これは凄い!透明・超軽量を両立したスーパーエアロゲル、京大研究者が開発

2014年12月12日 13:31 │Comments(10)

Written by くまむん

京都大学大学院理学研究科の早瀬元博士らはこのたび、上に置いた物体があたかも空中に浮遊しているかのように見える透明・超軽量なエアロゲル「BNF(ベーマイトナノファイバー)エアロゲル」を開発したと発表しました。この成果は、科学誌Chemistry of Materialsの最新号に掲載されています。

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エアロゲルとは?

エアロゲルは、均一かつ “スカスカ” な内部構造を持つ構造体です。非常に軽いスポンジのようなものをイメージすると、わかりやすいかもしれません。

1931年に米国の研究者Samuel Stephens Kistlerによって初めて作製されたのを皮切りに、今日に至るまでエアロゲル研究は継続的に行われており、シリカや金属酸化物、カーボン、木材セルロースなど幅広い素材をベースとしたエアロゲルが登場しています。

こうしたエアロゲルは、次世代の断熱材として注目されているほか、最近では宇宙塵補集器などにも使われているとのこと。しかし、ナノレベルでの構造制御の難しさや、材料の部分的凝集に起因する光散乱によって透明度が低下するなどの課題がつきまとい、軽量性と透明性を同時に実現することは至難の業となっています。

エアロゲルについてのより詳しい解説はこちら→ 軽量・透明・断熱!エアロゲルを身近に(Chem-Station)

驚異的な透明性

今回開発されたBNFエアロゲルですが、見た目の点でインパクトを感じるのは、なんといってもその透明性です。

以下の写真は早瀬博士からご提供頂いたものですが、ぱっと見ただけではどこにエアロゲルがあるのか判らないレベルです。

▼サンプル写真。どこにエアロゲルがあるか判りますか?

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文字通り「空気のような」軽さ

BNFエアロゲルの機能として、透明性と並んで特筆すべき点に、世界記録レベルの低密度を達成しているということがあります。

早瀬博士らは今回、直径3cm・高さ1cmの円筒形状で、1.2 mg/cm3にまで到達。歩留まりの高い作製プロセスでは4.5 mg/cm3という超低密度を安定して実現しているとのことです。

「密度の数値を示されてもピンと来ない」という方もいらっしゃるかと思いますが、JIS規格で規定されている発泡スチロールの密度が20~30mg/cm3ほど、と書けば凄さが伝わるでしょうか。

極めてシンプルなレシピ

これほどに高機能なエアロゲル、さぞや複雑なプロセスが必要なのかと思いきや、早瀬博士によると非常にシンプルなレシピで作製可能であるとのこと。

具体的には、「BNF分散液」と呼ばれるアルミナコロイド水溶液にヘキサメチレンテトラミンという物質をくわえて加熱・静置した後、洗浄、超臨界乾燥をするだけで完成するというから驚きです。

▼BNFナノファイバーの電子顕微鏡写真。個々の繊維の太さは数十ナノメートル。

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撥水材や耐熱材への応用も

超軽量と高い透明性を見事に同居させたBNFエアロゲルですが、様々な処理を行うことで、さらなる機能付加も可能になります。

このエアロゲル表面には、ナノファイバーによる細かい凹凸形状が存在しているため、フルオロアルキルシランで処理することで撥液性が向上し、最適な条件下では超撥水・超撥油性表面をもつ透明ゲルの作製に成功しているとのこと。

また、早瀬博士によると、BNFエアロゲルは焼結することで高い気孔率をもつアルミナ多孔体にすることも可能。α-アルミナの耐熱性を利用して、高温域での断熱材などの応用が考えられる、と語っています。

▼疎水処理を施したBNFエアロゲル。液滴を上下左右から観察できます。

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今後の展開に期待

今回の研究成果について早瀬博士は、応用にこだわらず究極的な材料を目指した結果であるとしており、「光学的特徴や表面を生かした応用を探りたいと考えている」と語っています。

これほどまでに多機能な材料となると、前述したような断熱材などの他にも、美術素材などの分野でも需要があるかもしれませんね。

ちなみに、早瀬博士は以前にも油と水を簡単に分離できる「マシュマロゲル」という材料も開発しています。こちらについても、非常に興味深い内容となっていますので、ぜひチェックしてみてください。

[Chemistry of Materials] [aerogel.jp]
©All images courtesy of Gen Hayase

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