼ばれる機能が実装されました。

この機能は任意で無効化することもできますが、初期設定で有効化されており、“ユーザーがiPhone Xを直接目で見ている状態” でなければ、自動的に認証に失敗するようになります。

この新機能と3Dスキャンの組み合わせにより、端末所有者の顔画像や写真ではFace IDを突破不可能に。また、同様の理由により、端末所有者が就寝中あるいは失神中に顔認証を実行しても、認証は失敗に終わることになります。

さらには、米ハリウッドの超一流特殊メイク班の力を借りて、本人に瓜二つの非常に精巧なマスクを用いてFace IDに学習させた結果、本人とマスクとを正確に判別できるだけの識別能力を備えたとのこと。

ただし、生まれつき非常に似通った身体的特徴を持ち合わせている一卵性双生児が互いにFace IDを利用した場合、システムが誤って認証してしまう確率は、100万分の1を上回ってしまう模様です。

外見の変化にどこまで対応できるか?

アップルによると、Face IDは、帽子や眼鏡、サングラスやアクセサリー、あるいは髭や髪型などによる外見の変化にも対応可能とのこと。

また、髭や髪の毛については、経年による見た目の変化にも対応するとされています。

ただし、サングラスについては、あまりに暗い色のレンズであると赤外線が吸収されてしまうため認証に失敗する可能性があるほか、帽子やアクセサリーなどで一定以上の範囲が覆い隠されてしまった場合にも、やはり失敗する確率は上がる模様です。

基本的なセキュリティ対策は?

Touch IDにおいては、最大5つまで指紋情報を登録することが可能でしたが、Face IDに登録可能な顔情報は、最大1つまで(過去記事)。

また、Touch IDでは、連続して5回認証に失敗すると端末に緊急ロックが掛けられる仕組みでしたが、Face IDでは、連続して2回失敗した時点でロック状態へと移行します。

そのほか、Touch IDと同様に、Face IDに使用されるデータはすべて端末のローカル領域に暗号化して保存されるため、iCloudなどを介してオンライン上にユーザーのFace ID情報が流出することはありません。

Face IDの便利な機能

前述のAttention awareness機能により、Face IDは、ユーザーの視線が端末上に向いている時のみ、ロック画面上に通知やメッセ―ジを表示するほか、端末を見ている間はスリープモードに移行しなくなるとのこと。

さらに、ユーザーの視線を検知すると、アラームや着信音のボリュームが自動的に小さくなる機能も実装されました。

また、Touch IDと同じように手軽かつより安全に、「Apple Pay」による決済を可能にしています。

今後の展望は?

Face IDは “第1世代” の技術であり、その意味でまだ未完成であると言えますが、今回のアップルの気合いの入れようを見るに、今後ますます堅牢かつ信頼性の高いシステムへと進化を遂げることが期待されます。

また、将来的にはすべてのiOS端末に搭載されることとなりそうですが、一方で同社は、「ディスプレイ一体型指紋認証センサー」技術の開発にも注力していると報じられており、近いうちに “新生Touch ID” として指紋認証機能も復活を果たすことになるかもしれません。

いずれにせよ、Face IDが、既存の顔認証システムとは趣を異にした興味深い存在であることは間違いなさそうです。

[MacRumors]

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