クラリオンは5日、一般住宅向けの埋め込み型フルデジタルスピーカー「ZF160」を発表しました。ZF160は同社のデジタルスピーカーシリーズ「01DRIVE」の第3弾商品となります。価格は6万3000円(施工工賃別)。ハウスメーカーや住宅設備機器メーカー等を通じ、4月上旬から順次発売する予定です。
ZF160の最大の特徴は、音声信号の入力からスピーカーへの出力まで、全てデジタル信号のまま取り扱う点です。従来のデジタルアンプの場合、入力信号がデジタルであってもスピーカーを振動させる時点で信号をアナログに変換する必要がありますが、ZF160に搭載された01DRIVEの駆動方式では、入力されたデジタル信号をそのまま256倍のオーバーサンプリングとデジタル変調を行い、複数のデジタル信号に変換してマルチD-Classドライバーから出力することで、デジタル信号のままスピーカー出力することに成功しています。
この方式のメリットは音質劣化が原理的に起こらないという点以外にも、スピーカーを常に最大出力で駆動させる必要がなく、必要に応じて複数のドライバを駆動させる方式であるため、消費電力を大幅に抑えられるというメリットがあります。例えるならマルチコアのCPUを必要に応じて駆動させているような形です。
この省電力性により、音楽再生時でも従来の同サイズのスピーカーの1/8~1/10程度の出力である3~5W程度で済み、1ヶ月間駆動させ続けたとしても電気代は数十円にしかならないとのことです。
ZF160のスピーカーユニットは1つですが、内部に160mmの6ボイスコイルウーハー1基と25mmバランスドームツィーター2基を内蔵しており、スピーカーユニット1つでステレオ出力を可能としています。また本体の厚みを80mmに抑えることで、天井裏のスペースが狭い場合でも設置が容易になっています。
またスピーカーユニットは防水・防カビ仕様となっており、バスルームやキッチンなどへの設置にも対応。Bluetoothにも対応しているのでスマートフォンや携帯型ミュージックプレイヤーなどからの音声出力が行えます(マイク機能はありません)。
その他の仕様の詳細は以下の通りです。
型番 | ZF160 |
入力 | Bluetooth Ver2.1+EDR |
対応プロファイル | A2DP |
登録デバイス数 | 最大7台 |
スピーカーユニット径 | 160mm 6ボイスコイルウーハー×1 25mm バランスドームツィーター×2 |
実行最大出力 | 総合4.5W |
電源 | 100V入力 |
2ユニット接続時 | 100V出力(リモコン連動動作対応) 同軸デジタル出力(RCA) |
消費電力 | 8W=1kHz、1W出力時 (最大定格 16W、スタンバイ時 2W) |
駆動回路外形寸法 | 217(W)×105(D)×34(H)mm |
環境性能 | 気密性 A3等級適合、浴室設置対応 防カビ処理(バッフル及びグリル) |
重量 | スピーカーユニット 1150g 駆動ユニット 350g |
付属品 | リモコン (電源ON/OFF、ペアリング操作可能) (未防滴仕様) |
01DRIVEシリーズのスピーカーはその高い省電力性からカーオーディオ向けのシリーズとして作られてきたもので、電圧変化に対する高い耐性や省電力性能からくる低発熱なども車載用途に非常に向いていましたが、クラリオンは現在この技術をポータブルスピーカーやZF160のような家庭用スピーカーの分野に広げようとしています。
デジタル信号のオーバーサンプリングやデジタル変調などの技術には法政大学が関与しており、トライジェンス・セミコンダクターというベンチャー企業の「Dnote」という技術が採用されています。
フルデジタルスピーカーの技術はまだまだ発展途上であり、その音質についても『原音を忠実に再現できる』としながらも、まだ十分な評価を得るまでには至っていません。音源ライブラリがデジタル化されPCなどで管理することが当たり前となっているこの時代だけに、デジタルソースをそのまま扱えるフルデジタルスピーカーの今後の発展には大きな期待が掛かります。
[クラリオン]
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