こんにちは、(自称)新しい物好きのYusterです。前回はiPhone 4sをiOS 7にアップグレードする様子をお伝えいたしましたが、今回は手持ちのラップトップをWindows 8.1に即日アップグレードしましたので、その様子をご紹介いたします。
Windows 8.1は10月18日に全世界で提供開始されたWindowsの最新バージョンで、Windows 8ユーザーには日本時間17日20時からWindows ストアを通じて順次アップデートが無料で提供されています。その他のユーザーは13800円(Proは25800円・定価)で購入する必要があります。
結論から申し上げますと、Windows 8ユーザーは「アプデ推奨」と断言できます。また、購入を検討しているがタッチ操作は嫌だという方も、Windows 8.1はマウス操作でもより使いやすい設計になっているため安心して使えるOSになっています。
強く推奨!!インストール前にはドライバのアップデートを
Windows 8.1は従来のService Packに相当する位置づけとなっていますが、比較的機能の追加や構造の変化が大きく、新たなメジャーOSに近い部分もあります。よって、PCメーカーや部品メーカーのサポートサイトで事前にドライバが最新であることを確認する作業が非常に重要になります。
今回、私はインテル製Wi-Fiモジュールのドライバが最新で無かったために、OS更新後にインターネット接続に失敗したり度々途切れたりと、非常に困ったことになりました。
幸いドライバアップデートで正常に動作するようになりましたが、デバイスの種類によってはOS更新に失敗してしまう・更新後に起動しないなどの問題が起こる可能性も無いとは言い切れません。たとえ面倒でも最新ドライバを確認しておくべきだと思います。
事前に準備をしないと、最悪の場合取り返しがつかなくなることも…。
インストール行程はほぼ全自動
今回実験台になるPCは、2012年3月購入のDELL XPS 15。OSはWindows 8 Pro with Media Centerにアップグレードされております。
17日20時30分頃、私のPCのWindows ストアにアップグレードを促す項目が表示されました。それをクリックするとWindows 8.1のダウンロード画面に移動します。各エディションはそのまま引き継がれます。私の場合はWindows 8.1 Pro with Media Centerに更新。
ダウンロードをクリック。ダウンロード・インストール中でも通常のPC作業を行えるとのこと。本当にアプリをダウンロードしているかのような感覚です。
小四時間(注)ほどで、インストールは一旦終了。再起動を促されます。
再起動後は、ライセンス条項への同意やWindows Updateの設定など、いくつかのステップを踏んでいきます。この時、インターネット接続が必要となる設定が存在するため、前述のようにネットワーク関連のドライバはしっかり最新版にしておくことをお勧めします(一時的にスキップは可能)。
それらが終了した後、アプリの引き継ぎ(自動)を経て、無事Windows 8.1に更新完了となります!
Windows 8.1のプチレビュー
マウス愛好者への配慮
Windows 8.1は、前世代で廃止された「スタートボタンの復活」が大きな話題となりました。Windows 8でもマウスカーソルを左下に持っていけば同じ機能のボタンが表示されていたのですが、今回はタスクバーに常時表示させておくことで、視覚的にわかりやすく、初めて使用する人にも優しい設計となりました。
とはいえ、Windows 7以前のスタートメニューが復活したというわけではなく、Windows 8から採用されたModern UIのスタートメニューが引き続き使用されています。
また、Windows 8.1では起動時にデスクトップ画面を選択できるようになったことも主要な変更のひとつです。それだけではなく、アプリを全終了したときにデスクトップに遷移する機能、スタートボタンを押したときに例のメニューではなく「アプリの一覧」を表示する機能なども搭載されており、従来からマウスに慣れてきたユーザーに対して非常に配慮された設計となっています。
