ついにこの時が来てしまったのかもしれません…
EMSOneは10日、香港の日刊紙「星島日報」による報道として、台湾HTCが中国レノボに出資受け入れや身売りで交渉中であると伝えています。早ければ来年2014年上半期中にも調印が交わされる見通しであるとしており、HTC経営不振の行きつく先が見えてきた状況になります。
同社は今年8月、浮上した身売り説に対し “即座に完全否定” していますが(過去記事)、今回報道されたことが事実であれば、早くも覆されることになります。
HTCは、米アップルや韓国サムスンとの競争で9四半期(2年3ヶ月)連続で売上高が減少しています。2013年第3四半期(7月~9月)では初の純損失を計上し、より厳しい状況に追いつめられています。
また、その混迷具合を見て取れるのは数字だけではありません。9月に中国各メディアから報じられたところによると、「産業スパイ」として同社の幹部らが相次いで逮捕されました。間もなく発表される見通しの「HTC One MAX」や独自UI「Sense UI 6.0」に関する技術を中国企業に流出させたほか、着服も行っていたと伝えられています。これが経営不振に対する不安感から行われたことなのかは不明ですが、同社にとって大打撃になったことは間違いありません。
「将来が危ぶまれる企業からは、優秀な人材から消えてゆく」と言われることがありますが、HTCもそれに当てはまってしまった企業の一つとなりそうです。5月にはHTC AsiaのCEOを務めたLennard Hoornik氏や最高製品責任者を務めた小寺康司氏のほか、製品戦略を担当していたEric Lin氏などが退職。Eric氏は自身のツイッターで「HTCに残るすべての友人たちへ。直ちにそこを離れるんだ。あいにくのことではあるが、その方が幸せになれると誓って言う。」とまで述べており、企業内部が相当まずい状況になっていることが想像できます。
To all my friends still at @HTC – just quit. leave now. it’s tough to do, but you’ll be so much happier, I swear.
— eric L (@ericlin) May 20, 2013
かつてはGoogle純正ブランドのAndroid端末「Nexusシリーズ」の足掛かりとして、Nexus Oneを製造していたHTC。その後も独自UIや製品の作りこみで定評を得ており、日本でも「HTC Desire HD」や「HTC J butterfly」を初めとして、一定の人気を博しました。
そんな同社が “身売り” ということになれば、時代の移り変わりは早いものだなあと感じざるを得ません。スマートフォン登場による国産端末の不振が記憶に新しい(継続中?)ですが、同市場は早くも次の段階へ移行しようとしています。情報伝達や技術革新が過去とは比較にならないほど速い現代では、一瞬の油断が命取りになるという例を、HTCは示してくれたのかもしれません。
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