ガジェット速報の読者の中には、旅行が好きな方もいらっしゃると思う。隣国の韓国へは多くの航空会社が日本と韓国との便を就航しており、気軽に行くには最適な国だ。私は、韓国でモバイルインターネットの接続環境の確保をしたかったが、韓国では外国人が現地キャリアのSIMカードを入手することが困難であるため、日本で予めモバイルWi-Fiルーターのレンタルをした。
そこで、ソウルで使ったモバイルWi-Fiルーターの使い勝手や、レンタルする際の手間などをレビューする。
大手業者2社からモバイルWi-Fiルーターをレンタル
海外渡航者向けに、海外で利用できるモバイルWi-Fiルーターを提供している業者は主に3つある。イモトアヤコさんの広告でお馴染みの「イモトのWiFi」(エクスグローバル社)、テレコムスクエア社の「Wi-Ho」、株式会社ビジョンの提供する「GLOBAL WiFI」だ。
各社とも、韓国で利用する際の料金は1日700円台。しかしながら、利用する現地のキャリアが異なる。イモトのWiFiは、SK TelecomまたはKTが提供するWibro(韓国版WiMAX)。Wi-HoもKTのWibro。GLOBAL WiFIは、LG U+の提供するLTEを利用している。
現在のところ、大手3社は、モバイルWi-Fiルーターのレンタルの手順などはほとんど変わらず、違いは、現地の利用しているキャリアが異なる点のみ。
今回、WibroとLTEの実力を確かめるため、イモトのWiFiとGLOBAL WiFiの2機種をレンタルした。
レンタルは羽田空港にて
「JAL ABC」カウンターは、意外とわかりやすいところにある。
レンタルしたWi-Fiは2社とも羽田空港で受け取ることにした。ちなみに、他の受け取り方法としては、出発前日に宅配便で受け取るという方法があったが、出発前日は多忙だったので、今回は2社ともに羽田空港の受け取りを選択した。
イモトのWiFiは、羽田空港・国際線ターミナルの3階・出発ロビーにある「JAL ABC」のカウンター(写真)にて、GLOBAL WiFiは同じく3階にあるソフトバンクのカウンターにて受け取った。
ケースにまとまっているため、旅行中の輸送も手荷物なら安心だ。
受け取りには時間がかからず、各社とも自分の名前と渡航先を言えば写真のようなケースを渡されてスムーズに受け取ることができた。
中身は、モバイルWi-Fiルーター本体・ACアダプター・取扱説明書。事前に充電用のmicroUSBケーブルなど用意する必要もなく、非常に便利だ。
現地に到着したら、モバイルWi-FiルーターをONにするだけで使える
現地に到着したらモバイルWi-Fiルーターの電源をオンにし、各社ともモバイルWi-Fiルーターに貼り付けてあるキーをスマートフォンに入力すれば簡単にインターネットに接続できる。
ちなみに、今回借りたモバイルWi-Fiルーターの現地回線業者は、イモトのWiFiがKT(WiBro)、GLOBAL WiFIがLG U+(LTE)だった。前述した通り、イモトのWiFiではSK TelecomとKTのどちらかのWibroだが、今回はKTであった。
ソウルでのWiBroとLTEの実力はどの程度か?
ソウルでのWiBroとLTEでの実力を確かめるため、ソウル市内の各所・各時間帯にスピードテストを行った。条件は以下の通り。
- MacBook Air(mid 2011)にそれぞれのモバイルWi-Fiルーターに直接接続
- Speedtest.netにアクセスし、ソウルにあるサーバを選択
- スピードテストを数回実施し、それぞれの平均値を取る
LG U + (GLOBAL WiFI)
場所 | 計測時間帯 | 下り | 上り | Ping |
江南 | 12時 | 8.55Mbps | 11.90Mbps | 51.3ms |
江東 | 18時 | 2.21Mbps | 8.85Mbps | 48ms |
江東 | 0時 | 18.05Mbps | 13.24Mbps | 50.6ms |
江東 | 7時 | 2.58Mbps | 14.06Mbps | 48.7ms |
南大門市場 | 12時 | 1.85Mbps | 11.90Mbps | 55.3ms |
金浦空港 | 18時 | 1.68Mbps | 9.59Mbps | 58ms |
KT(イモトのWiFi)
場所 | 計測時間帯 | 下り | 上り | Ping |
江南 | 12時 | 3.13Mbps | 2.41Mbps | 92ms |
江東 | 18時 | 4.16Mbps | 2.12Mbps | 69ms |
江東 | 0時 | 3.12Mbps | 2.50Mbps | 68ms |
江東 | 7時 | 5.76Mbps | 2.61Mbps | 62.3ms |
南大門市場 | 12時 | 2.09Mbps | 0.25Mbps | 117.7ms |
金浦空港 | 18時 | 6.42Mbps | 2.29Mbps | 70.3ms |
結果から
結果としては、数値が安定しているのは「イモトのWiFi」。上りの速度が圧倒的に速い一方で、下りの速度があまり出ない「GLOBAL WiFi」という結果になった。
ちなみに、リモートホスト名やIPアドレスで確認すると、イモトのWiFiとGLOBAL WiFiはそれぞれ現地キャリア回線をそのまま使っている。そのため、「LG U+のLTE回線では利用者が多い時間帯には速度制限を行う」のか、また、下りの速度をあえて落とし、上りの速度を上げているのかと考えられる。
また、KTのWiBro回線は下りと上りの速度が対称に近く、速度が安定していてブレのない数値と言える。「イモトのWiFi」の公式ページを見るとWiBroの規格速度が最大で下り33.0Mbpsとのことなので、十分に納得できる速度である。
最後に、両社ともSpeedtest.netのサーバーまでのバックボーンの混雑が少ないのか、LTEとWiBro(韓国版WiMAX)のRTTの規格上の低さを実現しているのは素晴らしい。
料金面ではどうか?
料金面では、両社とも1日のデータ通信料は1日700円でほとんど変わらず。しかし、イモトのWiFiでは羽田空港などの空港カウンターでの受け取りと宅配便での受け取りの両方に525円の「受け取り手数料」が課される。空港での返却では手数料は不要だ。また、GLOBAL WiFiでは宅配便での受け取りは手数料は不要で、空港(成田空港を除く)での受け取り・返却の際に525円の手数料をそれぞれ課される。
それぞれ両社とも、旅行会社から送られてくる専用のリーフレットまたは、キャンペーンコードからキャンペーンを利用すれば、データ通信の利用料金の割引や、受け取り・返却の手数料などが無料になる場合もある。
最後に
イモトのWiFiとGLOBAL WiFiのいずれも、屋内や地下街、地下鉄の駅や走行中の車内でも、全く電波が途切れることなくインターネットを利用できた。ソウルではLTEやWiBroの基地局があちこちに整備されているので、WAN側の電波を気にすることもなく、最高のモバイルインターネット環境を味わえた。
日本の携帯キャリアのローミングサービスでは、1日最高2980円のパケット通信料がかかってしまうが、モバイルWi-Fiルーターを日本で事前にレンタルする場合には1日700円程度。モバイルインターネット環境を必要な際にはモバイルWi-Fiルーターのレンタルを検討するのが妥当であると思われる。
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