これらの機能を設定するには、ちょっと変わったところから入っていきます。デスクトップ画面のタスクバー(注釈:一般に画面下部にある、起動中のプログラムが配置されたバー)を右クリック(タッチなら長押し)して、「プロパティ」を選択。その中の「ナビゲーション」という項目で上記の機能を設定できます。
より柔軟・多機能になったタッチUI
Windows 8.1はタッチ操作に対しても、多くの改善がなされています。
大きな改善のひとつは、スタートメニューからアプリ一覧にスムーズに遷移できるようになったことです。メニューの左下にある矢印を押すと、一覧を表示させることができます。この一覧画面では、これまで五十音順のみだったアプリの配置順序が、新たに「インストール順」「使用頻度順」「カテゴリ順」に並び替えることができるようになり、非常に使いやすくなりました。
上でご紹介した「タスクバーのプロパティ」の設定を変更することで、デスクトッププログラムを優先して一覧画面に表示させることもできます。
この画像でお気づきになった方もいるかと思いますが、Windows 8.1ではデスクトップ画面の背景とスタートメニューの背景を統一することができるようになりました。背景を統一すると、これまで完全に独立した系列のように見えたスタートメニューが、一気に「メニュー」らしく見えるようになります。もちろん、従来のようなデザインも引き続き選べます。
プリインストールされているアプリも使いやすくなっています。その典型がアプリストア。UIを大幅に変更し、一覧画面に説明文を挟むことで非常に見やすくなりました。
左が従来のストアデザイン、右が新しいデザイン。
Modern UI版のInternet Explorer 11は、これまで不可能だった複数ウィンドウ表示にようやく対応しました。「今頃か」という思いも強いのですが、2画面フルスクリーン表示は非常に便利だと感じました。やっと「使いたい」と思わせるレベルにまで利便性が向上したと思います。
左右の表示サイズバランスは細かく変更できる。
ディスプレイ解像度が高いと、さらに多くのウィンドウを表示可能。
さらに、Modern UIのPC設定画面はこれまでほんの少しの項目しか変更できませんでしたが、今回の更新によってかなり多くの内容をいじれるようになりました。タッチファーストを謳うOSにとっては従来の状態がむしろ異常だったのですが、今回の変更によって、タブレットなどタッチメインで使用する場合にも設定変更がしやすくなっています。
左が従来の設定アプリ、右が新しい設定アプリ。
新アプリは各項目の中にサブ項目があり、非常に多くの設定を変更できる。
オフラインからオンラインまで ―新しい検索機能
Windows 8.1では、これまでの貧弱な検索機能が刷新され、検索エンジンBingを統合した全く新しいものになりました。ここでは百聞は一見に如かず、3つほど例を挙げてその機能をご紹介しましょう。
たとえば、「ggsoku」と検索してみましょう。
私はツイッターで@ggsokuをフォローしているため、まず左端に@ggsokuの情報が表示されます。続けてBingで「ggsoku」を検索したときの結果が返ってきます。
次に、「iphone」を検索した場合。
左にはPCに入っている「iPhoneを探す」プログラム(リンク)が表示され、続けて筆者がiPhoneで撮影し、取り込んだ画像一覧が表示されます。これらの画像、タイトルは「IMG_○○○○」なのですが、Exif情報に撮影機として「iPhone 5s」が記してありました。そんなところまで読みこんでいるとは…ちょっと侮っていましたが、なかなかやりおると思いました。右にはBingでの「iphone」の検索結果が表示されます。
最後に人物を検索してみます。偉大な発明王、「トーマスエジソン」に登場していただきます。
ご本人の写真、生年月日、命日、なんと身長まで教えてくれました。さらには関連するジャンルの人物も候補にあげています!
