29日(現地時間)、記念すべき10回目の開催となるAll Things Digitalカンファレンス「D10」の檀上で、アップルのティム・クックCEOは「注目すべきアップルの道筋」を複数明らかにしました。この件について記事を分けて連続投稿いたします。
「D10」のオープニングスピーカーとして登場したのはティム・クックCEO。スティーブ・ジョブズ氏の後を引き継いで手腕を発揮し、2012年4月には時価総額 約48兆円の世界一企業に導きました。名実ともにD10のオープニングに相応しい人物といえるでしょう。
このセッション中、ホスト役(聞き手)のウォルター・モスバーグ氏、カーラ・スウィッシャー氏からWWDC 2012の内容について質問されたところ、質問については “うまく避けた” クックCEOですが、「いくつかの信じられないようなものを発表する。きっと気に入るでしょう。」と述べました。
注目すべき点は2つです。まず1つは「信じられないもの」を発表するという点です。ニュアンス的には「現実寄りの信じられないもの」ですので、人類史上誰も見たことのないようなものでは無いと推測するのが正しいかと思います。とはいえ「iOS 6」や「新型iPod touch」程度ではやや大げさな言い回しのような気がしますので “秘密の何か” が存在するのかもしれません。
2つ目は「複数発表する」という点です。仮に「iOS 6」を “信じられないもの” の1つにカウントしたとしても、その他にもキーとなる新要素が発表されるようです。
■以下余談
All Things Digitalカンファレンスは、ダウ・ジョーンズ傘下のハイテク、メディアを専門に扱うウェブサイト「All Things D」が毎年行っているイベント(会議)であり、第10回目の開催となる「D10」にティム・クックCEOが登場することは非常に感慨深いものです。
というのも、2007年に行われた「D5」ではビル・ゲイツ氏とスティーブ・ジョブズ氏の歴史的対談が実現しており、赤いチェアーに座る二人の動画・写真が記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。
スティーブ・ジョブズがこの世を去って All Things Digitalカンファレンスに登場することは二度とありませんが、2012年の赤いチェアーにはティム・クックの姿がありました。そして、オープニングスピーカーを飾るということは着実に世代交代が進んだことを象徴しており、華々しい成功を意味していると捉えても良いのです。
「D10」のスピーカーはそうそうたるもので、現ニューヨーク市長・ブルームバーグでおなじみの「マイケル・ブルームバーグ」、スタンフォード大学学長・MIPSでおなじみの「ジョン・ヘネシー」、ピクサーアニメーションスタジオの「エド・キャットムル」、オラクルの「ラリー・エリソン」、元シスコ上級副社長・現スカイプCEO「トニー・ベイツ」、Spotifyの「ダニエル・エック」と、これだけでも眩暈がしそうなメンバーですが、他にも多数の方がいます。
わずか10回ほどの開催で権威を得ている「D10」ですが、ウェブサイト「All Things D」と並んで、ハイテク業界が持つ「フランクさ」とダウ・ジョーンズが持つ「権威」のバランスが取れているメディアであると言えます。乱雑ながら端的に捉えてしまうと、WIREDが「ヒトとテクノロジー」とすれば、All Things Dは「ビジネスとテクノロジー」といったところでしょうか。
コンピュータが一般家庭に広まり始めてからまもなく30年。そこにはすでに歴史が存在し、世代交代の第一期が始まっています。そして、それを捉え続けるメディア。人々はどのような未来を創り、メディアはどのように伝えていくのでしょうか。
アップル新製品も気になるところですが、クックCEOへのインタビューを見て余計なことを考えてしまいました。
ハイテクというキーで繋がった1つのネットワーク。今言える確かなことがあるとすれば、これからも面白いものを人々に提供し、歴史を紡いでいくであろうということは間違いないようです。
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