KDDIは24日、東京の恵比寿ガーデンプレイスにてHTC製スマートフォン「INFOBAR A02」の発表会を行いました。

INFOBAR A02は、これまでauデザインプロジェクトのシリーズモデルとして発売してきたINFOBARシリーズの最新作です。スマートフォンとしてはこれが3代目。3つのハードウェアキーによってデザインアクセントを設けたINFOBAR A01、さらにテンキーを備えフィーチャーフォンと同等の使い勝手を追求したINFOBAR C01に続き、今回は前面のハードキーを排除し、よりスマートフォンらしいフォルムとさらに洗練され進化した独自UI「iida UI 2.0」を搭載して登場しました。

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INFOBAR A02のコンセプトは「新しい選択肢を」。発表会冒頭で登壇した田中社長は「スマートフォンが人々に浸透し数え切れないほどの端末が発売される中で、敢えて『この端末が欲しい』と “選ばれる” ために必要な要素を詰め込んだ」と述べ、INFOBAR A02に大きな期待を寄せていました。

詳細な端末スペックなどはこちらの記事を参照していただくとして、INFOBAR A02の最大の売りはやはりiida UI 2.0。INFOBAR A01より採用されてきたiida UIを根本から見直し、単なる見た目の美しいホームUIという概念から、各種アプリや音楽、動画、ウェブサービスなどへダイレクトにアクセスする動的なユーザーインターフェイスへと大きく進化しています。

まず目に付くのは “動かして楽しい” ゼリー状に伸び縮みするアイコン。静止状態での見た目はこれまでのiida UIとほとんど変わりがありませんが、一旦スクロールさせ始めるとそのアイコン形状が有機的に変化し、まるでゼリーやスライムのように伸縮します。触った瞬間に楽しさや新しさを実感するには十分過ぎるほどのインパクトです。ただ、その劇的過ぎる動きに “酔う” 人もいるという配慮から、設定によって従来通りのソリッドなスクロールに戻すことも可能。こういった細かな仕様にもこだわりが感じられます。

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iida UI 2.0では各アプリの画面へ遷移することなくアイコンから直接各種機能を利用できるのも大きな特徴。例えば写真などを貼り付ける場合にはフォルダやFlickrなどのウェブサービスを指定することでスライドショー的に扱うことができ、画面が切り替わるたびに映し出される写真が変化します。また音楽ファイルをアイコン化しておけば、アイコンだけで音楽の再生が可能です。

その他にも、Twitterのアイコンではタイムラインをそのまま表示したり、Facebookのアイコンでは「いいね」ボタンを押したりすることも可能。アイコンサイズの変更や移動、その他細かな設定なども自由自在に行えるなど、ユーザーによるアクセス性の高さはかなりのもの。まさに「自分好みにカスタマイズして楽しむ」ためにあるユーザーインターフェイスだと言えます。

ハードウェアの面でも大きく進化しました。ディスプレイには4.7インチ・HD(1280×720ドット)液晶を採用し、より細やかで美しい表現が可能に。最近では5インチ・フルHD(1920×1080ドット)の画面を持つ端末がかなり増えてきましたが、実際に使用した際に画質面で劣る印象を与えるようなことはほぼありません。

むしろ表示サイズをHDに抑えたことで処理能力に余裕が生まれ、パワフルなクアッドコアCPUの実装とあいまって実に軽快でストレスのない滑らかな画面遷移や表示を可能にしています。RAM容量が1GBと少なめになっている点についてはディスプレイ解像度との兼ね合いから1GBでも十分に滑らかで快適な動作ができると判断した上での実装とのことで、実際に操作していてもメモリ不足を感じるような場面はほぼありませんでした。

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アンテナの実装などにも工夫がなされており、これまでINFOBAR A01およびC01でワンセグを視聴するにはテレビアンテナを兼用したmicroUSB⇔3.5mmイヤホンジャック変換ケーブルを使用しなければいけませんでしたが、INFOBAR A02では本体フレームをアルミ素材とし、これをアンテナとして利用することでこの問題を解消。ワンセグアンテナをフレームに内蔵することで、一見アンテナのないワンセグ視聴を可能にしました。

デザイン面では従来通り、プロダクトデザイナーに深澤直人氏を起用。深澤氏は今回のINFOBAR A02の開発にあたり、ハードウェアとソフトウェアを一体化して製作することに注力したと言います。

INFOBARシリーズに限らず、これまでの携帯電話はハードウェアとソフトウェアが別々に作られ、いわば “最中(もなか)” のような製品であったと解釈。それに対しINFOBAR A02ではハードウェアとソフトウェアに連続した一体性を持たせたと述べ、これを最中に対して1つの塊である ”羊羹(ようかん)” と表現しました。

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ユーザーインターフェイスへのこだわりは視覚表現だけではなく音楽にも。INFOBAR A02で使用される効果音や各種サウンドのデザインはコーネリアスの小山田圭吾氏が担当。アイコンの移動を行うだけでも美しい音色が響き、まるで音楽を奏でているような気分に。触るだけで気持ちがいい端末というコンセプトが見事に活きています。

再びデザイン面に話を戻すと、本体のデザインがこれまでのシリーズに比べて非常にシンプルになっていることに気が付きます。ハードウェアキーを極力排除したために特徴であったトリコロール配色などが影を潜めましたが、ここは電源キーとボリューム調節キー、さらにファンクションキーによってそのコンセプトを継承。それ以外の部分は極力シンプルにデザインし、その代わり豊富に用意されたデザイナーコラボカバーなどによってユーザーの個性を出してもらおうというのが今回のコンセプトのようです。

デザイナーコラボカバーには深澤直人氏自らが手掛けたオリジナルカバーをはじめ、デザインスタジオ「Kapitza(カピッツァ)」やデザインメーカー「Airside Nippon(エアサイド日本)」による可愛らしいデザインのものが多数ラインナップ。カバーによって日替わりでもデザインを変えられるというコンセプトは、端末コンセプトの通りユーザーに幅広い選択しを与えると共に、INFOBARという携帯電話としては非常に歴史の長いブランドに植え付けられた既成概念を取り払う意味も強くあるように思われます。

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INFOBAR A02は、ハードウェアの進化に加えてソフトウェアの進化の集大成でもあります。ユーザーにとって本当に使いやすいインターフェイスとは何か、ユーザーが便利に使えるスマートフォンとは何か。この端末を手にしてiida UI 2.0を操作していると、そういった製作者側からのユーザーへの問いかけやその回答のようなものを感じます。

昨今のハイエンド端末と性能のみを比較してしまえば見劣りする部分はありますが、むしろ筆者は感覚に訴える部分での快適さを指摘したいと思います。ただそれだけに、横幅70mmと若干大柄になったボディサイズが快適さを損なう理由にならないかが非常に気になりました。この端末にさらにカバーを取り付け、着せ替えを楽しみながら使ってもらうことを前提とするなら、画面サイズをわずかに小さくしてでも、横幅65mm前後に抑えた方がコンセプトに合っていたように思われます。

INFOBAR A02の発売は2月中旬以降を予定。auは2013年の春端末としてこの1機種のみをラインナップしてきましたが、1機種に絞るだけの自信のようなものを感じた発表会でした。店頭でこの端末を手にし、UIを操作した瞬間の消費者の驚きや感動がどの程度のものなのか、そしてその感動が購買意欲にどこまで繋がるのか、今から楽しみです。