このように、Windows 8.1の新しい検索機能はユーザーや検索ワードによってダイナミックに表示デザイン・構成を最適なものに切り替えて、スマートに結果を返しています。従来の狭い範囲の検索機能と違い、オフラインとオンラインの垣根を感じさせることのない非常に有用な検索に進化していると感じました。
速い!!これまでとは次元が違うInternet Explorer 11
「Internet Explorer(以後IE)は遅い。」他社製ブラウザーの性能向上もあって、多くの人はそんなイメージを持っていることでしょう。実際IE8の頃までは他社製ブラウザーのほうが一歩も二歩も先に進んでいました。マイクロソフトもその過去を認めており、自虐的なCMを多く打っています。
しかし、最近のIEは、バージョンが上がるたびに高速になっており、他社製ブラウザーに引けを取らないどころか場合によっては最も高速に処理をこなす優秀なブラウザーとなっています。またSPDYやWebGLなど、様々な最新標準技術を積極的に取り込もうとしており、かつて独自路線を貫いて孤立したIE6の時代とは全く異なるブラウザーだといっても過言ではありません。
IE11の特筆すべき特徴は、表示速度が非常に高速なことです。他のブラウザーと比較しても体感で違いが分かるほど、IE11は読み込みを完了するのが早く、正直なところ出来過ぎで笑ってしまうほどでした(個人的な感想)。
その理由として考えられるのはGPU(グラフィック用プロセッサー)の活用範囲拡大です。これまでは画像のレンダリング(表示・生成)にGPUを活用していましたが、IE11からはこれに加えてJPEG(画像)のデコード(レンダリングの一歩手前、情報を解読する作業)やテキストのレンダリングにも使用されるため、より高速に処理ができるようになったとのこと。
Credit:nVIDIA
ところで、ブラウザー比較ではお馴染み、JavaScriptベンチマークを3つほど動かしてみました。他社製ブラウザーの数が多いため、ここではIE11のみスコアを示すことにして、詳細な比較は省かせていただきます。
結局、IE11が他社製ブラウザーよりも大きく優っていたのはSunSpiderのみでしたが、かつて計測した(IE9,10)時には見たこともないようなスコアの連発でした。興味のある方は以下のサイトをどうぞ。
参考スコア(全てデスクトップ版/1度のみ)
- SunSpider 1.0.2 :112.5ms ±4.1%
- Octane v1 :12265
- Kraken 1.1 :2535.5ms ±1.0%
JavaScript以外の性能も加味したベンチマークにPeacekeeperがありますが、これは途中で失敗してしまうという残念な結果になりました。原因はWebGLで、IE11のWebGL準拠は他と比べて限定的なために(バージョン0.9)、うまく実行できないのだと思われます。
IE11が対応している範囲に限定すると、グラフィックの描画は高速で、ChromeやFirefoxのような他社製ブラウザーを凌駕していました。
WebGLのグラフィックを活かしたゲームの例はこちら(対応ブラウザーでご覧ください)
WebGLの有無によるパフォーマンスの違いを体感するにはこちら(Credit:Scirra)
- WebGL採用版テスト(対応ブラウザーでご覧ください)
- WebGL不採用版テスト
IEがWebGLに対応したというのは実は大きな意味を持つのです。というのもWindows 8(8.1含む)では、Windows ストアアプリの実行処理をIEのレンダリングエンジンが担っているからです。
これまで3Dなどリッチなグラフィックを作成するときは、マイクロソフトの独自規格であるDirectXを使用するほかありませんでしたが、今回のWebGL対応によって開発の幅が広がりました。iOSやAndroidなど他のプラットフォームと共通の開発環境でアプリを開発できるようになったため、これまで貧相というしかなかったWindows ストアアプリの数が今後増えていくと期待できます。
昨年これが出せていれば…
マイクロソフトも上のように思っていることでしょう。それほど今回のWindows 8.1の完成度は高くなっています。
従来のマウス操作に慣れ親しんだユーザーを置き去りにすることなく、タブレットを始めとするタッチ端末の台頭にも対応する…。そんなマイクロソフトの理想とは裏腹に、昨年秋に登場したWindows 8はタブレット市場で競合に圧倒され、さらには従来ユーザーから酷評される、どっちつかずの「残念OS」となってしまいました。
バルマーも悔しいことだろう。
Windows 8.1では、マウス操作・タッチ操作の両方において数々の改善がされたことは上に長々と書いた通りです。もしこのレベルで2012年秋にリリースできていたら…PC・タブレット情勢は今とは違っていたのではないかと筆者は考えます。
私のWindows 8.1に対する評価は冒頭でも述べましたが、もう一度示しておきますと、「8ユーザー」は是非ともアップデートしてほしい、従来ユーザーも前向きに検討できる、よくできたOSだと思います。
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