今月8日に台風30号がフィリピンに大きな被害をもたらしました。このような大規模災害においては、的確で迅速な復興支援を行うために、現地の被害情報を分析し把握することが重要です。しかし、現地のインフラも寸断されてしまい、デマも混じった情報が錯綜することになるため、素早く正確な情報をまとめることは難しくなります。
フィリピンの被害状況写真
下記プロジェクトのTwitter抽出画像より引用
そこで、インターネットを使った新しい情報支援が注目を集めています。
大規模災害時には、Twitterを初めとするソーシャルメディアを使って個人から大量の情報発信が行われます。しかし、インターネット上の情報には憶測やデマ、または価値のない無駄なものが多く含まれており、良い情報があったとしても他に埋もれて無駄になってしまう面があります。
Twitterで台風の名前を検索したところ
ニュースのリツイートばかりがヒットし、現地情報は全くヒットしない
どうにかしてこの大量の情報を整理して活かすことができないものかと、情報分析チームを作る試みが行われています。
アメリカのSBTF(Standby Volunteer Task Force )というボランティアチームが、TwitterやFacebookから情報を漁って分析し、信頼できそうな情報のみを抜き出して、素早く地図上にまとめて提供するという活動を行っており、これが現在、国連の災害支援チームにも活用され役立っています。
この地図の作成においては、MicroMappersというプロジェクトが大きな役割を果たしました。このプロジェクトが下の写真のような「TweetClicker」「ImageClicker」という2つのアプリを提供しており、これを使うと気軽に誰もがインターネットを通じて情報分析ボランティアに参加できるシステムになっています。
アプリを起動すると、Twitterへ投稿された現地情報が次々と表示され、その情報が「どれだけ深刻な被害を示しているのか」「どんな支援が必要なのか」もしくは「災害と関係のない無駄な情報なのか」という分類をボタンクリックのみで出来るようになっています。この分類情報はプロジェクト本部に送られて蓄積し、特に被害が深刻で支援が必要な地点を特定するのに利用されます。
今月のフィリピン台風被害においては、25万近い投稿の中から数千ほどの情報がこのシステムを利用して抽出され、下記の災害情報マップを作るのに利用されました。
米エスリ社がこのプロジェクトを支援しており、こちらのページで災害マップを公開しています。
この中でMicroMappersを利用して作られた地図はこちら
Twitterへの投稿画像から、特に深刻な被害状況を表しているものを抜き出して地図上に配置したものです。アイコンをクリックすると、投稿画像を確認することができます。
フィリピンでは携帯電話が普及し、Twitterも普及しているため、今回このシステムが非常に役に立ったとのことです。なるべく災害は起こって欲しくないですが、いずれ日本でも活躍する時が来るかもしれません。
蛇足ながら記しておくと、東日本大震災においても、Twitterは避難情報や安否情報を確認する上で活躍しました。災害時にはTwitter公式はこちらのようなハッシュタグの使い方を推奨しています。ご存じない方は一度確認しておくといいかもしれません。
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