運動によって骨格筋が刺激されると、鬱の原因物質が “解毒”される ―Cell

2014年10月2日 15:36 │Comments(27)

Written by くまむん

トレーニングによって鍛えられた筋肉には、うつ病などの精神疾患の原因物質を「解毒」する機能があるとする研究結果が、スウェーデン・カロリンスカ研究所から発表されました。この成果は、科学誌Cellに掲載されています。

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鬱の原因?キヌレニン

肉や魚、豆製品に豊富に含まれる必須アミノ酸の一つ「トリプトファン」は、体内で代謝される過程で「キヌレニン」というアミノ酸へと変化します。

実はこのキヌレニン、うつ病や統合失調症などを患っている人では体内量が著しく増加することから、様々な精神疾患に関与しているものと考えられていいます。

神経系へのキヌレニンの生理メカニズムについては、未だにはっきりとは解明されていないのですが、近年ではこの物質をコントロールすることでメンタルヘルスを向上させようとする研究も行われています。

運動によって分解酵素が生成

今回研究グループは、運動にともなう骨格筋への刺激によって筋肉中に発生する「PGC-1a1」というタンパク質から、キヌレニンを分解する酵素「キヌレニンアミノトランスフェラーゼ(KAT)」が誘導されることを発見します。

この知見をもとに、遺伝子操作によって運動をしなくともPGC-1a1を生産するようにしたマウスで実験を行ったところ、筋肉中のKAT濃度が増加。また、自然状態のマウスにキヌレニンを投与すると鬱的な症状を示すことが知られていますが、PGC-1a1産生マウスではそうした振る舞いは見せなかったとのことです。

論文ではこうした効果について、キヌレニンが脳へ到達する前にKATによって無害なキヌレン酸へと変化されてしまうためではないか、としています。

こうした結果について、研究を主導したカロリンスカ研究所のJorge Ruas氏は「我々は当初、筋肉を鍛えることで脳に有益な物質が産生されるものと考えていたが、結果は逆だった。鍛えられた筋肉は、体にとって有害な物質を解毒(purge)する酵素を作っていたのだ。これはつまり、筋肉が腎臓や肝臓と似たような機能を備えているということだ。」と語っています。

 

ストレスを原因とする心因性の疾患に運動療法が効果的であることはかなり以前から知られていましたが、具体的にどのようなメカニズムに基づいてそのような効果が得られるのかといったことについては、これまであまり知られていませんでした。

今後さらに研究が進んでゆけば、そのうちに「メンタル向上に聞くエクササイズ」みたいなものも登場してくるかもしれませんね。

[Cell via Sciencedaily] [Medicaldaily]

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