ベトナムのセキュリティ企業Bkav Corporationは10日(現地時間)、3Dプリント技術を用いて独自に制作した顔マスクにより、「iPhone X」に搭載されている3D顔認証システム「Face ID」を突破することに成功したと発表しました。

今回Bkav Corporationが作成した顔マスク

米アップルの説明によると、Face IDには、ハリウッドの特殊技術の粋を集めて制作された顔マスクを用いて開発された認証アルゴリズムが採用されており(過去記事)、第三者が用意した顔マスクでは認証を突破できないとのことでしたが、既に複数の有志や企業によって、その主張が事実であったことが報告されていました。

しかしながら、Bkav Corporationによると、実際に顔マスクを用いてFace IDの認証を突破するためには、Face IDを裏で支えるAI(人工知能)による認証の仕組みを知り、それを迂回するための対策を顔マスクに施す必要があるとのことです。

今回、同社が製作した顔マスクは、3Dプリント技術により顔全体の骨格を制作した上で、鼻の部分にのみシリコン素材を用いたほか、両目の周囲と口元のそれぞれに精巧に印刷された目と眉、あるいは口元の画像を張り付けました。

同社は、顔マスクの半分を覆い隠した状態でもFace IDを突破できてしまったことも報告しており、Face IDに実装されている認証の仕組みは、世間で考えられているほど厳格ではないことに加え、アップルがAIによる判断に頼り過ぎていることを指摘しています。

実際に特製の顔マスクが「Face ID」を突破する様子を収めた映像

そして、Face IDを欺ける顔マスクの製作費用は、わずか150ドル(約1万7000円)以下とのこと。制作にあたっては、顔マスクを製作したい人の顔面の3Dデータが必要となりますが、「Xperia XZ1」シリーズに実装されている「3D Creator」のような機能を用いて取得したデータでも、Face IDを突破できる可能性がある模様です。

また、今回の報告の中では、現時点において最も ”安全” と思われる生体認証の方法は指紋認証であると述べており、政府や企業の要人などにおいては、「専門家が制作した顔マスクならば、Face IDを突破できる」という問題の存在と危険性を認識しておくことの重要性も指摘されました。

なお、早くも弱点が露呈する形となったFace IDですが、現行システムはまだ第1世代モデルであり、来年発売される新型iPhoneへの採用が期待されている第2世代モデルにおいては、諸々の弱点が克服されているものと予想されます。

[Bkav Corporation via Phone Arena]