長年にわたって謎だったヤカンの「ピー音」、そのメカニズムがついに解明される

2013年10月24日 18:32 │Comments(79)

Written by くまむん

英ケンブリッジ大学のRoss Henrywood氏とAnurag Agarwal氏はこのたび、長年にわたって謎とされてきたヤカンの「ピー音」が鳴る仕組みを解明しました。この成果は、専門誌 “Physics of Fluids” に掲載されています。

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ヤカンに水を入れて沸騰させると、吹き出し口のところから「ピーッ!」という音が鳴ります。これは、沸騰によって内部の圧力が上昇し、ヤカンの口から高速の空気が流れ出ること生じる現象なのですが、この音の正体がどういったものなのかという事については、長年にわたって未解明のままでした。

例えば、(行儀が悪いですが)ハシで茶碗を叩くと、茶碗に微小な振動が生じて音が鳴ります。また、ギターの場合では、演奏者がピックや指で弦を弾いて振動させることで、ああいった音楽を奏でることが可能になっています。これら茶碗やギターのように、音が生じている所には何かしらの「原因」が存在しているのですが、ヤカンの場合はそれがどのようなものなのか、どういったメカニズムでああいう音が鳴っているのかが判っていなかったのです。

今回Henrywood氏らは、送気管と円形の金属プレートを用いてヤカン内部を模した構造を作製。これを利用して、空気の流速と発生する音の周波数との相関などを調べました。

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実験で使用された、長さの異なる円柱が取り付けられた円形プレート。
内部を通る空気の流速と円柱の長さによって、異なる周波数の音が鳴る。

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実験系のセットアップ。パイプ内部と吹き出し口の外側で音を測定・解析している。

その結果、沸騰が始まったばかりの蒸気の速度が小さい時には、注ぎ口内部で起こる空気の振動によって音が発生することが判明。これに対して、沸騰が進んで蒸気速度が一定速度を超えると、吹き出し口の外側で小さなジェットの渦が形成され、これによって音が鳴っていることが明らかになったとのことです。

ただし、Henrywood氏によると、実際のヤカンは注ぎ口のカーブや吹出し口の形状が様々なので、中にはこれら2つの現象が同時に起こる場合も有り得るとのことです。 

<ワンポイント>
ここで述べた沸騰初期に音が鳴る原理はヘルムホルツ共鳴といって、ペットボトルの口の部分に息を吹きかけて音を鳴らすのと同様の現象です。

kettle-boiling-01

結果を表す模式図。圧力上昇にともなって蒸気の噴出速度が
一定以上になると、微小なジェットの渦が発生する。

コーヒーを入れたりお茶を入れたりするために毎日使っているヤカンですが、こんな身近にある、何気ない現象が長年にわたって科学者の頭を悩ませていたのかと思うと、何か意外な感じがしますね。

[mailonline] [University of Cambridge]
[The aeroacoustics of a steam kettle(Physics of Fluids)]

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