米イリノイ大学の研究グループは16日(現地時間)、従来の30分の1のサイズで30倍の出力を実現した、次世代バッテリーを開発したと発表しました。充電も従来より1000倍高速におこなえ、商用化が実現すればあらゆる電子機器に革命が起きるとしています。

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開発の中心になったのは機械科学と工学の教授を務めるWilliam P. King氏で、これまでで最も強力なマイクロバッテリーの開発に成功したとのことです。

一般にバッテリーは、高出力と高エネルギーを両立するのは難しいといわれています。大きな電力が必要なデバイスを使うためには、高出力で電気を供給しなければなりません。高出力で電気を供給すれば当然エネルギー消費も激しく、電力源がバッテリーであればそのバッテリーはすぐに空になってしまいます。

例えば、乾電池を複数と豆電球を準備したとします。乾電池を直列に接続し、豆電球につなぐと、全体の出力は大きくなり、豆電球は強く光ります。しかし、その分乾電池の容量は激しく減り、すぐに空になってしまします。これが、高出力高消費電力の状態です。では、乾電池を並列に接続するとどうなるでしょうか。豆電球は直列の時より弱く光りますが、乾電池は長く維持することができます。これが低出力低消費電力の状態です。

ここで問題になるのは、電子機器を使う時に必要な出力が機能によって異なる場合です。スマートフォンで例えると、動画を見る場合とメールを見る場合では消費電力が異なりますが、それぞれに適したバッテリーの出力の調整ができれば、全体の消費電力は抑えることができ、バッテリーをもたせることができます。

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今回の技術は、バッテリーの内部を3次元微細構造にして、出力を広範囲で調整可能にしたものです。つまり、乾電池の直列並列を自在に変更できるようになった、というのに似ています。バッテリーの容量自体も増加しており、その結果、バッテリーはこれまでの30倍の出力が可能であると同時に、30倍小さくすることも可能になりました。また、微細構造であるため、1000倍の速さで充電することも可能になりました(小さいバッテリーがたくさんつまっていて、同時にそれを充電するイメージ)。

King氏は、「このバッテリーは、これまで考えられてきたよりもはるかに多くの電力を提供することができる。ここ数十年コンピュータパーツは小さくなっていったが、バッテリーはるかに遅れていた。今回の技術でこの状況を変えることができる」と述べており、電子機器の薄型化や小型化で最も懸念となっていたバッテリーの問題が解決できるとしています。

未来予想として、紙のように丸められるテレビなどが良く知られていますが、そのような製品の実現にはバッテリー技術の改善が必須でした。今回の技術革新により、あらゆる電子機器がこれまでとは比較にならないほど薄型化、軽量化される可能性があります。

商用化に関しての言及はありませんが、実現すれば身の回りのものが大きく変わるかもしれません。今後の動向に注目が集まります。

[イリノイ大学 via BGR / EXTREME TECH]